市バス27系統にはなぜ2つ終点があるの?
ココがキニナル!
鶴見区を走る市バスの27系統には終点のはずの安善町のさらに50mくらい先に「終点」という場所があります。なんのために、またどういった経緯で2か所の終点が存在するのでしょうか。(雲葉さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
“幻の終点”は以前の運行変遷のなごり。地域の方の便宜を図るため、サービスの一環として慣習的に使われていた。
ライター:枚田 貴人
幻の終点を見つけ出せ!
市バス27系統。それは鶴見駅から出発して、12の停留所を通過し、安善町で終着する、およそ20分の路線である。しかしなんと、この路線には“幻の終点”があるという。終点「安善町」のさらに先にもうひとつ終点があるなんて、まるで都市伝説のような話しだ。はたして“幻の終点”とはなんなのか。謎を探るべく、筆者は実際に鶴見駅からバスに乗ってみることにした。
そしてこの時、まさかこの取材が鶴見営業所を巻き込んでの大騒動(?)になるとは、知る由もなかった。
鶴見駅、市バス27系統乗り場。はてさて終点・安善町の先に待つものは…
幻の終点をご存知ですか?
まずは鶴見駅の停留所で乗車待ちをしている何人かにお話を聞いたが、のきなみ「知らない」「聞いたことがない」のオンパレード。主婦の福山由美さんは「なにそれ!たまに安善町まで行くことあるけど、初耳!」とむしろ驚きの表情。
由美さん(写真NG)のお子さん桜助くん(3歳)は27系統よりも関ジャニ∞のダンスに夢中だとか
運転手に聞き込み!
午後12時30分、バスが走り出した。15分ほど経ち、地図上での安善町に入った。『安善町駅前』、『安善橋』、『安善町中央』と停留所を過ぎる。しばらくして車内アナウンスが聞こえてきた。「次は~安善町、安善町でございます」一呼吸おいて「ピンポンパンポ~ン」とチャイムが鳴り、「次は終点でございます。お忘れ物のないよう…」うん、不自然なところはなにもない。安善町が終点なのだ。安全運転を続けたバスは静かにブレーキを踏み、停車した。
さっそく運転手に聞き込みだ。「聞いたことないねェ。もしかしたらこの道路の隣、昔これが線路で走ってたから、その先に駅があったとか、そういうことかなあ」と、運転手の大村さんも首をかしげる。運転手が知らない終点とはいったいなんだ?はたして実在するのか?
バスを降り、道路を徹底調査することにした。
バスはすぐに左折し、昭和シェルの敷地内でUターンをする
そもそも、安善町とはどんな町?
降り立った場所は見渡す限りの工業地帯だ。昭和シェル、エクソンモービル、在日米軍鶴見油槽所、日本ヴォパックなど石油タンク工場が軒をつらね、筆者の目の前に伸びる一本道にもタンクローリーが駐車している。
ここが終点。看板には『降車専用』の文字が
足を使って探せ!
一本道をまっすぐ、両脇の看板などを見落とさないように、目を凝らしながら歩く。100メートルほどで行き止まり。どれだけ探しても、何度往復しても、“終点”の看板らしきものなど、どこにもない。
一本道の行き止まり。“幻の終点”が見あたらない
タンクローリーの運転手に尋ねても「知らないなあ」の一点張り。そして実際に歩いて調査しても、見つからない。もしかして幻の終点などないのではないか…。そんな一抹の不安を抱え、筆者は現場を立ち去った。
運転手は質問に答えると颯爽とタンクローリーに乗り込んだ
鶴見営業所に突撃取材!
かくなるうえは、27系統を管轄している鶴見営業所に直接訊いてみるしかない。鶴見駅から生麦駅へと電車で移動し、10分ほど歩いたところに交通局自動車本部鶴見営業所はあった。
鶴見営業所へアポなし取材!
2階にあがり、出動待ちの運転手に尋ねてみた。「27系統の終点、安善町の先に幻の終点があると聞いたのですが…」すると「ええ、ありますよ」と、さらっと驚きの発言。泡をくった筆者は「詳しく聞かせてください!」と取材を申し込んだ。待つこと10分。奥の管理室に案内された。目の前には、所長の鈴木さん。なぜか不敵な笑みを浮かべている。いったいその笑みはなにを意味しているのか。筆者はさっそく伺った。
―終点・安善町の先にもうひとつ“幻の終点”があるようなのですが…?
「ありますよ。しかしですね、営業所内でもこの話、知らない者も多いんです」
所長は周囲の職員に声をかけると、職員一同「なんですかそれ!」「どういうことですか!」とこの話題で大盛り上がり。
―“幻の終点”はどこにあるんですか?私は直接足を運んだのですが見つけられませんでした。
すると所長が答える前に、近くの職員が「グーグルストリートビューでお見せしましょう。錆びたポールがひとつだけ立ってるはずです」と筆者が見つけられなかった“幻の終点”を、なんとグーグルストリートビューで見せてくれると言う。錆びたポールなんてどこにもなかったぞ!いったいどんなマジックだ!