横浜港で飛び跳ねる魚の正体は?
ココがキニナル!
桜木町のワールドポーターズに向かう川から、魚がぴょんぴょん飛んでいるのを頻繁に見かけ皆足を止めて不思議そうに見ています。どういった現象なのか気になります。(mackeysunさん、f3さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
跳ねているのは、ボラという魚です。小さい魚で群れて跳ねていたら、イワシ。大きい魚の場合、スズキの可能性もあります。
ライター:吉田 忍
釣りをしている人達に聞いてみた
象の鼻パークから赤レンガ倉庫周り、そして新港パークのあたりへ見に行ってみた。
確かに30cmくらいの魚が跳ねていた。実は私も釣りをするので、「ボラだ」と思ったけれど、私は魚を釣るよりも地球を釣ることの方が多いへぼ釣り師。
私の答えだけでは信用ならないので、釣りをしている人達にお話を聞いてみた。
その結果、跳ねている大きな魚は「ボラ」ということで一致。
飛び跳ねていた魚の正体は「ボラ」だった(福井県水産試験場提供)
ボラという魚
ボラは河川の河口部に多く生息する魚で、最大80cmくらいになるものもいるが、横浜港などで見られるのは、50cmくらいまでのもの。
水の汚染に強いので、横浜など都市部の港湾などにも多い。
魚体は細長く、体色は背中が青緑っぽい灰色で、体側から腹側は銀色。
水面上にジャンプすることが多く、ジャンプする理由は、驚いたとき、寄生虫を落とすため、あるいはただ遊んでいるだけなど諸説あるが、本当のところは不明。
現在では沿岸の水が汚れて、身が臭いことが多く、あまり食さない魚だが、昔は味の良い魚としてよく食べられていたらしい。
また、高級食材の「カラスミ」は、ボラの卵巣を塩漬けして乾燥させたもの。
高級食材である「カラスミ」は珍味として有名
ブリやスズキなどと同様に成長するにつれて、名前が変わる出世魚でもある。
関東では、オボコ→イナッコ→スバシリ→イナ→ボラ→トドとなる。
ちなみに、この「トド」は「とどのつまり」の語源となったもので、これ以上大きくならないということから、「結局」「最終的には」の意味となっている。
釣れるか?
キニナルに「出来れば実際に釣って確かめて頂けませんか?」という一文があったので、挑戦してみたい気持ちは山々なのだが、これは難しい。
まず、一般的にあまり食さない魚。特に沿岸部で獲れるボラは臭みが強く食用に適さないので、あえてボラを釣ろうと、専門に狙う釣り人がいない。イコール専用の仕掛けも存在しないということになる。
また、ボラの食性は雑食だが、主に藻類なので、餌も難しい。
釣り師にとっては、他の魚を狙っていて、ごくまれに外道として釣れてしまう魚なのだ。
実際に横浜港で釣りをしている方や近所の釣具店にも聞いてみたが、ボラの釣り方を知っている人はいなかった。
横浜港で跳ねている他の魚
小さい魚が群れで跳ねていたら、それはナブラと呼ばれる現象で、大型の魚、サバやソウダガツオに追われて水面に追い詰められた小魚で、たいていは「イワシ」
大きい魚の場合、「スズキ」の可能性もある。体色はボラよりも銀色部分が背中の方まで広く、鱗がボラよりも小さい。ボラほど頻繁にジャンプはしない。スズキはシーバスと呼ばれていて、その引きの強さから専門に狙うマニアがたくさんいる。フレンチでは定番の人気食材だが、刺身にするとクセがあるため日本人にはあまり好まれない。
カタクチイワシ(上)とスズキ(下)(福井県水産試験場提供)
ということで、キニナルの答えはこれで終わりなのだけれど、お話を聞いた釣り人のみなさんは何を釣っているのだろう。キニナルので、伺ってきた。
釣りをしている人達は何を釣っているのか
40年以上、子どもの頃から、このあたりで釣りをしているというヒデさん
自慢は小学生の頃に釣った92cmのスズキだそう。
西区と中区に住む、釣り仲間の方々
「50年近くここで釣りをしている。ハゼとかメジナ、カワハギが釣れる。もう時期は終わったけれど、こないだまではカマスも釣れていた」
「70cmくらいのエイが釣れたこともある。あれは危険だ」
匠と呼ばれていたクールなおじさん。今日の狙いはハゼだが……
ハゼ狙いの太田さん。今日はまだだが、一昨年の9月にはこの場所で1日40匹という記録を持つ