居酒屋のキャッチについて行ったらどうなる?その3
ココがキニナル!
横浜駅周辺で「安い店ありますよ!」と声をかけてくる強烈キャラぞろいのキャッチのオニィさんたち。怪しい匂いがプンプンするがついていったらどうなってしまうの?(はまれぽ編集部のキニナル)
はまれぽ調査結果!
連れて行かれるのは最低最悪の店から、「キャッチの人を雇う必要があるの?」と思うほどレベルの高い店まで様々。良いキャッチに出会うのは運次第。ご利用時は自己責任で・・・
ライター:はまれぽ編集部
避けられるのか? 怒られるのか? 恐々会いに行くキャッチのおにぃさん
「キャッチに着いて行ったらどうなる?その1」で、はまれぽ編集部を絶望のどん底に陥れるほどの店を紹介してくれた「チャンスをください!君」ほか実にバラエティに富んだトーク、案内を繰り広げてくれたキャッチのおにぃさんたち。
未だに悪夢を見る強烈な店を紹介してくれた「チャンスをください!」君
「キャッチに着いて行ったらどうなる?その2」では、ひっかかるキャッチによって、紹介してもらえる店のランクが違うことに驚かされた。
メガネを外して「ありがとうございました!」とお辞儀する強烈キャラの「丁寧メガネ君」
はまれぽ編集部はこの「差」や、こういった仕事をあえて選ぶ彼らが非常にキニナり、改めて話を聞いてみることにした。
まずは、やはり軽いジャブのつもりで声をかけた1人目にして、恐ろしいほどの低ランク居酒屋を紹介してくれた「チャンスをください!君」を探しに、ビブレ前の南幸橋(みなみさいわいはし)に向かう。
なぜキャッチ取材の日は雨が降るのだろうか・・・
悪びれないどころか非常に爽やか「チャンスをください!君」
この前、キャッチされた場所を目を皿のようにして探す・・・
この日も平日に関わらず大変な賑わいだ
先日の「チャンスをください!君」曰く彼はアルバイト。一軒でも多くお店に送客したいという使命の元、仕事にもならない我らの取材を受ける余裕などないはずだ。しかも彼にとって「とっておきの、ものすんごい店」を紹介してしまった手前、インタビューに答えてくれるはずもない。
「いたいた!」
発見するも、声をかけるのがなんだか忍びないが、えーい、ここは勇気を出して行ってみよう!
「こんばんは!先日はありがとうございました!」
あれだけ多くの人に声をかけまくっている「チャンスをください!君」は、当然ながら我らの事はすぐに思い出せないようだった。しかし、しばらくすると「はっ!」とした。
どうやら思いだしたようだ。
「あっ!こんばんは!」
そして意外なほど明るい笑顔で挨拶を返してくれた。
決して逆ナンしているわけではない
更に事情を話すと、きちんと耳を傾けてくれ「そうだったんですかー」と言う彼。後ろめたさは全く感じられないうえ、恐ろしいほど爽やかだ。
「この前大学生でアルバイトでこの仕事をしているって言ってましたよね?今日も勉強終えてから来ているんですか?」
と、問うと
「さっきまで授業受けていました」
とのこと。
えらい! 社会人になっても親のすねをかじる輩がいる中で、授業を終えて天気の悪いこの日にも路上に立つとは。あっ!いかんいかん。酷い店に連れて行かれたというのに、母親みたいな気持ちになってきた。
「あ、大学生と言っても一浪してるんで、そんなに偉くはないですけど(笑)」
すべらかな話術と言い、応対と言いベテラン感ハンパないのだが。
「いやいや、8月中旬か・・・後半だったかな?まだ1ヶ月とちょっとですね」
1ヶ月と少々であの仕事ぶり? 凄い適応能力だ。新卒の新入社員なら、いきなり1ヶ月ちょっとで、知らない人に話しかけ堂々とセールスできる人は、なかなかいないだろう。
何の仕事でもできそうな「チャンスをください!君」
大学生とのことだが、深夜までこき使われていないだろうか。生んでいたら息子の年齢と思われる「チャンスをください!君」に母心が止まらない。
「お店の契約社員でバリバリにやってくれ、と言われている人は深夜までやる人もいるんですけど、僕はアルバイトなんで時間で区切ってますね。午後5時から午後11時まで」
アルバイトという事は、どこかの会社のアルバイトという事だろうか。
例えばキャッチを派遣する派遣会社とか?
「自分はフリーでお店と契約してるんすよ。契約社員ではなくアルバイトで個人で契約するかんじっすねー。普通のアルバイトだと、契約先は株式会社〇〇になると思うんですけど、自分は店舗名でした。個人と店との契約だから、何店舗かと同じように契約できるんです。『うちの店にも送客してよ』って言われれば、その店と契約することもあるし」
フリーランスの居酒屋PR部隊のようなイメージ? 実際、どのような店が彼のようなキャッチに依頼するのだろう。お客さんが来なくて困っている店なのだろうか。そう問いかけると
「・・・それもあるし、立地が悪いから、駅前で声かけて紹介してよっていう場合も多いですよね。お客さんとのやり取りも自分でやってね、っていう感じで」
ちなみに立っている場所や、声をかける場所には縄張りはあるのだろうか?
「ありますね」
するってーと、縄張りを知らずに超えて恐い目に遭ったこともあったりして?
「いやいや、さすがにアルバイトなんでそういう無茶はしないですね(笑)。店の契約社員みたいになっている人は、バリバリやるんでキャッチ同志で揉める事もあるんじゃないっすかね。まだ見たことないっすけど・・・」
橋の上にもルールあり・・・
お休みは取れているのかのぉ。
「休みはばっちり取れるんですけど、送客した分しか売り上げが付かないんで。やればやっただけしかもらえないから、そんなに休めないっすね」
なるほど・・・ちなみに、紹介した店からはどんな感じでお金がもらえるのだろう。
「自分が送客したお客さんの売り上げの中から、パーセンテージでもらってますね。それぞれの店からもらうんで・・・」
なんだか学生と話しているとは思えなくなってきた。
稼ぎがキニナル、稼ぎが!
どれくらいの人に声をかけてどれくらいの人を店に送っているんだろう? しかも、先日のように引きちぎったメモ帳と、1000円の前金を徴収するという荒業で、一体どれくらいの人が疑わずに店に行くというのか?
地獄への片道切符
「いやもう、声をかける人数なんて数えきれないですよね。通る人全部に声かけているんで(笑)。その中から実際店に送客できるは、人によると思うんすけど、自分の場合、金曜日で50人から60人くらいですね」
そんなに?いや、それはもう、大手企業の凄い営業マンになれそうなんだけど!? 将来は起業でもかんがえているんじゃないの?
「あはははは!そんなこと考えたことないですよ。将来も何も決めてないっすよ」
そうはいっても、このアルバイト・・・ダークだし、厳しそうだし、変な店と契約したらかなりダメージも大きいし、自分自身にマイナスなイメージが付きそうだ。
アルバイト代が相当良くないと、やる価値はないように思うのだが。
他のアルバイトよりかなり収入がイイのでは?
「人によると思いますね・・・」
そりゃそうだ。どんなにバックマージンをもらえても、声をかけるだけではなく、更に送客しなければお金にならないのだから、引っ込み思案でもダメだし、トーク下手ならアウトだろう。
「チャンスをください!君」的にはどうなんだろう。
彼はにやりと笑うとこう言った。
「自分にとってはめちゃくちゃおいしいです!」
1軒目の店を紹介した罪悪感は・・・ちょっとだけあった?
へー・・・って感心している場合ではない!肝心の1軒目について聞かなければ!
ろくなサービスを受けていないのに高級ホテルのダイニング並みに取られたサービス料
この前紹介してもらったあの店なんだけど・・・あれよりひどい店ってあるの?
「あの店・・・っていうと、ああ(笑)。ボロイっていう意味っすか(笑)?」
いや、おつまみが冷凍食品とか不味いとか、トイレが激汚いとか、他にも色々あるんすけど(口調が感染してきた)。
「あの店が自分の送客できる店の中では一番歩合が高いんすよ。他の店はもっと低いっすね。マージンが高い店って言われたので遠慮せず紹介しちゃいました(笑)。さすがに自分の紹介できる店の中で、あの店以下の店は・・・ないですね(笑)」
会話の中に罪悪感は全く感じられなかった「チャンスをください!君」。具体的なマージンや稼ぎは教えてもらえなかったが、彼にとってはかなり「おいしいアルバイト」。
しかし写真撮影はNGであった。これが彼にほんのちょっと残っている「罪悪感」なのかもしれない(笑)。
という訳で「チャンスをください!君」のインタビューは文字ばかりになってしまった事をお許しいただきたい。
とはいえ、罪もない皆さんが、あの店に連れて行かれるのはどうかと思う。万が一彼のような人に当たってしまった場合は、前金1000円取られるとか「一人〇品は絶対注文して」とか「飲み放題しかダメ」とかそういう話が出たら、お断りする勇気も必要だ。
はまれぽ編集部みたいに「せっかくなんで、にーちゃんが一番マージンもらえる店」なんて間違っても言わないように。