寿地区内で宗教活動を行っている人はなぜ簡易宿泊所の人たちを中心に勧誘しているのか?
ココがキニナル!
寿地区内で宗教の勧誘が行われているようです。3~4人くらいのご婦人が立ち、行き交う人にパンフを配って勧誘しているようです。簡易宿泊所で生活している風のおじさん達にのみ配っています。(リキさん)
はまれぽ調査結果!
日蓮正宗など日蓮宗系の新興宗教の団体が入信をすすめている。勧誘場所は横浜全域で寿町に限定しているわけではない。
ライター:小方 サダオ
寿地区内の路上に立つ勧誘者たちは何者なのか?
中区にある寿地区は、日雇労働者のための簡易宿泊所街として知られている。約6300人の住民のうち、8割以上が生活保護受給者で、60歳以上の高齢者が約7割を占めているという。
その寿地区内で路上に立ち通行人に声をかけ、勧誘をしている人たちがいる、という。何の勧誘を行っていて、なぜ寿町を選んでいるのだろうか?
早速現地を訪れてみた。
横浜市中区寿町周辺
当日はクリスマスイブ。現地に本部のある横浜カナンキリスト教会の方が、サンタクロースの扮装で寿地区の人たちに炊き出しをしていた。
数十人の人たちが、寿町勤労者福祉協会のビルの階段に腰かけて牧師の話に耳を傾けている。その話が終わると炊き出しが始まり、聴衆が列に並んだ。
勤労者福祉協会の階段で牧師の話を聞く人たち
みんなで賛美歌を歌う
炊き出しに並ぶ人たち
牧師の話を聞いていたある男性に「勧誘者」の件に関して話を伺った。
「それはAという日蓮宗系の新興宗教ですよ。昔は勧誘者が男性でしたが、今は年配の女性になりました。話しかけてきて名前と住所を書いたら、ドヤまで迎えに来るのです。時間を持て余している寿地区の人たちを使って信者を増やそうとしているのです。また彼らが女っ気のないことをいいことに女性を利用して勧誘しています」と答えてくれた。
横浜カナンキリスト教会
横浜カナンキリスト教会のあるビル
つづいて炊き出しに並んでいた人たちに話を伺った(名前を教えてくれる人とそうでない人がまばらだった)。
炊き出しをするカナンキリスト教会の人たち
ある男性は「勧誘者の男性に喫茶店に誘われ、名前を書いたら信者になり、横浜市内の建物の中に連れて行ってもらいました。『南無妙法蓮華経』と一時間ほどお経を唱えると、帰してもらいました。今でもお経を唱えに行こう、と声をかけてきますよ」とのこと。
また丹戸(たんだ)さんは「去年も今年も『食事やお茶を飲みましょう』と言って声をかけてきて『入りませんか?』と入信を誘います。行くと、お祈りをさせられたり、講演のビデオを見させられたりします」と答えてくれた。
さらに小松さんは「5~6年前ですが、ここに住む人たち3人で誘われて横浜市内のある場所まで行くと、1000円ずつくれました。1回行ったら終わりでした。今はしつこいみたいですよ。キリスト教の場合は、炊き出しもしてくれますし、しつこい勧誘もありません。宗教は自分から行うもので、勧誘されて入るものではないと思います」と答えてくれた。
その宗教団体Aの取材許可がでなかったため、詳しくは書けないが、同じ日蓮宗系の団体と関係があることだけは記述させていただく。
勧誘者が現れる
午後1時を回ったころ、寿町4丁目にある寿町総合労働福祉会館周辺にそれらしい人たちを見かけ始めた。
寿町総合労働福祉会館
年齢は50代から60代くらいの女性が多い。3人1組で2~3組が、町内に散らばり、交差点付近で立ちながら、たまに場所を移動ながら、道行く人たちに「日蓮正宗です。お祈りに行きませんか?」などと声をかけている。
路上に立つ勧誘者たち
ほとんどの通行人は素通りし、たまに「うるさい!」と怒鳴られたりしている。
素通りする通行人
勧誘者には男性もいる
しかし意外なことに、親しげに会話をする人たちが多い。
また顔見知りであったりする場合もあるようで、長時間路上で楽しげに話をしている。そして「今度連絡するから」などと言って別れる。
楽しげに会話をする人もいる
話が盛り上がる場面も
勧誘の様子を見てみると、道端で座っている初老の男性に2人で声をかけ、世間話をした後「ちゃんとパンフレットを読んでね」と言っていた。
路上に座る人に声をかける
また知り合いと思われる人には「新年会に来てね」と言って別れていた。
さらに「俺は神道が好きなんだよね。お寺とかお経は何か嫌なんだよ」と興味を示さない男性には、熱心に説得をしていた。
移動がてら声をかけることもある
以前から勧誘活動を行っているからか、勧誘者達が街になじんでいる雰囲気がある。
また寿町の人たちは外見は、荒っぽい印象だが気さくな人たちが多いため、声をかけやすいようでもある。
声をかけられて足を止める人も多い