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江の島に架かる橋は、かつては狭くて曲がっていた木の橋だった?

ココがキニナル!

江ノ島なんですが、昔は木の橋で通行料金を払ったような気がします。弁天様は秘仏として公開していなかった気がします。記憶を確かめてくれませんか?(祝人さんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

江の島に架かる橋は、かつては「く」の字のように曲がった木の橋で、一時通行料を徴収していました。ちなみに弁天様は秘仏ではなかったようです。

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ライター:河野 哲弥

現在に至るまでの橋の歴史



対応頂いたのは、文書館の中村さん。さっそく、橋の歴史を伺ってみた。
 


藤沢市文書館、外観


中村さんによれば、江の島はかつて、引き潮のときにしか渡ることができなかったそうだ。そこにはじめて橋が架かったのは、1891(明治24)年のこと。台風が来たり大雨が降ったりするたびに流されてしまう原始的なものだったので、「江の島桟橋」と呼ばれていたそうだ。また、度重なる修繕が必要だったため、渡し賃を1銭5厘徴収していたという。
 


「江の島桟橋」の全景(藤沢市文書館提供)


江の島側から撮影したこの写真を見ると、ほぼ中心で「く」の字に曲がっている。これは、向かって左側から流れる潮の影響を低減するための工夫なのだそうだ。

そして1948(昭和23)年、本格的な木橋の建設が行われ、このとき名称を「江の島弁天橋」に改称(木製・歩道)。なお、このときの渡橋料は、荷車・リヤカーが10円(往復、以下同)、大人5円、子ども2円だったそうだ。

やがて1958(昭和33)年になると、「江の島弁天橋」は、風雨による破損や浸食を防ぐためコンクリート製のものに架け替えられた(歩道)。そして、東京オリンピック前年の1963(昭和38)年、車道専用の「江ノ島大橋」が、「江の島弁天橋」に沿って開通した。ヨット競技の会場として島内のヨットハーバーが選ばれたため、選手や機材などを運ぶ、車両が通行可能な橋の必要に迫られたわけだ。これが今に続いている。

 


同じような角度で撮影した、現在の両橋の様子
(特別に許可をいただいて、「江の島アイランドスパ」屋上から撮影)


両方の写真を比べてみると、橋の形状は、以前とそれほど変わっていないようだ。かつては、幅員が狭かったので、曲がっていた印象がより強かったのだろうか。では、当時の様子を、島内の生き字引的な方にうかがってみることにしよう。



橋から落ちるのは日常茶飯事、かつての島内の様子



そこで思いついたのは、以前、江の島と江ノ島の表記はドチラが正しいのかという記事でお世話になった、「堀江商店」さん。江戸時代からこの場所で、島内の絵図を販売していたという老舗だ。
 


「堀江商店」外観


ご主人は「江の島弁天橋」のことを覚えていて、年に何度も橋が落ちたのが印象的だったと話す。この橋を支えるクイは、海底の砂の上に打っただけのもの。従って、台風などで海が荒れると砂がさらわれ、しばしば橋が宙に浮いたような状態になってしまったそうだ。それを知らずに人が渡ると、橋は重さに耐えきれずに、折れてしまったらしい。

また、魚を積んだ大八車が威勢よく通るときなど、橋桁すれすれに身を避けていた人が、誤って海に落ちてしまうことも日常茶飯事だったという。しかし島内では、「昨日は何人落ちたぞ、今日は郵便屋が落ちた」程度の笑い話で、済まされていたらしい。
 


「堀江商店」の向かいにある、「山本商店」の奥さん


山本商店の鈴子さんは、この店に嫁ぐときにはじめて渡った「江の島弁天橋」の姿が忘れられないと話す。そして、おしゅうとさんから、「橋はいつ落ちるか分からないから、常に1カ月分の食料を絶やさないように」と教えられていたそうだ。

昔の様子が分かったところで、最後に、弁天様が秘仏だったかどうかを確認してみる。
伺ったのは島内にある江島神社。現在、「妙音(みょうおん)弁財天」と「八臍(はっぴ)弁財天」の2体が弁天様として祀られている。
 


江島神社の鳥居前の様子


同神社宮司によれば、「古来より弁財天は、遠方から参拝に来る方も多い『江の島参り』の象徴」とのこと。従って、秘仏などにはしたことがないと話していた。



まとめ



かつてあった「江の島桟橋」、現在の歩道「江の島弁天橋」、そして車道の「江ノ島大橋」。
時代が進むにつれ、部材と共に名称も変化していったこれらの橋。しかし、人の思い出は変わらない。今回の取材を通じて、知らなかった江の島の歴史を知ると共に、投稿者の昔の記憶に橋渡しができたのではないだろうか。


―終わり―
 

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  • 秘仏という表現は観光ガイドの本などに確かに載っていた。弁財天側がそうしていたということではなかったんですね。歌舞音曲の神として薄衣を纏っただけの裸弁天の姿が「イケナイ」感じを与えるので、余りおおっぴらに出来ないねという感じで、そういった表現がされていたのだろう。ところで、私は初詣に日の出弁財天で舞い踊る天女を拝んでまいりました。 http://hamarepo.com/story.php?story_id=1427

  • さっそくの取材ありがとうございます小学校の遠足で江ノ島に行ったときの記憶か、その時に聞いた話を経験として記憶していたのか曖昧だったのが、すっきりしました 5円の記憶もありますが、子供で5円だったはずで建て替え寸前だったんだなあ=たぶん  まずはじいちゃんのリクエストに感謝

  • 昭和23年の国家公務員大卒初任給が約3千円だそうですから、往復の通行料は今なら350~400円くらい? 毎日となるとたいそうな額ですね。

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