人それぞれに違った旅が生まれる町。はま旅Vol.73 「桜木町編」
ココがキニナル!
横浜市内全駅全下車の「はま旅」第73回は、様々な文化の息づかいが聞こえる町、JR&地下鉄ブルーライン桜木町駅周辺の旅。
ライター:篠原 章公
文化に触れる (つづき)
次に向かったのは、文字亭のちょうど裏側に位置する「野毛hana*hana」内にある「ザ・ダークルーム」。こちらは横浜にある唯一のレンタル暗室で、実は筆者もたびたび写真のプリントをするのに利用している。
「野毛hana*hana」は野毛における文化発信の拠点として近年建てられた
レンタル暗室といっても馴染みのない方にはなかなかイメージしにくい部分が多いと思うが、撮影したモノクロフィルムを現像したり、ネガを印画紙に焼き付けるのに必要な暗室環境を時間貸しで提供しているのがこちら。ネガと印画紙を持っていけば、誰でも気軽にモノクロプリントが楽しめる。
暗室内部の様子。料金はビジターで1時間¥850、別途廃液料¥400/1日(共に税抜)
こういった写真をプリントできる(写真はスタッフ小山さんの作品)
ダークルームは1999年に山下町でオープン、2004年からは写真専門のNPO法人となり、レンタル暗室に限らず、「日本の写真文化の保存と発展」を大きなテーマとして若手写真家の育成や写真展のプロデュースなど活動の幅を広げてきた。
2009年、現在の場所に移転してきたのには、野毛にはかつて文明開化の時期、写真家・下岡蓮杖によって作られた写真館があったという写真に由緒ある土地だというのも関係したのだとか。
笑顔で対応してくれたスタッフの近藤さん(左)と小山さん
小学校中学年~80代まで、幅広い年齢層の方が利用されるというダークルーム。初心者向けのコースも用意されており、随時対応しているという事だったのでこの記事を読んで興味が湧いた方はぜひ体験してみてはいかがだろうか。
文字、写真……音楽
ダークルームを後にし、次なるスポットへ。
少し休憩したいなー、と思っているとすぐ近くから心地よいジャズの音楽が聞こえてきた。
通り沿いには目を引くウッドベース型の看板が。階段を上り「ダウンビート」へ
店内に入り取材である旨を話すと、店主の田中さんがこころよく対応してくださった(残念ながら写真はNG)。
店内の様子
店内はカウンターのほか、団体席も
落ち着いた雰囲気の中、大音量で流れるジャズの名曲の数々。
こちらの「ダウンビート」は若葉町に店を出した当時から数えると50年以上営業を続ける老舗店。当時からの常連のお客様もいらっしゃるのだとか。
竹鶴12年(¥850)をオーダー
3500枚あるレコードの中からリクエストに応じてかけてくださるということなので、ジャズにはあまり明るくない筆者だが、せっかくの機会、選ばせていただいた。
「The Incredible Jazz Guitar Of Wes Montgomery」をチョイス!
ターンテーブルにも歴史を感じさせる趣があった
劇場などで使用されていたというスピーカー「アルテックA-7」から流れてくる音楽は、迫力の中にも温かみがあるようで、すっかり聞き入ってしまった。
実際、ここで流してほしいとCDやLPを持参されるお客様もいるのだという。
お酒だけでなく、特に早い時間はコーヒーなどノンアルコールの飲みものを注文される方も多いのだとか。今度立ち寄るときはコーヒーを飲んでみようと個人的に考えつつ、お店を後にした。