旧ドリームランド敷地内にある相州春日神社の鹿がすごく礼儀正しいって本当?
ココがキニナル!
旧ドリームランド敷地内に建つ相州春日神社は奈良春日大社の分霊で、たくさんの神鹿が飼育されていますが、鹿せんべいをあげるとお辞儀するそう。みんなホントにお辞儀をするのか気になります。(こっしーさん)
はまれぽ調査結果!
戸塚区にある相州春日神社の鹿は、鹿せんべいをあげるとお辞儀をする。奈良の春日大社から来た鹿である。
ライター:すがた もえ子
鹿のいる神社といえば奈良県の春日大社が有名だ。
関東にも茨城の鹿島神宮など鹿のいる神社はいくつかあるが、なんとはまれぽの調査範囲内にも鹿がいる神社があるらしい。
しかも奈良の鹿と同じように、餌をあげるとお辞儀をする、という情報が!
えっ・・・それはぜひとも確かめてみるしか。
そして鹿をモフりたい。触れ合いたい。
運が良ければ春だし子鹿(バンビ)に会えるんじゃ?
愛らしいバンビちゃんにお辞儀をされる図を妄想して浮き足立った筆者は、さっそく相洲(そうしゅう)春日神社へと向かった。
「相州春日神社」はドリームランド跡地敷地内に建つ
相州春日神社は横浜市戸塚区に位置する。
ドリームランドの跡地にある相州春日神社
戸塚区ではあるが、JR戸塚駅からは距離があるので車かバス利用となる。
車利用の場合は県道403号線ドリームランド交差点を横浜薬科大学方面へ約3分だが、バスを利用する場合はJR線戸塚駅・大船駅、小田急線湘南台駅、地下鉄立場駅の各駅から「俣野公園・横浜薬科大学行き」のバスで終点の「俣野公園・横浜薬科大学」で下車。
時間にすると約20~30分ぐらいだったが、取材に伺った日は土曜日だったため、道が混んでおりもう少し時間がかかってしまった。
バス利用の場合、どこの駅発のものも1時間の本数が少ないので、事前にバスの時間の確認を忘れないようにしたい。
こちらが相州春日神社
相州春日神社は2002(平成14)年に廃園となった横浜ドリームランドの敷地内に建っている。
横浜ドリームランドの建設の際に発展と繁盛を願い、奈良県の春日大社から分霊を勧請したのが始まりだという。
ドリームランドは閉園となった今も、相州春日神社は同じ場所に存在している。
手水舎(ちょうずや)にも鹿が
手水舎アップ。可愛い!
石灯籠にも鹿のレリーフが刻まれている
朱色が美しい楼門は、奈良春日大社の建築様式にならった物で県下唯一だという
ご本殿。手前のテントでは人形供養の準備が進められていた
まずはお参りをして、神様にご挨拶
相州春日神社には春日大社と同じ神様・武甕槌神(たけみかづちのみこと)・経津主神(ふつぬしのみこと)の二柱をお祀りしている。
相州春日神社の宮司・高橋さんにお話を伺った
さっそく高橋さんに、なぜここに鹿がいるのかを伺った。
「もともと相洲春日神社はドリームランドの敷地内に建てられた神社です」と高橋さん。
元々は奈良に「奈良ドリームランド」という横浜と同じ企業が運営する施設があったという。
横浜にドリームランドを作るにあたり、ドリームランドつながりで春日大社を勧請し、神様のお供として春日大社の鹿がこちらに移ってきたのがはじまり。それが1963(昭和38)年のことで、神社ができてから約50年。
最初に移ってきた時の鹿は20頭ほどだったが、今は15頭が相洲春日神社の神鹿(しんろく)苑で暮らしている。鹿の寿命は20年ほどだといい、この土地で生まれた鹿たちも多くなっているそうだ。
境内の奥に鹿がいる
「鹿は丈夫です。獣医さんのお世話になることも滅多にない」と高橋さんは語る。
県西部の家畜試験場や保健所から指導の人が来るそうだが、みんな丈夫で健康状態も問題なく、飼育環境もいいとのこと。
たしかに、これほどたくさんの鹿がいるのだが、ほとんど獣臭や糞尿の匂いなども感じられない。毎日掃除しているわけではないそうだが、鹿が快適に生活できる環境がしっかりと整えられていた。
鹿せんべいはお守りなどをいただく「お授け所」で購入できる
いよいよ神様のお使いの鹿がいる「神鹿苑」へ!
神鹿苑は600坪(約1980平方メートル)ほどの広さ
「神鹿」と書いて「シンロク」と読む
バンビは6月上旬くらいに毎年1頭くらい誕生するそうだ
鹿の足元が土のため、雨の後などは泥がはねやすい
鹿の足元は泥状になった柔らかい土だ。
雨が降ればすぐにドロドロになってしまうため、お客さんから鹿がかわいそうだという声も上がるという。
「コンクリートにしてあげればいいのに、なんていう人もいるんですけどね。コンクリートは鹿のひづめを痛める。致命傷になります」と高橋さん。
鹿などの偶蹄(ぐうてい)類は、ひづめを痛めると炎症などを起こしさまざまな病気の原因となるようだ。
たしかに人間から見たら泥よりコンクリートの方が清潔そうに見えるかもしれないが、鹿の立場に立って見ればそうともいえないのだ。
鹿の柵にも「おじぎをする」という文字が!
鹿がいる神社といえば春日大社や鹿島神宮、広島の宮島なども有名だが、首都圏といってもいいような場所にこれほどたくさんの鹿のいる神社があるとは、正直驚いた。
そのことを高橋さんに伝えると「ほかにも大山阿夫利(おおやまあふり)神社や千葉の鹿野山(かのうざん:お寺)なんかにも鹿はいますよ」という答えが返ってきた。
知らないだけで、実はあちこちに鹿のいる神社やお寺はあるようだ。
鹿の柵の前は多くの親子連れでにぎわっていた
そういえばここの鹿は、ピーピーとよく鳴く。
奈良公園や鹿島神宮など、鹿のいる神社を訪れたことがあるが、これほど鳴いている所はなかった。
「あれね、餌を催促してるんですよ。せんべいくれって」
どうやらおねだりというか、どちらかというと催促しているようだ。
見ていると、明らかに不機嫌そうにピーピーいっている鹿もいる。
そんなにお腹がすいているのだろうか?
鹿の餌についてたずねると、毎日朝晩の2回、鹿用のペレット(ドライフードのようなもの)を与えているという。
神社は午後5時で閉まるので、毎日それくらいの時間になると餌の催促も兼ねてピーピー鳴くようだ。赤ちゃん用のおもちゃで握るとピーと鳴る物があるが、まさにあんな感じの鳴き声があちらこちらから聞こえてくる。
さつまいもや食パンも好き
ちなみに鹿たちにはせんべいのほかにも、リンゴや人参などを持ち寄って与えてもよいのだという。
近所の人たちも「明日人参持ってくるね」と鹿へ声をかけている方もいた。
リンゴも人参も鹿は大好物だといい、そういえば茨城県の鹿島神宮では、鹿せんべいの代わりに人参のぶつ切りが販売されていた。
鹿島神宮が日本で最初に神鹿を飼い始めた神社で、鹿島神宮から春日大社へ、春日大社から宮島やここ相洲春日神社へと鹿が増えていったそうだ。
鹿は現在15頭
「ここの鹿は奈良の鹿のようにおじぎをしますか?」と高橋さんに確認すると、ちゃんとお辞儀をするのだという。
何故お辞儀をするのかについては不明のようだが、奈良からやってきた最初の鹿達がお辞儀をするところを見て、ここで生まれた鹿たちにも広がったのではないかということだ。
お辞儀をする鹿。ぜひその様子を確かめなくては。