泉区の雑木林を守る「和泉の森を育む会」ってどんな団体?
ココがキニナル!
子供の頃、近くの雑木林でカブト虫などを獲っていましたが、いつの間にか整備されています。『和泉の森を育む会』という団体が保存活動をしているようです。調べてみて下さい。(りょ〜。さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
「和泉の森を育む会」は泉区にある「古橋の森」を中心に活動している環境団体。地域との交流も積極的で、年間を通して数々のイベントを催している。
ライター:松崎 辰彦
ゴミ捨て場だった雑木林
子どもの頃、誰もが遊んだ原っぱや雑木林。しかし近年の土地開発は、そうした大切な自然の空間までも宅地や駐車場に変えてしまっている。
泉区にある「古橋の森」
あまりに暗く、人気(ひとけ)がないと、雑木林も近隣住民から「犯罪の温床になるのでは」などと、心配の種にもなりかねない。枝が広がり過ぎたり、雑草が生い繁ったりなど、人の手を加えない雑木林はまるでジャングルのようになって、決してすがすがしい印象を与えない空間となる。
はたして今回のキニナルにある「和泉の森を育む会」とはどのような活動を行っている会なのか。さっそく調査を開始した。
かつて、樹林の周辺はゴミだらけだった!?
横浜市泉区にある「古橋(こはし)の森」。そこで樹林の維持活動を続けている「和泉の森を育む会」の事務局を務める中村孝夫さんに話を伺ったところ、「この場所は、昔はゴミだらけでした」と回想する。
中村さん(左)と天野さん
かつてゴミだらけだった「古橋の森」(画像提供:「和泉の森を育む会」)
「前の道路を通るのも怖いくらいでした。そうした現状を見かねて、定年になったのをきっかけに、私が周囲の人にも声をかけて清掃を始めたことで、この会ができました」
かくして2001(平成13)年3月に「和泉の森を育む会」が生まれた。
「和泉の森を育む会」の表札
現在の会員数は34名、平均年齢は70歳前後。多くは定年退職した男性だが、女性も5人ほどいるとのこと。活動は月2回で、活動日には平均十数名の会員が「古橋の森」に集合し、作業を行う。
「古橋の森」を整備する(画像提供:「和泉の森を育む会」)
会員の活動によって生まれ変わった「古橋の森」
現在は「古橋の森」と呼ばれているが、もともとは名前のない林だった。中村さんによると広さはおよそ2ヘクタール(2万平方メートル)。それだけの土地にびっしりと樹木が繁っている。
びっしりと樹木が繁っている
多いのはスギやヒノキなど、人間が材をとるために植えたとおぼしき木。ほかにはクヌギやコナラ、ミズキといった落葉樹が目立つ。
大きな幹が力強い
この森をきれいに、と思い立った中村さんは横浜市が開催している環境学習講座に参加して、環境を再生するにあたり必要なことを学んだ。
次に中村さんが行ったのは、地主さんを捜すことだった。するとこの土地には複数の地権者がいることがわかり、一人ひとりにあって挨拶し、活動の趣旨を伝えた。
「ここは地主さんが7人います。活動を始める前に皆さんにお会いして、ご理解をいただきました」
仲間たちとともに森の掃除を開始した。最初にとりかかったのは古タイヤなどのゴミの処分。つみあげると、トラックを要請するほどの量だった。次に過剰に生い茂った樹木の枝葉を断ち落とすと、地面に明るい陽光が射した。地面を覆っていた下草を刈り、地面を露出させると、見るからにすっきりした森に変身した。
すがすがしい森(画像提供:「和泉の森を育む会」)
「このあたりが古い地名で鎌倉郡和泉村字古橋(かまくらぐんいずみむらあざこはし)だったことにちなんで、この森を『古橋の森』と呼ぶことにしました」
すがすがしく生まれ変わった「古橋の森」はその後、地域のイベントやレクリエーションの場として多くの人が訪れるようになった。