市営地下鉄の津波等による冠水に対する対策は?
ココがキニナル!
市営地下鉄の津波等による冠水への対策や問題点の調査を。ブルーライン「吉野町」「阪東橋」駅付近は数メートルの増水で冠水してしまうらしいですが通気口から水が浸入してしまうのでは?(tom…さんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
地上1メートル程度の浸水には浸水防止機や止水板で対応。それを超える場合は避難が最優先。マニュアル整備や誘導訓練で災害時に備えている。
ライター:沢村 友美
津波に対する対策
では、津波など、地上1メートルを超える浸水の恐れがある場合は?
「その際には、水を食い止めるという考え方ではなく、とにかく避難しなくてはなりません」
東日本大震災発生の後、ニュースなどで繰り返し流される映像は、私たちに津波の凄まじさや恐ろしさを改めて伝えた。
止水板などではもはや太刀打ちできないことは当然で、その際はとにかく逃げるしかないのだ。地下にいては絶対にダメ。高台に逃げることが先決である。
今年4月に改訂された横浜市による「津波からの避難に関するガイドライン」を見ると、こちらでも阪東橋駅、関内駅などブルーラインの6つの駅が津波による浸水予測区域に含まれている。
この事態に備え、横浜市営地下鉄では「今年の2月と8月に、津波を想定とした避難誘導訓練を実施しました。またこの訓練結果をもとに『交通局津波対応マニュアル』を整備しています」とのこと。
夜中に行う地下鉄トンネル内での避難誘導訓練(横浜市交通局提供)
2月の訓練の様子については、はまれぽの過去記事「横浜市営地下鉄で行われた災害時の避難誘導訓練とは?」でレポートしているので参考にしてほしい。
今年2回目となる8月の訓練では、「大規模地震の発生により、非常ブレーキが作動して電車がトンネル内に停止。東京湾岸一帯に大津波警報が発令された」という場合を想定。
ブルーライン横浜駅と桜木町駅間の下り線にて動力源が断たれた電車を、勾配を使って動かし、高島町駅ホームに新設された「津波停止位置」に停車。その後、乗客を高島町駅ホームから地上部へと誘導し避難するという訓練だった。
当日は職員約100名が参加し、1回目の訓練後に作成されたマニュアルを実際に検証しながら、課題や問題点の見直しを行ったそうだ。
津波避難誘導訓練を報告するポスター
対応策への今後の課題
もちろん、マニュアルや訓練の経験があるからといって実際に津波が発生した際もその通りにいくとは限らない。「慢心することなく、常に乗客の皆様の安全を第一優先に考え、今後も臨機応変に対応していきたいと思います」とのことだ。具体的な今後の対応策についても伺った。
「臨海部に隣接する三ツ沢下町駅~横浜駅間と、高島町駅~桜木町駅間の換気所に、地上への新たな避難経路を整備します。また、停電時でも列車を最寄り駅まで走行できるよう、高島町変電所に大規模蓄電池を設置する予定です」
左から佐々木さん、木藤さん、吉田さん
調査を終えて
冒頭でも述べた通り、横浜市消防局から新しい地震被害想定が出されたことで、今後はほかの関連部門においても、防災マニュアルや避難のためのガイドラインなどが見直されるであろう。それによって、交通局でも設備の改良や新たな基準に基づく訓練など対策がさらに強化されるものと期待している。
同時に、防災という面においては、運営側の対策にただ頼るだけでなく、利用する私たちの側でも積極的に取り組んでいく必要があるように思う。
いざというときに慌てず行動ができるよう、よく利用する駅の構内図から避難経路を確認しておく、災害時の対応を頭の中でシミュレーションしておくなど、普段から心がけておくことも大事だと感じた。
―終わり―
みちるさん
2012年11月03日 01時25分
詳細なレポートありがとうございます。実際にはどのようになるのか?心配はつきませんが…