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白楽駅の近くにお洒落でイケてる伝説の映画館があった!?当時の貴重な証言とともに徹底レポート!

ココがキニナル!

昭和30年ごろ白楽駅西口に「白鳥座」という映画館があったそう。遠くから来る人もいるくらい有名だったとか。どの辺りにあって、いつごろどういう理由でなくなった?(ねこぼくさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

「白鳥座」は昭和26年に白楽駅前のドトールと静岡銀行がある所にオープン。プログラムのセンスがよく、多数の人が訪れたが、昭和47年ごろに閉館

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ライター:松宮 史佳

はまれぽでも幾度となく取り上げている、お馴染みの街=六角橋商店街。投稿によると、六角橋商店街のある東横線白楽駅西口前に映画館があったという。今では商店街のイメージが強く、映画館があったとは想像できない。が、実際はどうなのか!?
 


白楽駅前にある六角橋商店街

 
まずは横浜市中央図書館へ行き、情報収集を行う。しかし、古い映画館の情報は極めて少なく、苦戦。・・・数時間後。ついに一冊の本『横浜市立図書館報 横浜22-30』発見する。

同書によると、「白鳥座(はくちょうざ)」は1951(昭和26)年5月3日、白楽駅前に“希望の映画、希望の劇場”の宣伝文で開場。“開場番組”は(開場番組という記述が時代を感じさせる)「月世界征服(1951年/米)」。公開から少し遅れて邦洋の名作を上映する二番館として評判が高く、学生や若者に人気だったようだ。洒落た内外装の建物がユニークだったとか。一体どんな建物だったのか!?

インターネットで「白鳥座」「画像」と検索していると、「とうよこ沿線」というサイトにヒット。在りし日の画像を発見! そこで担当者に取材を申込み、お話を伺うことに。



お洒落でイカした映画館「白鳥座」


 


「とうよこ沿線」代表・岩田忠利さんにお話を伺う

 
岩田さんは1980(昭和55)年から2000(平成12)年まで、東急東横線の沿線タウン誌『とうよこ沿線』を発行。同誌は計74号発行された。
 


区別の歴史を写真で綴った『わが町の昔と今』第8巻も発行

 
ちなみに、岩田さんが手にしているのが貴重な『わが街の昔と今』の第1巻(2000年3月発行)。

東横沿線についてお詳しいであろう、岩田さんに「白鳥座」のことを尋ねる。だが、残念ながら「(自分自身は)あまり知らない」とのこと。しかしながら、映画監督の故・森谷司郎氏が通っていたというエピソードを伺った。

森谷氏は岡山出身。早稲田大学仏文学科に通う学生時代、東横沿線が気に入り、わざわざ都心から「白鳥座」へ通っていたそうだ。2本立て・3本立てで映画鑑賞をしていたとのこと。

巨匠・黒澤明監督の下で助監督を務め、1966(昭和41)年に『ゼロ・ファイター 大空戦』で監督デビューを果たす。その後、森谷氏は映画『日本沈没』や『八甲田山』、『小説吉田学校』などで大ヒットを飛ばした。
 


流線型でオシャレな建物が目を引く「白鳥座」

 
今見てもオシャレで流線型の建物がカッコいい! きっと、「白鳥座」には感度の高い若者が通っていたのだろうと推測する松宮。

岩田さんに投稿にあった「白鳥座が閉館した年」を尋ねるが、わからないとのこと。しかし、森谷氏のエピソードを伺えたのは大収穫! 加えて、「白鳥座の全盛期を知る」という女性を紹介してくれる。お話を伺うべく、現地へ!



「白鳥座」を巡るアツいエピソード



ふと、白楽をよく知る人を思い出す松宮。以前、「原価割れにも程がある生麦店のBarに突撃!」(現在生麦店は閉店し、南区吉野町に移転)で取材させていただいて以来、飲み友達の「Silver Rock」のマスターに連絡。

「白鳥座」について尋ねる。「白鳥座」は「白楽駅西口のドトールコーヒーと静岡銀行の所にあった」と教えてくれるマスター。
 


かつて映画館「白鳥座」があった場所はドトールコーヒーと静岡銀行に

 
「白鳥座」周辺は当時閑静な住宅地。女優・岸恵子さんの家や県知事公館があったそうだ。“お洒落な町並みの中にある小洒落た映画館”という認識だったとのこと。同館には若者やハイソ(今でいうセレブ)な人々が通っていたらしい。

当時「白鳥座によく行った」というマスターのお母さんのエピソード。(白鳥座に)あまりに夢中になりすぎてしまったお母さん。電車の切符を買う時に「白楽まで」と言うところを「白鳥座まで」と言ってしまい、恥をかいたとか! ・・・かわいらしい。
 


“御座居ます”“禁煙・脱帽はそれ以前のこと・・・”など、上品な言葉づかいが際立つ

 
また、ジェームズ・ディーン主演の『エデンの東(1955年/米)』が上演された際には、学校をサボった女子学生で劇場はあふれていたそうだ。

入れ替え制ではなかったので、朝から夜の最終上映まで「飲まず食わずで1日中映画を見続け、倒れそうになった」と教えてくれる。・・・アツい。アツすぎる! 当時の“熱狂ぶり”が伝わるほほえましいエピソードだ。
 


ここはその昔、映画館で“制服姿の女子高生が押し寄せていた”と思うと、感慨深い

 
続いて、岩田さんにご紹介いただいた「白鳥座をよく知っている」という女性の家に向かう。