洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」黄金町「洗濯船」編
ココがキニナル!
横浜の洋食文化をつくった老舗洋食店の料理人に密着取材する「横浜コック宝」。第9回は、黄金町界わいで、お昼時に一番のにぎわいをみせる洋食店黄金町「洗濯船」女性コック長の三好理恵子(みよし・りえこ)さん
ライター:クドー・シュンサク
「美味しいものって、人を幸せにするじゃないですか・・・。私は、そんなお客さんの笑顔が見られるのが生きがいなんです。『ごちそうさま、美味しかった。また来るよ』の言葉が、本当に何より幸せです」
洋食の街、横浜。変わらない、穏やかで、それぞれの確かな思い出がつまった横浜の洋食の味。そして、その文化。
美味しい、嬉しい、いつもそばにある洋食を支え続けるコックさん。
横浜が日本に、世界に誇る「横浜の洋食」を作るコックさんを、横浜の国宝としてその1日に密着し特集する「横浜コック宝」。
今回のコック宝はこの方
9人目となる今回は、初の女性コックを選出。中区黄金町界わいで、お昼時に一番のにぎわいをみせる洋食店「洗濯船」コック長の三好理恵子(みよし・りえこ)さん。
あのころの、洋食。いつかの、美味しい記憶がよみがえる洋食の味を日々作り続ける女性コックの1日に密着。
それでは。
始めたいと思います
あのころの洋食「洗濯船」
誰かが「洋食は日本人のご馳走だ」と言っていた。やさしくもハイカラなご馳走、洋食の、あのころの味。
日本人の口に合う、なつかしい味、ここで味わえます。
横浜市営地下鉄ブルーラインの阪東橋駅と京急黄金町駅の間
午前8時30分、コック宝が店に
あらためて今回のコック宝、「洗濯船」の三好理恵子さん。
現在65歳でコック歴は10年の三好さん
生まれも育ちも横浜。55歳まで夫婦で酒屋を営んでいた三好さん。3人の息子さんを育て、酒屋を閉めることになった10年前に「昔からやってみたかった」というコックの道へ。
もちろん料理はすべて独学。大学時代に家政学部にいて栄養学や料理の勉強をしていたのがバックボーンとなる。
そしてもうひとつ
3人の息子さんがいつも友達を連れて家に帰ってくる。そんな息子の友人たちに料理を振る舞うのが好きだった三好さん。「いつも同じじゃだめだし、若いから本当にたくさん食べるのよ」と、懐かしい話を笑顔で語る。
三好さんは「おそらく、それが今のコックの礎になったのかもしれない」とも続けた。
午前8時45分になるころ、開店前の仕込みと準備に入る
まずは入念に厨房をきれいにする
「きれいじゃなくちゃね」と笑顔で話ながら厨房をピカピカにする。夜も店を閉める前は掃除をするそうだが「掃除で終わってきれいにして始める」。
これがコック宝のモットーだという。
それから仕込み開始
手際が特別良いわけではないが
じっくりと
丹念に
仕込みは
続く
付けあわせの大量のキャベツ。タマネギをソテー。パンをカットしパン粉に。パスタの下ゆでにチキンライスの下準備。ハンバーグのタネを仕込み、「あのころの味」の肝となるデミグラスソースの仕上げ。
デミグラスソースが肝
そして、ご飯を2升炊く。ご飯の2升炊き理由は、「お昼のランチはご飯がなくなったら終了。みんな炊きたての美味しい白いご飯が食べたいだろうから、昼炊いたご飯は昼で終了。夜には保温で持ちこさないのよ。美味しいの、食べてほしいから」
大量の仕込みが終了したのは午前11時の開店5分前
「洗濯船」のランチ営業が始まる
「美味しく食べてもらうためにね、仕込んで作るんだから。手間暇なんてのは当たり前」
コック宝は、笑顔でこう語り、サロンを巻いてコーヒーを飲み、お客さんを待つ。
「洗濯船」の味
午前11時になったところでさっそく1組のお客さんが。
付けあわせのパスタもお客さんが来てから仕込む
「少しでも美味しく食べてほしいから。料理はタイミングが重要だからね」とコック宝。
本日のランチはこちら
1組目のお客さんはハンバーグと
明太子パスタ
デミグラスソースとバターのいい香りが漂い、11時30分をまわったころ、店内は・・・。
すでに満席
コック宝はあせらず
じっくりと
一品
一品
あのころの味
洗濯船の味を
作り上げていく
満席でもやってくるお客さん。仕方なく帰るお客さんや「今いっぱいなら後で来る」というお客さんもいる。人気店の様相がうかがえる。
約3時間のランチ営業は
息つく暇もなく
終了