大岡川沿いの公衆便所はハッテン場って本当?
ココがキニナル!
桜木町駅近くの横浜桜木町郵便局の道路を挟んだ斜め前に公衆便所らしき建物があり、昼夜問わずオジサマ達がタムロしています。あれって何の集まり?まさか犯罪の温床になってないですよね?(行くぞ大洋さん)
はまれぽ調査結果!
投稿の公衆便所はゲイの人たちの出会いの場だったが、閉鎖された。市内にはほかにも同じような目的で使われる公衆便所がある。
ライター:小方 サダオ
弁天橋公衆トイレ
JR桜木町駅近くの公衆便所に、昼夜を問わず男性が集まっている、というが、一体何をしているのだろうか。
早速現場に向かうことにした。
JR桜木町駅
投稿にあったように、JR桜木町駅から横浜桜木町郵便局の方へと向かった。すると道路の反対側へと渡るための歩道橋があった。付近の道端にホームレスの男性が寝ていたため「おじさんたちの集団はホームレスの集まる場所では」と想像させた。
道路の反対側へ渡るための歩道橋
歩道橋を上り、道路の反対側で下りると、となりに公衆便所を発見した。
歩道橋を下りたところにある公衆便所
公衆便所の近くに1人の男性が・・・
弁天橋公衆トイレ
しかし近づいてみると、この「弁天橋公衆トイレ」は、入口が板でふさがれていて、使えないようになっていた。壁には閉鎖された旨を告げる貼り紙があった。
近くに中年の男性が1人いたので伺うと「横須賀の方から歩いてきました」という・・・。「おじさんたちの集まり」とは関係がなさそうだ。
利用者減少のために閉鎖されたようだ
そこで近くのビルで働く会社員に話を伺うと、予想外の事実を知ることとなった。
車で荷物の積み下ろしをしていた若いスーツ姿の男性は「ゲイ(同性愛者)のたまり場ですよ。いつもトイレの前に5~6人くらいいて、中で何かをしています。また利用者の男性が入ると、トイレの中について来ることもあります」
「周りに使用済みのコンドームが捨てっぱなしになっていたり、排泄物が落ちていたこともありました」と答えてくれた。
また同じビルから出てきた、ファッショナブルな男性に伺うと「私たちの会社は10年ほど前にここに移転してきましたが、そのころから男の人たちが集まっていました。夜近くを通ると、男性が立ってこちらをじーっと見ていたりして怖かったです。閉鎖されて助かりました」と答えてくれた。
2人とも若いイケメン君だ。さぞかし怖かったことだろう。
不審者とはゲイの人たちのことだろうか?
あらためてインターネットで調べてみると「弁天橋公衆トイレ」は有名なハッテン場(同性愛者たちの出会いの場所)であり、専用の掲示板には「弁天橋公衆トイレが閉鎖になって残念」などの書き込みがある。長年愛用されてきた場所のようだ。
事情の詳しい人に話を伺う
弁天橋公衆トイレはゲイの人たちの出会いの場所だったようだが、なぜここが人気だったのだろうか。またなぜ出会いの場として公衆便所を使用するのだろうか。
その理由を知るために、横浜のゲイ関連の事情に詳しい方に話を伺うことにした。
ある男性専門の宿泊施設内で、女装好きの世界では有名な通称「バンダナ」さんに取材をさせてもらった。
女装好きの「バンダナ」さん
近隣の野毛におけるゲイの歴史に関して伺うと「野毛には50~60年も前からホモ(男性の同性愛者)の人たちが集まるようになりました。当店も50年続いている、同性愛者のための休憩・宿泊施設です。ゲイバーなども多く、野毛はゲイの街です。集まってきた理由は分かりませんが、昔からホモがいて、女装のオカマが増えた理由は、戦後進駐軍相手の女娼婦の中に、女装のオカマが混じったことが始まりのようです」
「大岡川沿いの店はほとんどがゲイバーですよ。会員制と記されている場合が多いです」と答えてくれた。
弁天橋公衆トイレがハッテン場になった理由に関して伺うと「それはゲイの集まる街である野毛に近い、大岡川沿いのトイレだからです。もともと大岡川沿いのトイレはハッテン場になりやすいのです」と答えてくれた。
会員制と記された野毛のバー
ハッテン場に関して伺うと「施設を利用するとお金がかかりますからね。公衆トイレを使えばタダだからだと思います。インターネットの同性愛者専門の掲示板を見れば、いろんな書き込みがあり、比較的若い人が使いますね。待ち合わせ場所として、『大岡川の〇橋のたもとで待ってます』と掲示板に書いて、出会った後ホテルに行く場合があるようです」
「また公衆トイレの利用に関しては、中で立ったまま遊んじゃう人もいますよ。狭いところですし、そんな時に普通の利用者が入ってきたりすると、びっくりされるようです。トイレの入り口や周りでウロウロしている人はたいていそういう人たちですよ。ホモ同士はお互いの目を見ると分かり、その後トイレに入っていくのです」
「光音座という映画館も有名なハッテン場です。以前は光音座の裏手の駐車場のあたりには、ホモのための映画館やサウナなどがあり、ハッテン場はたくさんありました」
有名なハッテン場・光音座
「また市内の有名なハッテン場としては、AやMのトイレは有名ですが、Sはハッテン場の元祖と言えます。よくホモや女装好きが来ています。交通の便が悪いため、車で来て車中で遊んだりもするそうです。毎日20~30人は集まっています」
「この施設はホモや女装好きの人のための旅館で、お客の年齢層は高めです。そのため経済的に余裕がある人も多く、公衆トイレをハッテン場にするような人はいません。ほかの宿泊施設ではマンションの一室で40才以下の制限で、若者向けの場所もあります」と答えてくれた。
市内には数々のハッテン場があるという
ところで「バンダナ」さんは、一見すると話し方も外見も普通の中年男性だ。
ご自身に関して伺うと「私は女装好きです。この世界はジャンルがさまざまで、ホモの人の恋愛対象は男性のため、女性がダメです。だから女装していても男性は対象外になります」
「しかしオカマ・ゲイは男性が対象ですが、女性も対象に入ります。女装好きはホモが対象外で、女性も受け入れられるのです。オカマ言葉でしゃべらないオカマ・ゲイもいますし、それぞれの趣味ですから、一定の分類をすることは難しいです」
「ハッテン場の公衆トイレに遊ぶために入っていく女装好きもいますが、女性トイレですと捕まるので、もちろん男性トイレです。トイレには女装好きを狙った男性も来ています」と答えてくれた。
大岡川沿いの公衆トイレ
取材中、同じ部屋に1組の客がいて、飲み物を飲みながらテレビを見ていた。
1人はがっちりした体格の短髪の若い男性、もう1人は細身の中年男性であった。2人とも落ち着いた様子で、仲が良いというより、同じ趣向を持っているからだろうか、熱い信頼関係で結ばれていることを感じさせる雰囲気があった。
筆者と同時に店の外へ出て、人ごみの中に消えて行ったが、一般的な男性2人組の印象であった。
バンダナさんと親切なスタッフの人たちに感謝して、お別れをした。
そして前出の話を伺い、大岡川沿いを歩いてみた。