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『まんが日本昔ばなし』の舞台になった、今はなき横浜・青葉区恩田の万年寺とは?

『まんが日本昔ばなし』の舞台になった、今はなき横浜・青葉区恩田の万年寺とは?

ココがキニナル!

「まんが日本昔ばなし」で1話だけ横浜の話があり、青葉区恩田が舞台の「万年寺の釣り鐘」があります。しかし、万年寺という寺は見当たりません。どの辺だったのでしょうか?(まりん☆ぽらりすさん)

はまれぽ調査結果!

万年寺は実在したが、場所や由緒、廃寺の理由などは不明。実在した場所にはいくつかの候補が。また『万年寺の釣り鐘』に似たような伝説がほかの寺にも残っている。

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ライター:小方 サダオ

投稿に出てくる昔ばなしとは?


 
投稿によると『まんが日本昔ばなし』に横浜が舞台のストーリーがあるという。いったい、どんなお話なのだろうか。

『まんが日本昔ばなし』の全話総まとめ、全話あらすじデータベース・サイトの「まんが日本昔ばなし~データベース~」によると『万年寺(まんえんじ)のつり鐘』として、おおよそ次のように紹介されている。

「昔、横浜の恩田という所に万年寺があった。その寺に碁を打つのが好きな住職がいた。
ある日、この村の庄屋の屋敷で碁会が開かれた。万年寺の和尚も本因坊(囲碁名人の僧侶)とおだてられ庄屋と碁を打つ事になったが、これが賭け碁だと知ると、和尚は調子に乗って打ち続け、財布一杯に金を稼ぎ帰っていった。
しかしこの時を境に、和尚は全く勝てなくなってしまった。さらに負けた金を払うため、寺の子仏や木魚、その他の仏具も皆売り払ってしまい、寺は荒れ放題となった」

 


住職が賭け碁のために仏具を売ってしまったという(フリー画像より)

 
「ある日、『カネを恵んで欲しい』と和尚に呼びかける謎の声が・・・。こんな荒れ寺に金なんかあるわけがないと、和尚は『金が欲しいなら家の中を探してでも持っていけ』と怒鳴ってしまう。すると誰もいないはずなのに、夕方になって刻を告げる鐘の音が鳴った。見てみると、なんと貴重な万年寺の鐘が消え失せていた。
村人たちは『本尊様の罰が下ったのだ』と言い合った。その後、和尚はどこへ消えたか行方知れずになった」

という話だ。

この昔ばなしは、賭け碁に夢中になって寺を廃寺にしてしまうという内容で、大胆な住職の意外性ある物語といえる。

そんな伝承の残る寺が実在するかという、今回のキニナル投稿。
まずは、万年寺があるはずという、青葉区恩田に向かった。
 


青矢印が万年寺があるという青葉区恩田
(© OpenStreetMap contributors)

 
横浜駅からJR長津田駅で乗り換え、こどもの国線の恩田駅に向かう。その辺りには、田畑の広がる風情ある風景の中に「万年寺谷戸」と呼ばれる場所がある。
 


山に囲まれ田畑の広がる場所
 

「万年寺谷戸」の入口付近

 
さっそく、周辺の住民に聞き込みを行うことにする。

近所に住む男性に、万年寺について話を伺うと、「かつて、この辺りに万年寺があったそうです」と話してくれた。場所については「この側溝の残る狭い道が旧道なので、この道路沿いのどこかにあったんじゃないかな」という。
投稿には、万年寺を探しても見当たらないとあったが、投稿の通り、今は万年寺はなさそうだ。
 


側溝沿いが昔からある旧道だという
 

カーブを描きながら道が続く
 

旧道は道幅が狭い
 

新道との合流地点

 
さらに、この男性の友人には、郷土史を学び、万年寺の場所を探したことがある男性がいたという。「高台の奥の地面から石碑のかけらのようなものが発見されたので、『ここがお寺ではないか』と言ってました」と話してくれた。
 


高台のある場所から石のかけらが出てきたという

 
聞き込みを進めていると、近くにいた初老の女性は「山(鷲の山)のふもとで、今は竹林になっている平坦な土地の辺りだと聞いたことがあります」と、万年寺の場所について教えてくれた。
 


山のふもとの道
 

この竹林だろうか?
 

旧道をたどると、左側に竹林の平坦な場所がある
 

明治14年の地図と現在の地図を重ねたもの。旧道(青矢印)のいずれかが参道だろうか?

 
さらに、ほかの周辺住民に話を伺うと、以下の2ヶ所以外の違う候補地もでてきたため、万年寺の場所の特定は難しそうだと判断した。
 


旧道(青点線)と、住民から聞いた万年寺があった可能性の場所(緑枠)