横浜の河川に存在する外来種がもたらす危険性とは?
ココがキニナル!
横浜の河川にいる生物の中に外来種がたくさん見つかったそうですが、これって困ったことなの?(カワイさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
外来種は種類によって生態系に大きなダメージを与えることがある。河川の水質は昔に比べて良くなってはいるが、外来種が増加しているので要注意!
ライター:吉澤 由美子
外来種がもたらす危険性
自然は、目に見える動植物から微生物まで多岐にわたる生物たちが微妙なバランスで共存し、作り上げている。
国外外来種には、牧草として導入されたシロツメクサ(クローバー)のように日本の風土に順応したものもある反面、在来種が作り上げた生態系や環境、農業や漁業に大きなダメージを与える侵略的な生物も存在する。
研究所には生物研究室がある
外来種が在来種を捕食し、絶滅させることもある。また、在来種と外来種が交雑して遺伝子的な攪乱が起こるなど生態系への被害がまずあげられる。
水面に浮く外来種の水草が増えて、水中の光や酸素が不足し水質が低下するといった、外来種増加による環境悪化の例もある。
採取されたさまざまな生物が飼育されている
被害が大きく警戒が必要な国外外来種は、「特定外来生物」に指定されている。これは「特定外来生物による生態系等に関わる被害の防止に関する法律」に基づいたもので、飼育・栽培・保管・運搬等が禁止されている。
特定外来生物には、ニュースで話題のカミツキガメ、釣魚として意図的に放流されたバスなどが指定されている。
また、特定外来生物以外にも警戒すべき「要注意外来生物」がいる。先ほど紹介したタイワンシジミは、在来種であるマシジミを駆逐してしまう要注意外来生物。
県内のある水系では、ホタルの保護活動としてエサとなるカワニナを放流した際にタイワンシジミが混入して広まったという、いわば善意の行為によって増えた可能性も指摘されている。
採取した場所により特徴が違う ※画像提供:横浜市環境科学研究所
タイワンシジミとマシジミは区別が難しい。また、市販のシジミなどに肉眼では確認できないサイズのタイワンシジミの稚貝が紛れていることもある。自然保護活動を行う際には、安易な放流を避けるとともに専門家の指導を受けたい。
アメリカザリガニやオランダガラシ(クレソン)のように、調査以前にすでに根付いている国外外来種もある。場所により駆除対象になることもあるが、それ以外の外来種については、推移を注意深く見守るのも大事なこと。
研究所を見学にきた小学生の寄せ書きがあった
横浜市が行う河川の生物調査は、その意味でも重要なのだ。
外来種や見慣れない生き物を見つけたら
つい先ごろ、鎌倉市大船の砂押川で50センチを超えるカミツキガメが保護された。カミツキガメは歯が鋭く攻撃的で危険な生き物。
獰猛なカミツキガメ ※画像:環境省自然環境局外来生物写真集
猫と犬以外の野生動物については、環境創造局公園緑地部動物園課へ問い合わせるのが基本だが、カミツキガメを見つけた場合は、警察に通報しよう。
ただし、ぱっと見ただけで名前を特定するのは難しい。見慣れない野生生物を発見して不安に思ったら、最寄の動物園に相談すれば、適切なアドバイスや問い合わせ先を教えてもらえる。
取材を終えて
外来種は、種類によって生態系に大きなダメージを与えることがあるもの。横浜の河川の水質はよくなっているが、外来種が増加しており注意が必要だ。
この外来種を増やさないためにも、日々の生活の中でできることを心がけてほしい。
ペットを飼う場合には、最後まで面倒をみる。倫理的な理由だけでなく、自然環境を守るためにも重要なこと。
加えて観賞魚の水槽に入っていた水草や石などにも外来種の卵や種などが付着している可能性があるので、取扱いに注意したい。
港南区にある公園ではキャッチ&リリースの釣りが基本だが、特定外来種が釣れた場合には池に戻さないことで環境を保全する協力活動を自主的にしてくださっている方もいるとのこと。
美しい川がよみがえってきている横浜市。さらに豊かな自然を次世代に引き継いでもらえるよう、できることから少しだけやってみようと改めて思った。
外来種の「アメリカツノウズムシ」ヒラヒラした動きは意外とカワイイ?!
― 終わり―
横浜市 環境創造局 横浜市環境科学研究所
住所:〒235-0012 横浜市磯子区滝頭1-2-15
電話:045-752-2605
FAX:045-752-2609
※横浜市環境科学研究所では、8月4日(土)に施設の一般公開を行います。詳細はHPに告知されます。
横浜市 環境創造局 横浜市環境科学研究所 公式ページ
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/mamoru/kenkyu/
今回の調査報告書 PDF
横浜の川と海の生物 (第13報・河川編)
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/mamoru/kenkyu/shiryo/pub/d0016/pdf/d001601.pdf
横浜の川と海の生物 (第13 報・河川編)概要版
http://www.city.yokohama.lg.jp/kankyo/mamoru/kenkyu/shiryo/pub/d0016/pdf/d0016a.pdf
外来種について 環境省
http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/index.html
ホトリコさん
2014年07月16日 12時19分
亀は大好きなので、近所の今井川の亀たちには冬を除いて癒されています。やはりアカミミガメばかりなのですが、イシガメ?クサガメ?少なくともヌマガメっぽい亀もいますが、外来種だったとしても、カミツキガメやワニガメではないので、やはり癒されます。記事に獰猛なカミツキガメとありましたが、人間に対しては臆病であり、パニック状態で自己防衛で噛みつくので、必ずしも獰猛って表現は正しくないかも。