創業58年、昭和の香り漂う野毛の老舗Bar「世界のカクテル 山荘」最後の日をレポート!
ココがキニナル!
野毛の老舗Bar「世界のカクテル 山荘」の最後の日をレポート(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
1955年に創業以来、58年続いた「世界のカクテル 山荘」。最終日は閉店を惜しむ多くの方が来店した!「山荘」は今後も皆の心に生き続けるだろう!
ライター:松宮 史佳
長年に渡り野毛の顔だったBar「世界のカクテル 山荘(以下、山荘)」。実は松宮、1年ほど前に「おもしろい店がある」と知人に「山荘」へ連れて行ってもらったことがあるのだ!
なので、今回「1月20日に閉店する」「マスターが亡くなった」と聞き、大ショック。あのどこか懐かしい、レトロな雰囲気が好きだった。まさか自分が「山荘閉店」の記事を書くことになろうとは・・・。
閉店は残念だが、せめて58年続いた「山荘の歴史を残したい!」
取材をすべく、閉店3日前の「山荘」へ!
昭和な魅力満載の「山荘」に突撃
野毛の中を20分ほど迷ってしまう。通行人2人に道を聞き、16時過ぎに「山荘」へ。
目印の緑の看板
山小屋風のユニークな外観
“野毛の山荘、ここに在り”という言葉が胸に響く
「山荘」58年の歴史
営業前で、まだお客さんは誰もいない。店内にはバーテンダーの佐田力(つとむ)さん(通称ジローさん)だけがいる。
シェーカーを振る姿がキマッてる! バーテンダーのジローさん
「山荘」は1955(昭和30)年にオープン。今年で創業58年目だったが、大家さんより立ち退きの要請があり「閉店することになった」とジローさん。立ち退きの話は2013(平成25)年初めからあったらしい。
「山荘閉店」を伝える神奈川新聞(2013年12月28日)
店を続けるべく、弁護士を立てて調停を起こしたが、失敗に終わったそうだ。移転はかなり資金がかかるため、考えていなかったとのこと。
壁には閉店を告げる貼り紙が貼られている
2014年1月3日、家族に見守られて91歳で亡くなったマスター黄野長康(こうのながやす)さんはもともと台湾出身。戦後間もなく来日し、最初は新宿の喫茶店などで働いていたが、後に横浜へ。マスターは店を開く場所を「横浜駅西口か野毛かで迷った(byジローさん)」らしい。
マスターの訃報は神奈川新聞でも取り上げられた
(左から)在りし日のマスター、スタッフの方、ジローさん
結局、マスターは当時活気があった野毛で店を出すことに。しかし、後に横浜西口に出していれば「もっと儲かっていたかも(笑)」と生前冗談で話していたとか。
ジローさんによると、マスターはとても温厚で気さくな方だったようだ。「でも過去の話はしなかったねー」「別にツラいことがあった、というわけじゃないと思うけど」とジローさん。店には「3年前まで来ていた」とのこと。
お茶目なマスターとシブいジローさん
カウンターにはお客さん作のバースデーカードが飾られており、マスターの人柄が偲ばれる
お客さんが描いたマスターとジローさんの似顔絵
店名に隠された“衝撃の事実とは!?”
ここで、ユニークな店名の由来をジローさんに尋ねる。すると、「表向きはマスターが山男だからってことになってるけどね」「実はマスター、山を知らないんだよ(笑)」と衝撃発言。創業当時の昭和30年代は登山ブームだったので、「店名を山荘とつけた」のが真実らしい。
山男、ではなかった!
ちなみに20年ほど前はキャッチコピーが「世界のカクテル」ではなく、「しあわせを売る店」だったんだとか! 「山荘秘話」に触れ、興奮する松宮。
“しあわせを売る店”“世界のカクテル”など、キャッチコピーはマスターの考案