横浜市の水道水はおいしくなったって本当?
ココがキニナル!
10年ぐらい前までは、自宅の水道水は浄水器を通さないと、においや味が変だった。最近は、浄水器なしでも飲めるようになった。おいしい水道水になった水道局の方の努力をレポしてくだ。(RIPさん)
はまれぽ調査結果!
水道水は10年前と比べ、日々の浄水技術の向上だけではなく塩素濃度を下げる努力など、さまざまな取り組みによって実現されていた!
ライター:すがた もえ子
10年前の水道水は、においや味が変だったというキニナル投稿。
しかし、今は浄水器なしでもグビグビ飲めて、横浜市内の水道水が美味しくなっているという。
では、水道局は日々どんなことをして、横浜市民の飲み水を守っているのだろうか? これは一度調査してみなくては!
生活に必要不可欠な水道水(画像提供:tetu・Wikimedia Commons)
さっそく横浜市の水道を管理している横浜市水道局に取材を申し込むと、横浜市内の水道水を実際に作っている現場を見るのが分かりやすいということで、3つの浄水場を見学させていただけることに。その前に水道の歴史についても少々おさらいしてみる。
保土ケ谷区の西谷浄水場には横浜水道記念館がある
日本で最初の近代的な水道は横浜市が発祥だ。1885(明治18)年に工事が着手され、1887(明治20)年10月17日に給水が開始された。この水道が開通する前までは、横浜市内には飲み水に使える井戸が2つしかなく、ひしゃく一杯の水が非常に貴重だったという。
やがて整備がすすみ、現在の横浜市では、戸塚区の小雀浄水場、保土ケ谷区の西谷浄水場、旭区の川井浄水場の3ヶ所で横浜市の水道水が作られ、このほか神奈川県内広域水道企業団が浄水処理した水を受水して各家庭へと届けられている。
浄水場の仕組み(横浜市HPより)
浄水場では、河川、湖沼などから取水された水を、沈でん池、ろ過池で浮遊物を取り除き、消毒したあと安心して飲める水道水となる。
まずは、市内3つのなかの一つである小雀浄水場に向かい、現在の浄水場でできたての水を飲んで味を確かめてみることにした。
小雀浄水場でお話しをうかがう
小雀浄水場は1965(昭和40)年に竣工
2015(平成27)年の今年、創設50年を迎えた。
小雀浄水場正門。あいにくのお天気
ご対応いただいたのは横浜市水道局小雀浄水場浄水係長の古川明彦(ふるかわ・あきひこ)さん。
雨の中ありがとうございます!
こちらの小雀浄水場では、横浜市の水(76万4000立方メートル)と横須賀市の水(24万5200立方メートル)を処理している浄水場だ。原水は相模川の寒川取水堰(さむかわしゅすいせき)から取水している。
1日の標準処理能力は100万9200立方メートルという。そういわれてもどれくらいの量なのかよく分からないが、横浜スタジアム約3杯分だというので、なんとなく分かるような気がする。
丸いタンクのようなものが配水池
階段を上った高台にあるのは円筒形の地上配水池。横浜と横須賀市内への給水や、ろ過池の洗浄用水にも使用するという。ちなみに階段の途中に踊り場のようなものが設置されているが、落下防止のためだとか。
高台から見渡す。広い敷地
2004(平成16)年の水質基準の厚生労働省令改正で、水質基準項目の水質検査およびその結果の信頼性保証を確保することが水道事業者に求められた。
そこで横浜市の浄水場(川井、小雀、西谷)は品質マネジメントシステムISO9001という規格を2005(平成17)年に取得。水質管理などを含めた浄水処理を継続的に改善しているという。また、国の水道基準以上に厳しい目標を設定し、水を管理。より安定した水質を作るために日々努力を積み重ねているという。
「小雀浄水場の活性炭(不純物を吸着する炭)注入設備は40年以上経過しているのでこれから更新してより良い設備になる予定です」と古川さん。
こちらが沈でん池
原水の中の汚れや浮遊物を取り除くところ。沈でん池の上に架かっているのは太陽光発電パネル。藻類の繁殖を防ぐのと同時に、浄水場内で使用する電力の一部を発電している。
沈でん池と並んで、ろ過池がある
ここは砂の層を通し、水の細かいゴミを取り除く場所。こちらのろ過池も沈でん池同様に太陽光発電パネルでふたをしている。異物混入防止などのために覆い、有効活用しているのだ。
できたてのお水が飲める水道。富士山がかわいい!
というわけでできたてのお水をいただきます
飲みやすい、というのが第一印象。カルキ臭さなどは気にならず、グビグビいける。
ちなみに小雀浄水場は創設50年を記念して、地域の皆さん(横浜市、横須賀市、鎌倉市、茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町に在勤・在住の方)から投稿していただいた写真を組み合わせて1枚の絵を完成させる「フォトモザイクアート」の制作を予定している。10月13日まで写真を募集中だ。