昔ながらの現役「丸ポスト」を探せ! 茅ヶ崎市編
ココがキニナル!
茅ヶ崎には、昔ながらの赤いポストがたくさんあって、実際に手紙を投函できるってホント???(ろんろんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
茅ヶ崎市内に現存する「昔ながらの赤い丸ポスト」は全11ヶ所。もちろんすべてのポストから実際に手紙を投函できて、相手に届けることができる。
ライター:細野 誠治
潮浴びと緑の住宅地で、丸ポストを探す旅
調査2日目。小雨が降っている。
とりあえず海、見とくか・・・(サザンビーチにて)
この日、まず向かうのは茅ヶ崎市の南湖(なんこ)エリア。昨日と同じ地区だ。サザンビーチ前の国道134号線から平塚方面に向かい、西浜小学校が見えたら右折。しばらく行くと・・・。
駄菓子屋さんの店先に丸ポストはある
こちら八百六商店。住所は茅ヶ崎市南湖6-1-1。
こちらの丸ポスト、店主とのドラマチックな絆があった
お店の人に聞いてみよう。
店主の杉山秀子さん。83歳
「このポスト古いでしょ? もう80年も経ってるのよ」
―80年! それはすごい!(ちなみにお店は今年で85年だそう)
秀子さんとお店と、一緒に年月を歩んできたポストだ。
こんな話がある。
老朽化が激しく、秀子さんは数年前から何度も茅ヶ崎郵便局にペンキを塗ってほしいと頼んだそうだ。しかし都合が付かず、ポストはそのまま。
「可哀想じゃない。それに、気持ちのいいポストで(葉書を)出してほしくて・・・」と秀子さん。
地元に愛される駄菓子屋さん
そんな愛されていたポストだが、数年前、ついに茅ヶ崎郵便局は現行の四角いポストへの切り替えを決めた。
撤去の日、秀子さんはポストを磨き、上からお神酒をかけてあげたそうだ。
工事が始まり、ポストを取り除こうとしたのだが、土台が深く動かせなかったという。結局、工事業者と郵便局は撤去・交換を保留とした。
丸ポスト、残った!
茅ヶ崎のド根性ポスト
何の根拠もなく思い込みだが、ここの丸ポストは秀子さんのことが大好きなのだ。
丸ポストと秀子さん。右は娘の京子さん
「もう、ずっと、ここにいてほしい」秀子さんの言葉が、温かい。
小雨が上がった。ド根性ポストに一礼して、道なりに進む。駐在所、南湖中央の交差点も直進。次の所在地は茅ヶ崎市南湖3-4-34。
「ガラスのワタナベ」前に丸ポスト
こちらもかなり傷んでいる
お店のご主人の渡邊孔(とおる)さんに貴重なお話を聞かせていただけた。
明治初期(いわく明治一桁のころ)、郵便局の前身である逓信省(ていしんしょう)から「この地に郵便局を開いてほしい」と渡邊氏の祖父に打診があったそうだ。だが当時、この地でパンなどの軽食や食事を提供する店を営んでいた渡邊氏の祖父は、この話を断ったそうだ。
それでもポストの設置と、切手などの販売を引き受けたというから郵便事業黎明期から続くポスト設置箇所だと言える。
「この辺りは昔、栄えていてね。目の前に魚市場があったんだよ」と渡邊氏。
魚市場から宅地へ。変遷を見てきた丸ポスト
「とにかく塗装を」と渡邊氏
八百六商店、ガラスのワタナベと、一日も早く塗装ができればいいな・・・と思いつつ再び歩を進める。直進すると国道1号線に出る。ここを左。
平塚方面へと進む、進む。
途中、史跡の旧相模川橋脚を越える
中島の信号にあった
住所は茅ヶ崎市中島314。
月極駐車場に食い込むように立つ、首ふり丸ポスト。そして塗装が新しい!
近隣に聞き込みをすると、土地を所有されている方を発見。取材NGだったが「設置から50年くらい?」「塗装は2年前」という情報は入手することができた。
塗装して2年。南湖のポストも、もうすぐお色直ししてもらえるのかな?
半世紀経っても塗装すればこんなにキレイ
ここまで9本の丸ポストを見てきた。すべてが最寄りを茅ヶ崎駅としている。残りの2本は電車を使う。というわけで駅へ。
相模線で1駅、北茅ヶ崎駅で下車
駅の目の前「湯快爽快ちがさき」にあります
住所は茅ヶ崎市茅ヶ崎3-2-75。
ん? ここのは赤いな
やけに赤くて鮮やか。土台石もほかと違う。新しいような・・・
由来を聞くため店内へ。急な取材のため当然、写真などNGなのだがお話だけ。
実はこのポスト、2年前に設置されたばかり。
「湯快爽快ちがさき」で切手や葉書を取り扱うことになり、茅ヶ崎郵便局がどこからか丸ポストを調達し設置をしたのだという。
茅ヶ崎市内に現存する丸ポスト11本のうち、こちらは新参者かな。いや、第二の人生を茅ヶ崎で送っているのか。
お礼をして駅に戻る。今度、ゆっくり温泉に入りに来ます!
さぁ、いよいよ最後の1本。場所は北茅ヶ崎のお隣、香川駅だ。
最後の舞台は香川。住所は茅ヶ崎市香川6-26-22
駅舎を出て右へ道なりに進み、踏切を越えたところ。ここに最後の丸ポストがいる。
やっと会えた~
排ガスで少し煤(すす)けていた
コンビニの敷地に設置された丸ポスト。お話を聞くと設置は1969(昭和44)年。今年で45年が経過している。お店のオープンと同時だそう。
「ちょうど丸ポストから、今の四角いタイプに切り替わる時期でね。四角い新しいのにしますか?って聞かれたんだけど、丸いのでいいよって言ったんだ」と店主の方。
どこからか調達したもののようで、ここの丸ポストには製造年(または昔の設置年)が土台石に刻まれていた。
「昭38 10」と彫ってあるが、この場の設置は昭和44年
足かけ2日。午後4時。調査(旅)が終わった
取材を終えて
今回の調査、ずいぶんと駆け足になってしまったものの、すごく楽しかった。
当たり前に、すべての丸ポストに歴史と、物語があった。
どこか揺さぶられて、また、知らない街(町)を探検することができた。
こうなったら、はまれぽエリア内の丸ポストをすべて制覇したいものだ
(ま、投稿が来ればだけど)。
さて、最後にキニナル投稿をいただいた、ろんろんさんのためにも答え合わせをしよう。
えぼし岩の絵はがきを
茅ヶ崎の古いポスト(丸ポスト)に投函して本当に届くのか?
ここ、茅ヶ崎香川の丸ポストから編集部宛てに葉書を差し出してみよう。
担当編集の小島さん、どうだろう?
ばっちり届きました!
それでは、また。
―おわり―
Richardroeさん
2015年11月07日 12時19分
茅ヶ崎小学校の敷地庭内に使われてない赤丸ポストがあったのを記憶していますなにぶんかなり昔のこと&見えにくいところなのでもうないかも知れませんが・・・もしかしたら再利用されたのはそれなのかも?
汐汐さん
2014年11月29日 21時57分
親しまれる丸ポストを調達してくるとは、茅ヶ崎郵便局やるね☆
ホトリコさん
2014年10月30日 12時21分
丸ポスト、まだ現役で嬉しいです。首ふりタイプまであるなんて、アジなマネを♪