昔ながらの現役「丸ポスト」を探せ! 茅ヶ崎市編
ココがキニナル!
茅ヶ崎には、昔ながらの赤いポストがたくさんあって、実際に手紙を投函できるってホント???(ろんろんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
茅ヶ崎市内に現存する「昔ながらの赤い丸ポスト」は全11ヶ所。もちろんすべてのポストから実際に手紙を投函できて、相手に届けることができる。
ライター:細野 誠治
相模湾の潮の匂いと、丸ポストを探す旅
前回、横浜市内に現存する古いポスト(丸ポスト/正式名称:郵便差出箱1号〈丸型〉)を調査しました、細野誠治です。 横浜で半世紀以上も現役の超レア「丸ポスト」を探せ!
郵便は世界を結ぶ
くわしくは前回の調査を読んでいただくとして、横浜には2つしかなかった丸ポストが投稿によると茅ヶ崎にはたくさんあるらしい・・・。
これはもう、ぜひ見に行かねば・・・というわけで前回の調査でもお世話になった「日本郵便株式会社・南関東支社」にご協力をお願いすると・・・「ぜひとも!」と力強いお言葉をいただく。全面協力! ありがとうございます!
こちら、茅ヶ崎市内を統括する茅ヶ崎郵便局
後日、届いた調査結果によると茅ヶ崎市内に現存するポストは166ヶ所(2014<平成26>年10月20日現在。コンビニにあるポスト含む)。その内、丸ポストは全部で11ヶ所。細かな設置箇所も教えていただく。
さぁ行こう。湘南暮らしの丸ポストたちを巡るのだ。
JR東海道線「茅ヶ崎」駅。午前10時、旅の始まり
ホームに降りた瞬間、微かな潮の匂いがしてテンションが上がる。
地図を確認すると茅ヶ崎駅の南口付近に3ヶ所ある。まず1つめは東に1,5キロほど離れた場所にあるらしい。住所は茅ヶ崎市旭が丘8-59とある。
道すがら出会った(新人?)ポスト。小さくてかわいい
あった! のんびり歩いて、ようやく到着
潮の影響だろうか? かなり傷んでいた
ペンキが剥がれかけた箇所が多く、指で触ると塗装の浮きが確認できた。
辺りは閑静な住宅街と、ロハスなお店が点在している。そこにポツンとある。
ここでキニナル投稿の文言を思い出す。
「実際に投函できるって本当?」
若い世代には現行の四角いポストが当たり前で、丸ポストは「ポストという認識」を結びづらくなっているのかも知れない。・・・なんて思い至る。
壊れてしまったら最後だ。どうか末永く残ってほしい。
まだ大丈夫だよね?
次は来た道を少し戻って、茅ヶ崎市東海岸北2丁目8-1へ。やはり閑静な宅地にあるポスト。
横田クリーニング店(横田商店)の軒に立つ丸ポスト
こちらも、かなりの年季もの
お店の方にお話を伺ってみよう。すみませーん!
対応いただいたお店の方、上品なおばあさまはお写真、お年もNGとのことなのだが、いろいろお話を聞かせていただいた。
こちらの丸ポストは設置から約50年。お店の創業と同時だったそう。
ポストの設置に合わせて、郵便局から切手の販売をお願いされたんだとか。(現在も切手を販売している)。
50年! ぜひ丸ポスト、お店ともども末永く続けてほしい。
そう言うと「もうそろそろ、店じまいを考えているんですよ」とちょっぴり悲しいことを・・・。
どうなるんだろう・・・
叶うべくもないが、ここを自分が継いだら・・・と夢想するほど趣きがあって雰囲気のいいお店。
いいなぁ・・・
横田クリーニングの道を先に進むと、サザン通り商店街にぶつかる。
サザン通りと丸ポスト
3本目の丸ポストは「カワグチスポーツ」の脇にある
ん? 首が右を向いている・・・
前回、そして今回の調査のなかで初めて出会った「首ふり丸ポスト」。
これはどういうことだ?
日本郵便株式会社・南関東支社によると「お客さまへの利便性」を考慮して、とのこと。投函しやすく、また集荷時の効率を考えた結果の形。こういう気配りって、いいよね。
カワグチスポーツ店主、川口氏に設置年数をお聞きすると「60年くらいかな?」とのこと。還暦ポスト!
質問に答えてくださった川口氏
絵になりますな~
住所は茅ヶ崎市共恵1-11-4。丸ポスト巡りのご参考にどうぞ。
気づけば昼を回っている。せっかく来たんだし海くらい見よう・・・。
南へ進路を取って海に辿り着く。
夏、終わっちゃったね。そして望遠で、えぼし岩も
ちょっとブレイク。「今日一日で廻り切れるだろうか?」と不安になる。
早々に道を引き返す。一旦、駅に戻って今度は北口を攻めてみよう。
繁華な街並と住宅地で、丸ポストを探す旅
茅ヶ崎駅北口から左に伸びる商店街に、4本目がある。
こちらエメロード茅ヶ崎
趣きある建物に丸ポスト発見
ちょうど集荷が行われていた
こちらは創業から80年の「水澤商店」。酒屋さんだ。
ご主人の水澤洋一氏
こちらのご主人は非常に多才な方で、日本酒のラベルをサラサラと描いてくれたり、地元の祭りのポスターなども手がけたりしているそう。
墨筆一本、フリーハンドでサラサラ描く
一例として、こんなお酒ラベルも・・・
編集長、どうでしょう!?「大吟醸 はまれぽ」とか(作ったら1本ください)。
と、まぁ冗談はさておき、このラベル書きは地酒「湘南ちがさき蔵」をお求めの方に無料でしてもらえるサービス。お祝いの席などにどうでしょう?
こんな瓶に詰めてもらえます
ここで丸ポストについて聞くと設置は50~60年前とのこと。
話好きのご主人と、一方の細野も話出すと止まらない2人。かれこれここで1時間ほど世間話をしてしまう。
店主の水澤氏は、車のナンバーに「湘南」ってあったらいいよな~ということで発起人となり、実際に行政動かしちゃったり、ケンタッキーフライドチキン日本1号店で最初に並んで買った「最初のお客さん」だったりとトーク止まらず。
気づくと夕方。ヤバい、お礼をしてお店を後に。今度はご主人の「キニナル」でお会いしましょう!
潮の影響が少ないのか、比較的キレイ。住所は茅ヶ崎市新栄町5-4
進路を北に取ると国道1号、東海道に出る。ここで、すごい丸ポストを見る。
十間(じゅっけんざか)坂交差点近く。平塚方面へ
茅ヶ崎市十間坂3-9-1にあります
屋号は「大野屋」。創業1870(明治3)年の老舗の荒物・雑貨の店
御年85歳のおばあさまが切り盛りしている。取材NGと言われたものの、少しだけ話を伺えた。
こちらのポスト、とても古く「私がお嫁入りしたときには、もうあった」とのこと。軽く60年以上、この地に立っているそうだ。
かなり老朽化が。こちらも首ふりな丸ポスト
―60年以上、もっと古い可能性もありますよね?
「伝え聞くにはね、日本に郵便が始まったときに、この場所にポストを設置したそうですよ」
―!!
今となっては確認が取れないが、日本で最初に設置された箇所のひとつだということが判明する。
日本で郵便事業が始まったのが1871(明治4)年。当時のポストは木製で、壊れやすく燃えやすかったそうだ。このことを踏まえ、その後の1901(明治34)年に鋳鉄(ちゅうてつ)製の丸ポストが登場する。もしかしたら113年前のもの・・・?
ポスト設置場所第1号となれば、その可能性はあると思うが、どうなんだろう?
代替わりしてもポストは、この場所で143年間、国道を見続けてきた
塗装の剥げが。でもまだ現役だ、立っている。郵便が始まってから、ずっとだ
自分でも分からないものが、込み上げてくる。がんばれ、郵便ポスト!
しばらく丸ポストに手をかけて、次の場所に移動する。日が傾いてきた。
国道を進んで「南湖南入口」交差点を左折。
この看板を左折
この辺りは、細かく入り組んだ路地が続く。少し潮風が匂う。
目指す住所は、茅ヶ崎市南湖2-9-24。
丸ポストは鳥居に寄り添うように
泥と潮に抗うように・・・
ご近所の方と、しばし丸ポスト談義
懐かしい形よね、と丸ポストを眺めながら話に花が咲く。
「11個しかないなんて、寂しいわよね」とか「やっぱりこの形よ」とか、ポストについて語っているのに、少し、人の気配を感じる話し振りに気づく。自分も同じ口調になっていることに気づく。
きっと手紙の思い出とか、日々の暮らしと繋がったポストの立ち姿が頭に浮かんでるはず(筆者もそうだ)。
お参りでもして行こうか・・・。鳥居を潜って参拝へ(時間ないけど)。
名前は御霊(ごりょう)神社。この奥には西運寺(さいうんじ)というお寺があります。
目印にどうぞ
お参りをしていると携帯電話が鳴る。東京の某出版社から呼び出しを食らう。
時間を鑑み、この日はここでタイムアップ。