10月10日に横須賀で行われた、艦船ごとのレシピが食べ比べられる「海上自衛隊カレーフェスタ」の様子をレポート!
ココがキニナル!
10月10日に横須賀市で開催される海上自衛隊カレーフェスタをリポートしてください。23種類も食べられるそうです(たこさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
横須賀市内の飲食店が海上自衛隊直伝のカレーを忠実に再現したイベント。今後はさらにバリエーションを増やし、各店舗にて提供される予定
ライター:河野 哲弥
オリジナルの艦隊編成が可能
横須賀市稲岡町の「三笠公園」で2015(平成27)年10月10日(土)、海上自衛隊(以下、海自)横須賀基地に所属する20艦船と3部隊による「伝統の味」を集めた「海上自衛隊カレーフェスタ」が開催された。
今年は横須賀製鉄所(造船所)の着工150周年にあたり、3年に1度行われる自衛隊観艦式も同時開催される。これを記念して「カレーの街よこすか推進委員会」「カレーの街よこすか事業者部会」が同イベントを企画した。
カレーフェスタ開始直後の様子
実際にカレーを作るのは、横須賀市内に展開する16の飲食店。ただし、各艦船と部隊所属の調理員が直接各店に出向き、食材から作り方まで忠実にレシピを伝授したのだとか。先月には「免許皆伝の証」ともいえる認定証授与式が行われたというから、かなり本格的だ。
出展者とカレーの詳細(クリックで拡大)
イベントの参加者は、1枚1000円のオリジナルトレーを購入し、合計23種の中から4つのカレーを選ぶ仕組み。特定の艦種に絞り込んでもいいし、砕氷艦「しらせ」と潜水艦「せとしお」の組み合わせなどもおもしろい。トレーは1万枚を用意しているが、人気商品があれば、売り切れは必至だろう。
「カレーが出る日は金曜日」という伝統
イベントの様子を報告する前に、海自とカレーの関係について、少し説明させていただきたい。横須賀がカレーの街であることは周知の通りだが、実は金曜日になると、海自の多くの艦船でも、夕食にカレーが提供される。洋上で長期間暮らすと曜日感覚が失われるため、このような習慣が取り入れられたそうだ。
カレーは、栄養バランスも優れたパワーの源
もちろん、各艦船による「伝統の味」というものが存在し、海自のサイトでも、一部のレシピが公開されている。
こうした「カレー愛」への先がけ的な試みが、2013(平成25)年に長崎県佐世保市で行われた「護衛艦カレーナンバー1グランプリ」である。その後2014(平成26)年には、横須賀港逸見岸壁でも開催された。ちなみに、このときの優勝者は「濃厚味わいカレー」でエントリーをした潜水艦部隊となっている。
昨年のイベントを報じる、海上自衛隊横須賀地方隊公式のサイト
そんな歴史がわかっていると、より同イベントが楽しめるのではないだろうか。また、参加者がどのようなカレーの組み合わせを選択するのかも知りたいところ。そこで、当日の朝から、現地に張り付いてみた。
4人分のレシピと2000食の現実
イベント開始30分前の午前8時30分。すでに約600人の列が「いまや遅し」と、スタートを待ち構えている。その最前列にいらっしゃったのが、朝5時に群馬県高崎市から駆けつけたという櫻井礼子(さくらい・れいこ)さん。ご子息が「いかづち」の乗組員ということで、応援もかねて一番乗りを果たしたそうだ。
最前列中央の女性が櫻井さん
皆さんにカレーの選び方を聞いてみると、「自分が好きな艦船」「見てから決める」「肉のバリエーションがそろうように」など、まさに十人十色といった様子。万人が好む料理だけに、その理由もさまざまなのだろう。
一方のブースでは、最後の準備が行われていた。「やえしお」と「わかさ」を担当する飲食店「YOKOSUKA Shell」の渋谷さんによると、お墨付きをもらうまで、相当な苦労があったらしい。
「教えていただいたレシピは4人前なんですが、たくさんの量を作ると、バランスが崩れるんですよね。きょう予定している2000食に対し、単に500倍すればいいのかというと、決してそんなことはない。この調整に悩みました」
忙しい合間を縫って裏話を披露してくれた渋谷さん(左)
もはや戦場の呈、皆さんのまなざしも真剣になってくる
やがてスタート時刻の午前9時が訪れた。この時点での入場者数は約1150人、その先陣を切ってきたのは、やはりこの方だ。
母親の愛に勝るものなし
さて、ピークが予想される昼時までまだ時間があるので、当日催されていたもう一つのイベントもご紹介することにしよう。隣接する吉倉桟橋でこの日、来週以降予定されている観艦式に先立つ形で、「きりしま」「むらさめ」「あたご」「てるづき」各護衛艦の一般公開が行われた。