横浜市内のアットホームな味覚狩りスポットを教えて!
ココがキニナル!
東戸塚に果樹園が集まっている地帯があります。一般の人も果実狩りができるそう。そろそろ季節なので、どんな様子なのかレポートしてください。(hiwochanさん)
はまれぽ調査結果!
アットホームな雰囲気の中で果物狩りが楽しめる「平戸果樹の里」。幻の「浜なし」に出会えた! 11月までは柿やみかん狩りも楽しめる!
ライター:大和田 敏子
こんな街中で味覚狩り?
駅前に、おしゃれなショッピングモールがあり、高層マンションが建ち並ぶ東戸塚。そんな街と果樹園とは、まったく結びつかなかった。しかも、果物狩りができるなんて驚きだ。半信半疑の中、調査を開始した。
東戸塚近辺の果樹園で果物狩りができる場所をインターネットで調べてみると、投稿者が言われているのは、「平戸果樹の里」として農家が集まっている場所のようだ。
JA横浜川上支店に問い合わせて「平戸果樹の里」で、今の時季に果物狩りができるところを数件紹介していただく。後は個々に問い合わせてほしいとのことだった。
今回は、その中から「平戸果樹の里」の中でも最も歴史があるという「岩崎果樹園」に伺うことにした。 ちょうど、梨狩りができるという。個人で行く場合は予約はいらないとのことだったので、早速行ってみることに。
JR東戸塚駅東口に降りて、駅前直結のショッピングモールを目の当たりにすると、「この近くに果樹園が?」とやはり半信半疑な気持ちになる。
東戸塚駅前。駅から直結のショッピングモールは洗練された雰囲気
「岩崎果樹園」のホームページによると、東戸塚駅から徒歩20分、もしくはバスで横浜方面に向かい10分ほどとのこと 。
取材当日は8月末だというのに30度を超える真夏日。道に迷ったら梨狩りどころではなくなると、かなり方向音痴の筆者はバスを選択。東口4番乗り場から横浜方面行のバスに 乗り、坂下口バス停で降りて現地に向かった。
★が「平戸果樹の里」のある場所(Googleマップより)
途中、「平戸果樹の里」の看板が立っていた。ここは、横浜市の農業専用地区に指定(都市農業の確立と都市環境を守ることを目的とした農業振興策による)されているという。自然環境が保全され、農地として守られている地区だ。
バスを降りて1分ほどにある看板
あちらこちらに 「浜ぶどう」 「浜なし」というのぼりが見える。農家の軒先で直売をしているようだ。
「浜ぶどう」「浜なし」の幟(のぼり)がはためく
いくつかの果樹園を眺めながら坂道を登ると、ほどなく「岩崎果樹園」に到着。
岩崎果樹園の入り口には手書きの看板が
苦労乗り越えブランド化
梨の発送作業中だった経営者の岩崎健三さんにお話を伺った。岩崎さんは、この9月で83歳。初めて梨の苗を植えたのは1955(昭和30)年だったという。
とはいえ、果樹の栽培に不慣れな人ばかり。月に1回集まって肥料や栽培法を相談したり、専門家の指導を受けながら、努力を続けてきた。岩崎さんの果樹栽培に興味をもち、自ら協力を申し出てくれる人もいたという。
苦労の末、岩崎さんの梨がようやく収穫できるようになったのは1963(昭和38)年ごろ。時期を同じくして、両隣の2軒も梨の栽培を始めた。その梨のおいしさはが評判を呼び、販売する梨が不足するほどの人気に。このため、地域の農家に声をかけて1965(昭和40)年ごろには、さらに8軒が加わり、果樹園の母体ができあがった。
こうして「平戸果樹の里」が生まれた。月1回の集まりは今も続いているという。
のぼりや出荷用の箱に書かれている「浜なし」の文字が気になる。「浜なし」というのは、はまれぽれも紹介したように梨の品種ではなく、横浜市果樹生産者の統一ブランド名だと教えていただいた。直売と宅配のみで市場に出荷することはないという。道理でスーパーや青果店で見かけないはずだ。
岩崎健三さんに、果樹園についてお話を伺った
梨園に入る前に、梨を味見させていただいた。
今、収穫できるのは、豊水と菊水という種類の梨。岩崎さんの奥様が、その場でむいてくださった梨 は、甘くみずみずしく本当においしかった。
豊水の方が甘みは強い気がするが、菊水も歯ごたえがあって食感がいい。「横浜産の梨ってどうなの?」という不安が一気に払拭 され、「浜なし」のおいしさを実感した。