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日ノ出町駅周辺に「質屋」が集中しているのはなぜ?

ココがキニナル!

京浜急行に乗って車窓を眺めていると、日ノ出町駅付近で「質屋」の看板を多く見かけます。日ノ出町駅付近に質屋が多いのはなぜ?(恋はタマネギさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

日ノ出町から伊勢佐木町にかけて質屋が多い。理由は遊技場や歓楽街を擁する繁華街であるからで、戦後質屋の需要が高まった時期に店舗が増えた。

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ライター:小方 サダオ

日ノ出町駅周辺の質屋を調べる



京急線日ノ出町駅のあたりに、質屋が多い、とのこと。
この地域に質屋が集中しているのには、特別な理由があるのだろうか。また質屋というと、一昔前に需要が高かった印象だが、最近でも利用者はいるのかもキニナル。


質屋が集中しているのか、日ノ出町
 

まずは質屋について文献を探し調べてみた。

『古物商・質屋の始め方・儲け方/ぱる出版』によると、現状に関しては「今、物を大事にする意識が高まっているため、古物商やリサイクルショップ、質屋を母体とする、ディスカウントストアが人気だ。しかし最近は、目利きの店主が査定するような古物商などよりは、値段が標準的に明確化され、明るくて入りやすいリサイクルショップの方が人気だ」という。


衣料品なども手軽に購入できるリサイクルショップ
 

また「質屋には古物商と質屋の免許が必要だ。古物商とは、いったん消費者が手に入れたもの(古物)を売買もしくは交換する営業であり、古物市場(古物商間の売買または交換する市場)を経営する営業のことである」

「また質(質草や質物)とは、金銭を借りる保証として一定期間預けておく物品のことで、質を担保として金銭を貸付けする業者を質屋という。一定期間内に元金と利息を支払えれば、物品は戻ってくる。もし期限内に支払えなければ、質流れといって物品は戻ってこないが、売ったと同じことになり、借金を返す義務もなくなる」とある。


長く使えるのがブランド品のよさのひとつ
 

さらに「そうした手軽さ、便利さが受けて、質屋は戦後に店舗が増え続けて、ピークは1958(昭和33)年で、全国で二万以上の店舗が営業していた。しかしその後は減り続けて、1983(昭和58)年には半分以下に減った」

「それには高度経済成長で国民所得の向上が影響している。経済成長のため社会保障制度・年金保険制度が充実し、各金融機関が消費者金融に進出、サラ金などが普及し、質屋の利用が低下した。


昭和50年代の横浜(横浜市史資料室所蔵)
 

「しかし質屋本来の業務から独立して、別個に仕入れ販売部門を設け、ディスカウントタイプの店舗を新たに作りスタートしている。そして質屋から転業したディスカウントストアが多くなった。それは質草というそれ相当の価値のあるものを持っていたため、小売業への進出の基盤ができていた」とのこと。

質屋は、現在は形態を変えて営業しているお店が多いようだ。
 


現在の質屋事情はいかに
 

そこで日ノ出町周辺の質屋についてインターネットで検索してみた。すると6軒ほど見つかった。しかし少し離れたイセザキ・モール周辺の方が、10数軒と、日ノ出町周辺より多いことに気づいた。

まずは日ノ出町駅前へと向かった。
 


パチンコ店が構える日ノ出町駅
 

すると早速駅前に「質 ブランド買い取り販売」のお店を発見。
 


駅前にあるブランド楽質
       

次に駅前のスクランブル交差点の先に目をやると「大阪屋」という質屋のビルを発見。取材は叶わなかったが、質屋と共にブランドバッグなどの買い取りや販売も行っているようだ。
 


日ノ出町駅前のスクランブル交差点
 

大阪屋・横浜日ノ出町店
 

そのすぐ裏手にも質屋があり、お話を伺ったが「不動産業を行っていて、質屋は副業的に行っているだけです」とのこと。

次に駅前に戻り反対側の黄金町方面の「A(仮)」という質屋を目指す。すると質屋であるはずが、同じ名前の和菓子屋になっていた。質屋から転業したのだろうか?

日ノ出町駅周辺で、今でも質屋として営業しているのは、4店舗程度のようだった。
 


伊勢佐木町に向かう



つぎに検索の数が多かった伊勢佐木町方面に向かった。
 


イセザキ・モール
 

そして伊勢佐木町のある質屋を尋ねるとご主人が「質屋を取材するならば、組合の理事長に話を通したほうが良いよ」と、親切に理事長にお話を通してくれた。

そこで「かぎや」という質屋を経営し、神奈川県質屋組合の理事長である古屋さんに取材をお願いすると、組合の会員の質屋を数軒紹介してくれた。

ちなみに古さんのお店・かぎやは、中区末吉町や横浜駅西口に店を構えている。落語家の桂歌丸さんが若かりしころ通っていたお店であるという。
  


創業46年、蔵が目を引くかぎや
 

横浜にぎわい座
 

施設内にある桂歌丸さんのパネル
 

横浜にぎわい座館長の桂歌丸さん