野毛では伝説、福富町では行列! 神出鬼没のラーメン店「丿貫(へちかん)」へ突入!
ココがキニナル!
野毛通にはお馴染みのラーメン「丿貫(へちかん)」が、福富町の路地裏で、昼はラーメン・夜は日本酒専門店として出店しています。レポートしてください!(愛幻さん)
はまれぽ調査結果!
中区福富町の路地裏、行列のできるラーメン店として大人気! また夜は日本酒専門店として、お酒と麺をじっくり楽しむことができる、大人の空間です
ライター:大和田 敏子
灰汁中華(あくちゅうか)「丿貫(へちかん)」については、3年前、はまれぽで紹介している。当時は、スナックに間借りし、土日しか営業しない、知る人ぞ知る“幻のラーメン店”だった。
2014(平成26)年4月ころの「丿貫」
ところが、投稿によると、さらに店を移転し、夜は日本酒専門店として営業しているとか。またまた、南区弘明寺にも開店したとか・・・。
現在は、どのような状況なのだろうか。キニナルいろいろを伺いに行ってみました!
灰汁中華はさらに進化した!?
「丿貫」があるのは、横浜市中区の福富町西公園からほど近い場所。
写真右端が西公園、中央が吉田町商店街入り口
このあたりから歩いて1分ほどのひっそりとした路地裏にある。
取材に伺ったのは、午後3時30分ごろ・・・
スナックなどが並ぶ路地に人通りはない
お邪魔します!
店に入った途端に、魚介系のスープの香りが漂ってきた。
大きな寸胴、磨かれた調理器具が、美味しいラーメンを予感させる!?
オーナー店主の佐藤義大(さとう・よしひろ)さんに話を伺った。
「2014(平成26)年の取材後、2店舗で間借り営業を経て、2016(平成28)年2月に、この福富町に独立して店をオープンしました」と佐藤さんは話してくれた。
「丿貫」は千利休と同時代の茶人の名前。一度覚えたら、忘れない店名!
もともと本業が別にあり、趣味のつもりで間借りして営業してきたという佐藤さん。最後の間借り店となった野毛の日本酒バー「N1(エヌワン)」では、その後半には週3~4日営業するようになり、お客さんが並んで待ち、周囲に迷惑がかかるような状況に。そこで転職を決め、初めて店を持つことにしたという。
もともとスナックだったところを改装。落ち着いた雰囲気のラーメン店に
「間借りだと従業員を雇えないという問題もあった。一人でやるのは限界でしたね」と佐藤さんは振り返る。現在は8名の社員がいるという。
スタッフが、キビキビと働いている雰囲気
聞けば、スタッフには、店をオープンする以前からの付き合いの人が多いよう。ラーメンの味に惚れ、佐藤さんを慕って集まってきたという印象だ。
さて、キニナル灰汁中華の味は?
以前の「灰汁中華」。この味は守られているのか、はたまた進化しているのか?
同店のラーメンは、煮干しを灰汁が出るまで煮込んだスープで作る「灰汁中華」だが、実は、以前の取材時は、鶏白湯(とりぱいたん)と煮干しを合わせる形だったそう。その後、さらに進化し、現在は煮干し100%になっているという。
灰色のスープ。「灰汁中華」未体験の筆者には味をイメージできない
煮干しと言えば、一般的にはカタクチイワシをイメージするが、同店では、アジ、アゴ、サンマなど、さまざまな種類を使うそうだ。
「間借り営業の間にいろいろ試作しながら、良いモノを作ってきました。1種類の煮干しだけだと単調になるので、変化をつける意味でも、さまざまな種類の煮干しを使っています」と佐藤さん。
全国各地から旬のものを中心に、さまざまな煮干しを取り寄せる
低加水の細麺を使っているのも、以前と変わっていない。ただ、以前は香川県高松市にある製麺所のものを使用していたが、取引量が増えて遅れが出てきてしまうこともあったため、現在は、近くの製麺所に変更したそうだ。
「煮干しそば(750円)」の登場!! 以前の「灰汁中華」からメニュー名を変更
濁った灰色のスープ、どーんと大きな肉と粗めに刻んだタマネギが乗ったラーメンは、かなりのインパクト!
いただきます!
魚介系の香りが食欲をそそり、旨みがたっぷり出たスープが細麺にいい感じに絡む。今まで食べたことのないラーメンだ。味はしっかりめだが、思いのほかクセがなく、食べやすい。
肉はチャーシューではなく、豚ロースを低温調理したものだそう
肉の味付けはそれほど強くなく、旨みや食感をしっかり味わえる。ラーメンのトッピングとしてはめずらしいタマネギだが、これがまた、いいアクセントになっている。
佐藤さんによると、「当初は煮干しスープ独特の苦みを和らげるために、タマネギを乗せた」そうだが、現在のスープには、ほとんど苦みを感じない。
続いて、もう1品。
オマール海老ポタージュそば(900円)
濃厚なエビの香り! エビの美味しさが濃縮されたスープは、すごくまろやか。
これ、美味しい!!
甲殻類(エビ・カニ)を使用したメニューは、バリエーション豊富だという。現在のオマール海老の前には、マットクラブというカニを使ったものを出していたそうだ。
取材当日のメニュー。「念仏鯛」を使った冷やしそばもキニナル!
「新しいものにチャレンジするのは、ウチのスタイル」と佐藤さんはメニュー開発に積極的だ。
「『ハラペーニョの和え玉』よりも、さらに辛いものをと思い、何十倍も辛い食材を使ったものも検討中です」と話してくれた。ちなみに「和え玉」は「油そば」のようなイメージのものだそうだ。
開店前(11時)に平日でも10人、土日には30人以上が並ぶという
人通りのない、ひっそりとした場所にあるだけに、お客さんのほぼ100%が事前情報を持って来店する。神奈川県内だけでなく、全国からお客さんが来るそうだ。
2017(平成29)年7月には、弘明寺店もオープンした。
こちらが弘明寺店。市営地下鉄駅のすぐそば、鎌倉街道沿いにある
こちらは福富町の店とは違い、人通りの多い目立つ場所にある店舗。「近くに住んでいる方や通りがかりの人にも入ってもらい、リピーターになってもらえるような店になればと思い、メニューも工夫しています」と佐藤さんは話す。福富町にはない、アサリを使用した塩ラーメンも出しているそうだ。
続いて、日本酒専門店として営業する夜の部へ。