まず、東京都の区と、横浜市などの区の違いを確認しておこう。

東京都の23区は、区長を選挙で選び、また選挙で選ばれた議員による区議会も存在し、「特別区」と呼ばれる。東京都の23区はほかの市町村に準ずる機能を持つ基礎自治体（国の行政区画の中で最小の単位）だということ。

これに対し、横浜市などの区は「行政区」と呼ばれ、端的に言うと市が便宜上、地域分けしたもので、区役所はたとえると市役所の支店である。
　

東京都23区は「特別区」、横浜市などの区は「行政区」と呼ばれる

従って、東京都23区では区長を選挙で選ぶが、横浜市などの場合、市自体が東京都の区と同じ「最小行政区画」なので、選挙で選ぶのは市長までとなる。
　

中区役所は、横浜市中区支店のようなもの

横浜市の区長はどのように決められている？

では、横浜市などの政令指定都市にある区の区長は誰がどのように決めるのだろう。

地方自治法を見てみると、第二百五十二条の二十に政令指定都市の【区の事務所又はその出張所の長は、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員をもつて充てる】となっている。

つまり、区長は市の職員だということ。ちなみに区長だけではなく、区役所の職員も区役所に配属された市職員である。

横浜市では、区長はどのように選ばれるのだろう。横浜市総務局人事組織課でお話を伺った。
　

横浜市総務局人事組織課

「横浜市の区長は、市役所の役職で言うと局長クラスです。横浜市では区長も含めて、すべての辞令は市長より出されています」

局長は一般職における最高位の職位。そして、市長が任命しているということ。

横浜市職員の場合、係長になるには昇進試験がある（逆に言えば試験に合格すれば係長になれる）が、それ以降は、普通の会社と同様に上司の評価などによって昇任していく。キニナル投稿者の予想通り、市の職員になって出世していけば、区長になれる可能性もあるということだ。

では、どのような人が区長になるのだろう？

「経歴も判断材料ですが、特定の経歴が区長になりやすいという傾向はないようです。地域とコミュニケーションを円滑にとれる人が重視されるのではないでしょうか」

各区長の経歴を見せていただいたところ、さまざまな部署を経験されている方が多いが、中には水道局一筋の後、区長になっている方もいる。確かに特にどのような部署を経験してきたかということではないようだ。

お役所の人というと、どうしても堅いイメージがあるが、地域とのコミュニケーションをうまくとれる人とはどんな人だろう。また、区長さんの仕事にも興味があったので、どなたか区長さんにお話を伺いたいとお願いすると、総務局の方から港南区の大貫区長をご紹介いただいた。

大貫区長は、これまでさまざまな区で仕事をされているので、経験も豊富とのこと。そこで、港南区の大貫区長を訪ねた。