ドヤ街宿泊レポート第2弾!ライター井上がドヤ街の実態を調査!
ココがキニナル!
ライター井上が、身一つでドヤ街を調査。その実態をレポート!(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
ドヤ街宿泊レポ第2弾!ドヤ管理人に突撃インタビューを敢行!日雇い労働者の街は今、手彫りヤクザと生活保護受給者の街と化していた
ライター:井上 こん
「・・・それがまた・・・・・畳に小便漏らして・・・」
「・・・だからよ、『このハゲ!』って言ってやったんだよ」
6月某日。雨湿による鬱陶(うっとう)しさを感じながら、寿町に足を踏み入れる。
これは街の佇まいや住人の会話のせいなのだろうか。そのエリアに入った瞬間から空気のよどみを感じる。どの道を見ても、そこかしこに中年男性が座り込み、ビールとタバコを手に大声で駄弁っている。部外者に対する辛辣(しんらつ)な視線を感じ、目深に被ったキャップをさらに深く下げ、彼らと目を合わせないようにしつつ歩を進める。
はまれぽでは2回目となる寿町の宿泊取材
先だって、はまれぽでは「寿町ドヤ街の簡易宿泊所ってどんな所?」という記事をご紹介した。今回は違う切り口での取材を、と指令を受けてこの地へやって来た筆者。事前のリサーチで、簡単に女性が立ち入れる街ではないという事が分かっていたので、ボロジーンズ、ジャンパーにキャップ、そしてマスクという自分なりのスレた服装を選択。
寿町の成り立ちについては、「寿町のドヤ街はなぜ形成されたのか」で触れているのでご一読いただければと思う。
16時。関内側より「寿地区」へ。扇町の交差点を超えると景色が一変する。ゴミの山が雨を吸い、マスク越しで解るほど強烈な臭いを発しているが、ゴミ収集車はちゃんと来ているのだろうか。
閑散の中に殺伐とした印象もある
まずは暗くなる前にドヤ、すなわち宿を押さえたい。中心部は半裸(中には全裸)の男性がうろついていたり、ノミ屋(競馬賭博)も見かけ物騒な印象を受けたので、少しはずれたドヤから訪ねる。
「すみません、素泊まりなんですが」
管理人室の奥から、中年男性が怪訝そうな顔を覗かせる。宇宙人に遭遇したかのような表情だ。
「悪いけど、うちは女性泊めてないんだよ」
「そうですか・・・」
これ以降、このやり取りを15回ほど繰り返す。寿エリアには約300平米の中に100ほどのドヤが犇(ひし)めいているが、30分ですでに15軒断られ暗雲が垂れ込めている。
ドヤは「住居」扱いできるため、郵便物が届く
そうこうしながら寿地区の南東部、「松影町」の古びたドヤへ飛び込む。予想通り、女性ということを理由に断られるが、その管理人男性の人当たりの良さに一種のスキを見出した筆者。ここを逃してはいけない。
「でも!! もう30軒断られてて・・・!! 行く所が無いんです・・・」
30軒は盛り過ぎたかな、と焦ったが、しばし間を置いて意外な答えが返ってくる。
「う~ん、俺が泊めた事は絶対に内緒だよ。女は泊めるなって社長がうるせぇんだ」
「ありがとう! おとうさん!」
素泊まり2200円の部屋とは?
社長に内緒ということなので、ドヤの名称は控えさせていただく。3畳ほどのフローリング風のクッションフロアには、おそらくタバコだろう、無数の焦げ跡が見える。15年の歴史を持つというそのドヤの外観を見た時、中はきっとシミだらけの畳だろうと覚悟していただけに、タバコ跡があろうがフローリング風のそれに安堵した。
布団と冷蔵庫が用意されている
少々強引ではあったが、明るいうちに宿を押さえる事ができ、一安心の筆者。「うちのばあさん以外の女と話したの何年ぶりだろうな」と呟く管理人から、「この辺は危険だから、あんたは19時までには帰ってきな」「できるだけ共用トイレには行くな」「ほかの宿泊者(住人)に見られるな」という忠告の言葉も掛けられる。