藤沢出身のお天気お姉さんが愛した幻のコーヒーゼリーパンを追え!
ココがキニナル!
気象予報士の長谷部愛さんがラジオで「地元藤沢のコーヒーゼリーパンがおいしい」とおっしゃっていましたが、そのコーヒーゼリーパンが見つかりません(羽後人さん)
はまれぽ調査結果!
長谷部愛さんを直撃。六会日大前駅のパン屋「パンマリー」で販売していたが、17年前に閉店し今は「麦の里」というパン屋に。その他のパン屋さんにもコーヒーゼリーパンが存在することを教えてもらった。
ライター:のなかあき子
なぜか有力情報が見つからない!
残暑厳しく、食べたいものを考えるのすら面倒。そんな中、キニナル投稿に『コーヒーゼリーパン』という爽やかなキーワードを発見した。
なにそれ、食べてみたい・・・。
と思ったが・・・コーヒーゼリーとパンの融合とは、いったいどういう状態なのだろうか。ぷるんとしたコーヒーゼリーをパンで挟むと、グジャグジャで残念な状態になりそうだが。響きは爽やかだが、完成系の想像がまったくつかない。
だけど今すぐ食べてみたい! ということで調査を開始した。
しかし・・・おかしい。ネットで事前調査をしても『藤沢×コーヒーゼリーパン』に関する有力情報に出会えない。キニナルの投稿同様、本当に何も手がかりがつかめないのだ。何か理由があるのだろうか?
こうなったらもう、発言した超本人・気象予報士・長谷部愛(はせべ・あい)さんに聞くしかない・・・ということで、彼女が所属する事務所に連絡し、事情を説明したところご快諾いただけた!
一体どこに行けばコーヒーゼリーパンが食べられるのか、教えていただこう。
藤沢が地元の気象予報士・長谷部愛さん
長谷部さんがコーヒーゼリーパンについて話したのは、TBSラジオの「山形純菜(やまがた・じゅんな) プレシャスサンデー」(日曜日午前6時〜)という番組。早速、そのパンを販売しているお店についてお聞きしてみた。
「小田急線・六会日大前駅(むつあいにちだいまええき)の『パンマリー』というパン屋さんです」と長谷部さん。
藤沢で生まれ育った長谷部さんは、六会日大前駅近くの中学校に通っており、その頃コーヒーゼリーパンと出会った。その店ではオーソドックスなパンに加え、ちょっと変わったパンがたまに登場していたという。
だが・・・残念ながら「パンマリー」は17年前に閉店してしまったそうだ。なるほど、だから情報が出てこなかったのだ。しかし「コーヒーゼリーパン」なるパンが気になって仕方がない。ならばせめて、どんなパンだったかを教えていただきたい!
ということで長谷部さんにお願いし、記憶を頼りにイラストで再現していただいた。
上から中身が見えていたそうだ。美味しそう!(画:長谷部愛さん)
あれっ?想像と違ってパンと言うよりスイーツ的外観ではないか!聞けば単純に「パンにコーヒーゼリーをはさんだ、めちゃくちゃなブツ」ではなく、大きめに切ったコーヒーゼリーを硬めのコーヒークリームでまとめ、全体を薄いパン生地で包んで焼いたもののようだ。包んだ状態で焼いたとしたらクリームが溶けてしまいそうなものだが、どうやって作っていたのだろうか。・・・今となっては知る由もない。
長谷部さんの愛した「パンマリー」とコーヒーゼリーパン。その面影を求めて六会日大前駅を訪れてみることにした。
「パンマリー」は別のパン屋さんになっていた
初めて下車した六会日大前駅。駅舎こそ新しいが、派手な再開発はされていない。街の雰囲気、あまり昔から変わらないのではなかろうか。
日本大学・生物資源科学部がある駅
広々している駅前ロータリー
駅歩2分ほどで「パンマリー」があった場所に到着
「パンマリー」があった場所では、現在「麦の里」というパン屋さんが営業していた。もしかすると「パンマリー」のご主人の消息を知っているかもしれない。
「パンマリー」もこんな雰囲気だったのかも
中ではご主人が片付け作業をしていた。突然の訪問者に少し戸惑いながらも、優しくご対応してくれた。
16年前に「麦の里」は開業。洋菓子店にいたご主人の独立と「パンマリー」の閉店のタイミングが合い、この物件を引き継ぐことになったという。「パンマリー」店主とも会ったことがあるそうだ。
「高齢のご夫婦でしたよ。体力的にきつくてお店を閉められたはずです」
残念ながら、その後のことはご存知ないとのことだった。
目を引いたのは「チーズケーキパン」160円
せっかくなので、パンを購入していこう。コーヒーゼリーパンはないが、なんだかキニナル「チーズケーキパン」を発見。本格派ケーキ風菓子パンだそうで、粉砂糖のデコレーション具合も美しい。
冷やして食べるのがオススメだとか
これが大当たりだった。さっくり層になったパン生地の中に、しっとり優しいスフレチーズケーキ。小さい頃食べた地元の洋菓子店のチーズケーキを思い出した。懐かしくて上品な味である。他のパンも美味しいんだろうなあ。
他に「パンマリー」のご夫婦の行方を知っている人はいないのだろうか。お盆真っ只中ということで、昔ながらの個人商店はほぼ全部休業中。炎天下を歩き回ること10分、開店している美容室を発見した!
「麦の里」の並びにある美容室
こちらの女性店主も、突然の訪問者にやはり戸惑い気味だったが、少しお話をいただけることに。美容室は23年前に開業したそうで、「パンマリー」のこともご存知だった。
「もちろん覚えていますよ。近いからよく買いに行っていました。お惣菜系のパンが美味しかったですね。コーヒーゼリーのパンですか・・・確かにありましたね」
どんなパンだったかは覚えていないそうだが、確かに「パンマリー」、そして「コーヒーゼリーパン」は存在したのだ。
「ご夫婦で経営していて、当時でけっこうなご高齢でしたよ。少し離れた場所から通っていて、体力的に辛くなって閉店されたはずです」
長谷部さんによると「パンマリー」は早朝から営業していたそうだ。理由は、中学生のお弁当需要のため。家の人が忙しく、お弁当を作ってもらえない子が、朝パンを買ってから学校に行けるようにしていたそうだ。子供たちへの愛情を感じるエピソードだ。
地元に根ざし、愛し愛されていたパン屋さん。今もきっと、多くの人の記憶の中にあるのだろう。