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横浜市が市社会福祉協議会に交付した補助金11億円超の使途が不明瞭! 外部監査で指摘

ココがキニナル!

横浜市社会福祉協議会などに対する市の補助金約11億円の使い途が不明だとか。いったいどういうことなのかキニナル(ウル虎の冬さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

使途が不明なのでなく、不明かどうかを精査する仕組みが整っていないため正確な判断ができないとして、監査人が市に対して改善するよう指摘した

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ライター:はまれぽ編集部

11億円が不明?



横浜市が2012(平成24)年度、社会福祉の増進を目的とする「横浜市社会福祉協議会(以下、市社協)」に対して交付した補助金約11億2000万円について、「補助金が適正に執行されていると判断するだけの根拠が十分とは言えない」と包括外部監査人の井上光昭(みつあき)公認会計士が指摘した。

井上氏によると、使途が不明または間違いということでなく、適正に使われているかを判断する材料が不足しているため、業務監察の内容を見直すよう求めたという。
 


指摘を受けた市社協


社会福祉協議会は社会福祉の増進を図ることを目的に全国の自治体に組織され、市社協は1953(昭和28)年に社会福祉法人として認可された。その後、「市と人的・財政的な関係から、指導・調整が必要な団体」として、行政を補完する「外郭団体」となった。横浜市は2012(平成24)年度、市内40の外郭団体に計約161億円(前年度比34億円増)の補助金を交付しており、市社協は11億2000万円の補助金を受けた。これは同年度の市社協の一般会計収入予算額約243億9000万円の約4.6%に相当する。

市社協は市以外からも補助金を受けており、その総額は約57億円で収入総額の23.4%に当たり、財源の多くを補助金に頼っていることが分かる。
 


市社協の2012年度予算(市社協HPより)


横浜市を含む政令指定都市や都道府県、中核市(法定人口30万人以上)では地方自治法に基づいて年1回、監査委員がおこなう行政内部監査とは別に、弁護士や公認会計士などから予算の使い方について監査を受けること(包括外部監査)が地方自治法で義務付けられている。

市でもこれを受け、2013(平成25)年7月4日から井上氏を含む8人が外部監査を実施。今年度は市の高齢者福祉に関する事業の財務事務について監査を行った。

その中で、市社協の財務事務は「適正・不適正を判断するだけの材料が不足しており、改善が必要な状態」であることが明らかになり、2月20日に井上氏が林文子市長に報告書を提出した。
 


包括外部監査人が提出した報告書


監査の分野は包括外部監査人が自由に選定できるが、高齢者福祉事業を選んだ理由について井上氏は、「限られた予算の中で高齢者がいつまでも住み慣れた地域で、安心して暮らし続けていられるような環境を整備していくことが求められる。横浜市の高齢者の人口は約74万人であり、高齢者福祉に対する市民の関心も高い。このため、補助金が適正に執行されているか監査する必要があった」と説明している。

報告書によると、2013(平成25)年7月1日現在、市社協の職員は正職員・嘱託職員合わせて460人で、約11億2000万円の補助金を受けていた。

市からの補助金は通常、事業ごとにかかった人件費や経費を分類して、その累計を算出するべきとされており、その事業に対する「事業費補助」という性質が強い。
だが、市社協では詳細に事業の分類をせず、事業にかかった人件費など実に87%に当たる約9億7500万円を、まとめて「職員費(=人件費)」としていた。
 


市社協が執行した補助金の概要〈クリックして拡大〉

井上氏はこれを「一括して支給されている補助金の内訳が事業別に区別されないなど、内容が明らかでない部分がある。執行額の内訳について十分な説明がなされていない」と言及。
 


補助金の92.3%を職員費などの「法人運営費」として、ひとまとめにしていた
〈クリックして拡大〉


その上で「事業や区分を明確にし、正確な事業費を算定することなどが必要。今後、横浜市は措置する必要性がある」との判断を示した。

井上氏は「必要不可欠な経費の必要性を説明できず、10億円を超える補助金の成果や費用対効果の妥当性を判断するための前提条件が整っていない。補助金の算定については抜本的な見直しが求められる」と語気を強めた。