ソースかつ丼は横須賀のウラ名物って本当?
ココがキニナル!
ブラタモリで案内人がソースかつ丼は横須賀で結構名物ですと返していたので、横須賀のソースかつ丼を出す名店を調べてください。福井まで行かないと食べられないと思っていたのでぜひ行きたいです(nobaxさん)
はまれぽ調査結果!
横須賀にある老舗トンカツ店「やなせ本店」と、ご当地グルメレストラン「LAUNA (ラウナ)」のソースかつ丼をご紹介。
ライター:大和田 敏子
横須賀グルメの代表と言えば、「よこすか海軍カレー」や「ヨコスカネイビーバーガー」と思っていた。ところが、投稿によると、ソースかつ丼も名物らしい。ソースかつ丼と聞くとソースに浸かったトンカツをごはんの上に乗せたものが思い浮かぶ。
こういったソースかつ丼が一般的なイメージ(フリー画像より)
『ブラタモリ』案内人である、横須賀市自然・人文博物館の菊地勝広(きくち・かつひろ)さんに実際に撮影時に話した内容について伺うと「今は閉店してしまった横須賀中央の有名店が『ソースかつ丼はうちが発祥なんだよ』とよく話していました。ソースかつ丼が全国的に有名になる前から、横須賀ではソースかつ丼を提供しているお店がたくさんあったんですよ」と話してくれた。
また、ソースかつ丼の発祥として有名な「ヨーロッパ軒」については「お店の方は特に触れていませんでしたね」とのこと。どうやら横須賀のソースかつ丼のルーツについては諸説あるようなので、後述しよう。
早速、横須賀でソースかつ丼を食べられる店をインターネットで調査したところ、3件が見つかった。今回は電話にてソースかつ丼を始めた経緯について事前に尋ね、お答えいただいた2店を食べ歩いてみた。
創業67年、ヒレカツの老舗「やなせ本店」
はじめに向かったのは、老舗「やなせ本店」。
京急「横須賀中央駅」から3分ほど歩くと・・・
大通りから少し入った路地に店を構える「やなせ本店」に到着!
3代目店主、伊藤裕子(いとう・ゆうこ)さんに話を伺った。
「やなせ本店」が開業したのは1949(昭和24)年。開店当初から、ヒレカツを店の看板としてやってきた。
「トンカツ屋さんは周りに数軒あり、一般的にトンカツでイメージされるような、今でいうロースを出していたようです。違いを出さなければいけないということで、ヒレカツをメインにしたと聞いています」と伊藤さんは話す。
ヒレカツが看板であることは今も変わらない
創業した伊藤さんの祖父はその1年後に亡くなり、祖母が店を引き継いだ。祖母は藤沢や平塚まで、電車で買い出しに行き、トンカツ用の肉を担いできたそう。女手ひとつで店を守っていくには大変なご苦労があったことだろう。
店内は老舗店らしい落ち着いた雰囲気
お客さんの半数以上がヒレカツを注文するという「やなせ本店」。ヒレは1頭の豚からとれる量が少ないため、素材をブランド豚限定という形では店を成り立たせていくのが難しい。そのなかでの、こだわりは国産豚100%。60年以上に及ぶ長い付き合いで、信頼できる業者さんから仕入れているという。
国産豚肉のなかでも、厳選した良質なものを使用
パン粉はパン屋さんからパンを丸ごと仕入れて、適切な細かさにひいて使っているという。適度な水分がある生パン粉の方が、パン粉が立つような感覚があり、サクッ、カリッと揚がるそうだ。
揚げ油は最高級ランクのラード100%
ソースかつ丼について伺ってみると、「ソースかつ丼が横須賀の名物という話は、聞いたことがありません」と伊藤さん。
「やなせ本店」のソースかつ丼のルーツは、開店当初からあった「カツライス」というメニュー。終戦間もない物のない時代のこと、すべてをひとつのお皿に盛って注文先に届けていたようで、ご飯の上にキャベツ、トンカツをのせ、ソースをかけたものだったという。
「やなせ本店」では、横須賀名物だからと、ソースかつ丼を始めたわけではなかった! 多少驚きを感じつつ、かつての暮らしの中から生まれ、根付いてきたともいえる、同店のソースかつ丼の味がキニナってきた。
こちらが「ソースかつ丼(880円)」味噌汁、香物付き
一般的なソースかつ丼のイメージにある、ソースにどっぷりつけたトンカツをのせたものではなく、シンプルに、ご飯、キャベツ、トンカツを一緒に盛り合わせ丼ぶりだ。
ソースかつ丼に使用しているのは、テーブルにあるのと同じソース
こちらのソースは、数種類のソースをブレンドした自家製ブレンドソース。
「店によって使う豚肉、油、パン粉などもさまざま。合うソースも違ってきますので、ウチの店のカツに一番合うようにブレンドしています」と伊藤さん。
ちなみに、2つの小瓶は本醸造しょうゆと岩塩(ヒマラヤ産のピンクロックソルト)。
使用しているのは、豚モモ肉
ランチタイムなどに気軽に食べてもらえるよう、丼ぶりものにはモモ肉を使い価格を抑えているそうだが、モモをロースやヒレに変更して、ソースかつ丼を作ってもらうこともできる(追加料金あり)。
取材陣の諸事情により、お弁当でいただいた
サクッとして食感が良い。ソースかつ丼というとこってりした印象があるが、あっさりしていて食べやすいので、きっと女性や年配の方にも好まれる味。カツとソースの味がよく合い、ご飯やキャベツの量とのバランスも良いので、最後までおいしくいただけた。
看板メニューのヒレカツも作っていただいた。
「ひれかつ(並/1080円)」。定食(ご飯、味噌汁、香物付き)は1470円
やわらかく、食べやすいヒレカツをという想いから、ヒレの繊維を断ち切るようにカットしているため、必然的に1切れは小さめ。さらに、丸くきれいな形に成形しているそうだ。
ホントに丸いヒレカツだ!
看板に書いてあった「箸で切れるやわらかなヒレカツ」に多少の疑いを抱いて箸をつけたのだが、そこに偽りはなかった! やわらかいだけでなく、肉の旨みもしっかり感じられる。
奥には和室の椅子席もあり、全36席
この落ち着いた雰囲気の中で、ソースかつ丼をいただきながら、じっくりと老舗の味を楽しむのもいいだろう。
「やなせ本店」は、地元、横須賀を中心に常連のお客さんが多いそう。元総理の小泉純一郎さんやそのご家族もみえるそうで、店のカウンターには写真も飾られていた。最近は、インターネットで知って、遠方からみえるお客さんも多いそうだ。