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誰も使っていない? 中原区役所前にある受話器が2つある変な公衆電話 「デュエットフォン」の正体は?

ココがキニナル!

川崎市の中原区役所の近くにあった、受話器が2つある公衆電話は、今も残っている? 2つある理由は?(haipaiさんのキニナル)デュエットフォンらしいですが、使ってる人は?(戦闘員94さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

月平均1772円分の公衆電話使用料があり、電話として実際に使われていることは分かったが、「三者同時通話」として活用されているか否かは不明

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ライター:楪 ゆう子

はまれぽデビューをドキドキで待ち受ける主婦ライター・ユズリハの元に届いた、デュエットフォンを調べるとかいう奇妙なキニナル。

・・・ハァ?

状況が飲みこめないままでも、とりあえず動かずにはいられないライターの習性により、まずはその怪しげな公衆電話の概要をチェック。



電話開業100周年記念限定モデルとして誕生した機種
 


昨夏閉館した東京・大手町の逓信総合博物館で展示されていたデュエットフォン


なになに、ふたつの受話器で三者通話が可能な公衆電話とな。

NTT東日本・神奈川支店の公衆電話部門に問い合わせたところ、この電話機の名称は「デュエットフォン」というらしい。発信者がふたりで、受信と合わせて三人が同時に会話できる大変珍しいものだが、1990(平成2)年に電話開業100周年を記念して制作した限定モデルであり、とくに利用シーンは想定していないとのこと。

さっすが、バブル時代は夢があった。

携帯電話やスマートフォンの普及にともない公衆電話利用者自体が年々減少の一途をたどっており、利用が少ない場所から順次撤去され、現在の台数は1985(昭和60)年の90万台から2013(平成25)年は19万台にまで減ってきている。
 


そういえば公衆電話ってあまり見かけなくなりましたね


その流れの中で、かつては有名なところで東京・銀座など、関東近辺に設置されていたデュエットフォンも次々と姿を消していき、関東地方で現存するものは、キニナル投稿された「川崎市中原区役所前」のみ。関西以降は「島根県津和野町乙女峠」、「香川県観音寺市大野原町」にそれぞれ1台ずつ残されていた。

激レアじゃん!
 


島根県津和野町乙女峠のデュエットフォン(提供/津和野町観光協会)
 

 

香川県観音寺市大野原町のデュエットフォン(提供/観音寺市市役所大野原支所)


投稿にあった中原区役所前のデュエットフォンが設置された経緯は、1990(平成2)年に中原区区政推進事業とNTTの電話100周年記念の共同事業として設置したという。

限定モデルゆえに代替機の用意や部品交換も困難であるため、故障などで使用不可能になった場合は、通常モデル(受話器一本)と交換するか、完全撤去かのふたつにひとつ。

NTTの立場としては、公衆電話は利用があってもなくても維持管理費が月1万円ほどかかるために全国単位で撤去推進中であることから、このデュエットフォンも今後何かあった場合には区と相談していきたいかまえ―。

いずれは無くなってしまうはかない命。
だったらなおさら、今のうちにかけてみなければ!

9月某日、現場に足を運んだ。



デュエットフォン通話にチャレンジ!
 


もはや頂戴してもあまりうれしくなれないテレカ


道中、公衆電話を利用することが目的の取材だもんで、忘れかけていたテレカの存在を思い出すが。ちょい待ち、テレホンカードっていまどこで売ってるの!?

コンビニのカウンターで「あのぉ、テレホンカード置いてますか・・・」
恐る恐る問うと、店員さんが「はい?」と聞き返す始末。

質問を繰り返すと初めてハッとしてカウンターの引き出しをガサゴソ、ようやく出てきたテレホンカードのなんとシンプルなこと! かつて集めまくった「なめ猫」や「チェッカーズ」の絵面を郷愁と共に思い出すのであった。
 


曇天の川崎市中原区役所


はまれぽ編集部・山岸嬢と共に東急東横線武蔵小杉駅から線路沿いに徒歩7分ほどの、中原区役所へ向かうと。あったあった、区役所正面口の前の通路に、なかはらエコ推進大使のロジーちゃんを冠にいただいた(ロジーちゃんは溶けた氷に乗って中原区に流れ着いた北極グマなのだとか)ファンシーな電話ボックス、その名も『ふれあいの樹』が。
 


こえだちゃんと木のおうちを想起させるビジュアルだ


入り口には『NTT電話100周年記念』の文字が刻まれており、中をのぞくと果たしてそこには。
 


やたらと居心地がよさそうな電話ボックスである


たしかに受話器がふたつある公衆電話が鎮座していた!
 


これなら二刀流もありだろうか


緑色の本体から左右に伸びる2本のコード、その先につながれた2個の受話器。右手側は奥に、左手側は手前についている。緊急通報番号を知らせる通常の掲示物の下に、デュエットフォンの操作手順を教える書面が。

ほうほうご丁寧なことで。
 


なるほど。・・・ん? ふさがれたワードの正体は!?
 

アレ、(3)番、なにこれ・・・テレホンカード使用不可ってこと!?


取材のためにわざわざ買ったのに!!!!
 


少なくとも2010(平成22)年にはすでにテレホンカードは使えなくなっていたらしい
 

ガビーン


「ネタになったじゃないですか!」との山岸嬢のコメントも慰めにならぬまま、とにかく硬貨で通話チャレンジ。右が山岸嬢で左がユズリハ、ターゲットはもちろん「はまれぽ編集部」である。
 


ピッポッパのなつかしい響き
 

ドキドキワクワク


本体のスリットに硬貨を滑り込ませ、チャリン・ガチャンという収納の合図と同時にプッシュボタンをピッポッパ。トゥルルルルル・トゥルルルルル・・・一連の流れ全部がなつかしい。

「ハイ、はまれぽ編集部です」(松山氏)
「ライターのユズリハですが、編集長いらっしゃいますか?」(ユズリハ)
 


なんだかふしぎな構図である


幸い(?)不在だったため、たまたま受けてしまった編集部松山氏との会話を調査。

「この通話どんな感じで聴こえてます!?」(山岸嬢)
「ハァ?」(松山氏)
「こたえてください!」(ユズリハ)
「そ、そういわれても」(松山氏)
「そうだ、私が“アイウエオ”いいますから山岸さん“サシスセソ”同時で!」(ユズリハ)
「ア・イ・ウ・エ・オ!!」(ユズリハ)
「サ・シ・ス・セ・ソ!!」(山岸嬢)
「なにをやってんすんか・・・分かった、デュエットフォンですね」(松山氏)
 


さすがは情報通の松山氏。編集部から冷静なコメント


何故バレた・・・チッ。

「地声の大きさのせいもあるかもしれないけど、山岸さんの方が近く、ユズリハさんの方が遠くに聞こえますね。でも、基本的には一本のマイクを使って、ふたりが同時にしゃべってるように聞こえます」(松山氏)
おぉ、まさにその名のごとくカラオケのデュェットに近い聴こえ方なのか!

思わず電話口で『男と女のラブゲーム』とか歌いたくなったが、右の受話器を受け持つ一回りも歳下の山岸嬢が知るよしもないのでやめた。
 


デュエット中。いぇーい、なんかたのし~♪


受信者である松山氏の受け答えも左右クリアに聴こえ、3人で会話を共有する意外な面白さに目からウロコ。デュエットフォンには「恋人同士や夫婦で同時に受話器を取ると絆が深まる=恋フォン」というおまじないの噂もあるらしいし、これは学生さんなどがやってみるとさらに楽しいのではないだろうか。

そう、ファンシーな電話ボックスにふさわしいビジュアルは、オバさんよりも制服姿の女子中学生ふたり。気になる男子への通話をお互いに励まし合うシチュエーションなんかピッタリだ。

ちなみに調査では100円玉を使用したが、5分程度の会話時間で即ガチャン・ブー。携帯・スマホでは意識しなくなっていた通話料の高さを実感した。

こんな楽しい公衆電話の存在を、区民の皆さんはご存知なのだろうか。
中原区役所を訪れた一般の方数人に「『デュエットフォン』を知ってますか?」と突撃インタビューを試みるも、年代性別にかかわらずほとんどの方が「存在自体に気づかなかった」とコメント。
 


お子さんといっしょによく区役所を利用しているが気にしていなかったそうです
 

長年住んでおられたが気づかなかったそうです
 

えぇ受話器ふたつあったのぉ? ハッハッハ! とほがらかなお父さん


過去にはテレビ朝日の『ナニコレ珍百景』で取り上げられ、珍百景認定されているにも関わらず残念な存在感である。こうなると、実際に利用者がいるのかどうかすら怪しい。

そこで、中原区役所総務課担当者に話を聞いた。