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入手困難な横浜ブランド「浜なし」。その理由は?

ココがキニナル!

梨の美味しい季節になりました。横浜ブランドの「浜なし」が食べたいのですが、なかなか手に入りません。一体どうしてなのでしょうか?(だいふくmochiさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

「浜なし」は樹上で完熟させるので、ほとんどが収穫してその日のうちに直売や宅配で販売されるため。つまりスーパーや八百屋の店頭には並ばない!

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ライター:松野 孝司

浜なしはなぜ“幻のなし”と呼ばれるようになったのか?



ご存知の方も多いだろうが、「浜なし」とは梨の品種名ではなく、横浜市内で生産された梨の統一ブランド名だ。
キニナル投稿にもあるように近頃はなかなか手に入らない、「幻のなし」と呼ばれているようだ。

品種はいわゆる“三水”と呼ばれる「豊水」「幸水」「新水」が96%を占める。
いずれもスーパーや八百屋の店頭で見かける品種であり、特に珍しいものではない。

それがどうして「幻のなし」と呼ばれるほど貴重品になったのだろうか。
 


樹上で完熟させるのが「浜なし」など横浜ブランドのフルーツの特長


「『浜なし』が“幻のなし”と呼ばれるのは市場にはほとんど出回らないからなんです」というのはJA横浜の油井通一さん。

一般的に果物や野菜は店頭に並ぶ頃に完熟するように早めに収穫する。それに対して「浜なし」は樹上で完熟させる。
そのため市場で販売されているものと比較すると、糖度も旨みもはかるに強いのだという。

「果樹生産者が完熟した食べ頃のものを朝収穫します。もしこれを流通ルートに乗せると、その分だけ食べ頃の時期が過ぎてしまう。それではせっかく完熟させた意味がありません」(油井さん)

そのため「浜なし」を手に入れるためには、栽培農家の直売所で購入するか、宅配で取り寄せるという方法ぐらいしかない。

「購入場所は限られていますが、生産者の顔が見えるということが、消費者に安心感を与えるようです」(油井さん)

「浜なし」の栽培農家は、講習会・巡回検討会などを地区ごとに行い、品質の向上と栽培技術の習得に努め、「浜なし」の名に恥じないよう努力しているそうだ。

もちろんこうした取組みは梨だけでなく、「ぶどう」や「柿」なども「浜ぶどう」「浜柿」という統一ブランドをつけて栽培・販促に当たっている。
 


JA横浜と生産者が二人三脚で「浜なし」ブランドの確立に取り組んだ



最盛期は1日1~2トンが売り切れてしまう



さて、「浜なし」を作っている生産者は、この浜なし人気をどう思っているのだろうか。
泉区中田北で果樹園を営む長谷川勝行さんに聞いてみた。

長谷川さんは、8月23日に二俣川駅コンコースで行われた「横浜夏季果樹持寄品評会」(主催=横浜農協・田奈農協)で、優良賞を獲得するなど「浜なし」栽培の第一人者のひとりだ。
 


浜なしの魅力を語る長谷川さん


「私たち生産者にしてみれば、一番美味しい状態で食べてもらいたいんです。その結果、現在のような直販に行きついたわけです」(長谷川さん)

もともと長谷川さんは養豚業者だったが、15年前に果樹栽培業に転業。今では梨の他、柿、ぶどう、りんごなども栽培。
「浜なし」に限っていえば最盛期(8月中旬~9月下旬)には1日で1~2トン販売するという。

直販所と宅配の割合は半々程度だというが、直売所ではオープンして1時間で売り切れてしまうことも珍しくないそうだ。
 


長谷川さんの直売所。午前9時半から営業
 

この日も「浜なし」は1時間程度で売り切れてしまい、茄子やピーマンなど野菜が残っているだけ


「ご近所の方はもちろんですが、親戚の方にお土産で頂いたら美味しかった、と東京や千葉からも注文が入ります」(長谷川さん)


現在は大人気の「浜なし」だが生産を始めた昭和40~50年代は、知名度はほとんどなく、生産者の方は販売に大変苦労したという。

「看板や新聞チラシ、ビラ配りなど考えつく限りの宣伝を行い、なかにはPRと集客のため梨園にミニSLを走らせたこともあったと聞いています」とJA横浜の油井さんもこう証言する。
 


長谷川さんの果樹園では梨の他、ぶどうや柿、りんごまで栽培されている


幻の「浜なし」は、どうすれば手に入るのか!? 次のページ

 

自然に囲まれてもぎたての完熟のフルーツを堪能



「浜なし」が“幻のなし”と呼ばれ手に入りにくい理由はお分かりいただけただろう。
しかし、「直売所や生産者から宅配でお取り寄せください」と結論づけてしまっては、はまれぽの名が廃る。

何か他に方法はないかと油井さんにお聞きしたところ、「梨狩り」に対応してくれる生産者があるというので、さっそく出かけてみた。
 


芝口果樹園の芝口さん。野菜農家から転業されたそうだ


お伺いしたのは戸塚区影取町にある「芝口果樹園( http://www.s-kajuen.com/ )」。
ご主人の芝口禎之さんは10年程前、先代が亡くなったのを契機に野菜農家から転身されたそうだ。

現在は梨(幸水、豊水)、ぶどう(藤稔、ピオーネ、紅伊豆、竜宝、シャインマスカット)、柿(富有、次郎、太秋)、蜜柑(宮川)などを栽培し、梨は9月上旬まで、ぶどうは9月初旬、柿は10月中旬から、蜜柑は10月下旬からフルーツ狩りが楽しめる。

「地元の方はもちろんですが、東京や埼玉から訪れる方も多いんですよ」(芝口さん)

ちょうどぶどう狩りを楽しんでいたご家族も「横浜市内でこうしてフルーツ狩りが楽しめるとは思いませんでした」と甘いぶどうの香りが広がるぶどう園に満足気。
 


市内在住のご家族
 

お子さまたちは初めての「ぶどう狩り」に大はしゃぎ
 

梨は表面の手触りで熟し加減を見極めるという(取材時は収穫時期前)


「ぶどうにしても梨にしても時期がありますので、事前に電話で予約していただけると、ありがたいですね」(芝口さん)

芝口果樹園のように市内でも梨やぶどうのフルーツ狩りができる果樹農家は他にもあるのだが、「地元の人や常連さんの分を確保するのが精一杯」ということで、取材をやんわりと断られてしまった。現状では新規予約が難しいようだが、梨園やぶどう園でもいで食べるのは格別だ。“ダメもと”覚悟でアタックしてみる価値は十分ある。

さあ、あなたも瑞々しい横浜産フルーツを食べて厳しい残暑を乗り切ろう!!



取材を終えて



梨、ぶどう、柿、みかん…。大都会のイメージが強い横浜でこんなに多くのフルーツが栽培されていることに正直驚いた。

今は大人気の「浜なし」が、最初は全然売れなかったことを知り二度ビックリ。
現在の人気もJAの職員、生産者の努力あってこそと思い食べると味により一層深みが増した。


― 終わり ―
 

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  • ヨーカドー別所店で2週間前頃から売ってましたよ!3玉1500円 毎年わずかな期間販売しているので 見かけたら即購入しています♪

  • 浜なしって、未だに貴重ですね。20年ほど前スーパーに無く直売所(青葉区)を自転車こいで転々としてたのを覚えています。その時は丁度売り切れて「あーだめか。」と思ったら生産者の方が「わざわざ来てくれたからこれあげるよ」と売り物にならない綺麗な浜なしを大量に頂きました。家族で食べて大変満足したと共に、生産者の方に大変感謝した次第です。

  • 毎回、直売所の開店時間前から並んでいないと確実な購入は保証出来ませんよ。自分はこれまでに2~3回ほど開店時間丁度頃に到着したものの、売り切れで購入出来なかった事がありました。車で片道30分程、有料道路(第三京浜)を使って行ったにも関わらず。その際には仕方なく他の販売品目であった野菜類を購入してきましたが。時々、運が良いと上大岡駅の京急百貨店の地場野菜コーナーに陳列がありますよ。都市化の波にのまれる事なく、浜なし(横浜ブランド野菜)は今後も末永く発展してもらいたい財産ですよね。

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