横浜市の「待機児童ゼロ」対策と「保育コンシェルジュ」って?
ココがキニナル!
横浜市役所の中で「保育コンシェルジュ」という役職がありますが、実際にどのようなお仕事をされているのか知らない市民も多いと思うので取材してきてください(濱のホタルさん)
はまれぽ調査結果!
保育コンシェルジュは保育施設を探しているお母さんたちの相談窓口。2013(平成25)年4月の待機児童数は現在集計中で5月末に発表される
ライター:桐生 由美子
保育コンシェルジュは待機児童数減少の救世主
2011(平成23)年6月、横浜市18区すべてに設置された「保育コンシェルジュ」事業。昨年からメディアでも耳にすることが多くなった「横浜市の保育所待機児童数が大幅に減少」というフレーズを作った状況に、一役買っている救世主。
では、「保育コンシェルジュ」は待機児童を減らすために実際にどういった取り組みをしているのだろうか。保育コンシェルジュ事業を統括している、「横浜市こども青少年局子育て支援部保育対策課」へ伺った。
山岸紗依子(やまぎしさえこ)さん
山岸さんは、「年度末から年度始めはバタバタで・・・」と言いつつも快く取材対応をしてくれた。
手前のデスクの島が横浜市こども青少年局 子育て支援部保育対策課
各区管轄の「保育コンシェルジュ」の連絡先(クリックで拡大)
「保育コンシェルジュ」は各区役所内の「こども家庭(障害)支援課」に在籍し、保育サービスに関して「事前に電話で予約をするとスムーズに相談に乗って」くれるとのこと。
相談員は市の非常勤嘱託(しょくたく)員。特に資格は求められていないが、中には保育士の資格を持っている人や、子どもが大きくなって子育てがひと段落したベテランお母さんなどがいる。
主な相談内容は、「子どもを預けられる保育施設はどこか」というものから、「子どもを持ちたいが産んだ後に子どもを預ける時はどうしたらよいか」というものまでさまざま。また病気や介護といった事情で、子どもを一時的に見てくれる人が欲しいという人もいる。そういった家庭の事情を聞き、保育施設探しや手続きなど、ニーズに合ったサービスのアドバイスをしてくれ、待機児童が減ったと言われている現在も日々奮闘中とのこと。
「待機児童ゼロ」のために新設された保育所はどんなところ?
では、規制緩和によって新設された「ビルの一室を利用した保育所」はどんなところなのだろうか。
保育施設が「認可保育所」となると自治体が入所申込を受けて選考するので、必ずしもマンション入居者の子どもが優先して入所できるというわけではなくなる。マンション住人専用の保育施設がある場合は、そのマンションを管理している事業所が認可外で運営しているケースが多い。
日当たりはいいのか? 狭い中に子どもたちが詰め込まれてはいないか? そんな不安が頭をよぎる。
そこで、昨年4月にオープンしたばかりの「グローバルキッズ戸塚第二保育園」に取材依頼。さっそく見学に行ってみた。
JR戸塚駅前のビル「TWINS YAMAKI」の2階と3階が保育所。1階の入口も専用に設けられ、カメラ付きのドアホンで確認してからドアが開けられる仕組みになっている。
「昨年4月のオープンから今年の3月までは、0~2歳までの受け入れでしたが、今年の4月から3歳児も受け入れられるようになりました」と園長の井澤くるみ先生。
2012(平成24)年4月、戸塚駅前にオープンした「グローバルキッズ戸塚第二保育園」(認可保育所)
井澤園長(左)も栄養士さんも「子どもたちの笑顔が元気のもと」なのだとか!
園内は広々とした空間を腰高の収納で仕切って年齢別の部屋にしているので、明かりをさえぎるものがなく暖かい。床は裸足で歩く子どもたちのために、木のフローリングやコルクを使用。0歳児のお部屋の一部には畳を敷くなど、子どもたちの「手足の感触の心地よさ」も大事につくられている。
園内は窓からの陽射しでポカポカ
天井付近にぶら下がっている濡れタオルは乾燥を防ぐ効果があるのだそう。
トイレもひとりでできるように練習からスタート
食事はすべて栄養士さんの手づくりで、アレルギー対策も万全。保育士さんと栄養管理士さん、そして看護師さんが常駐し、子どもたちと保護者が安心して生活できるように徹底しているという。
食事は栄養士さんが管理。月齢に合わせ、離乳食のつぶし具合にもこだわって調理する
2階3階の各教室へ入る扉は、登録されたセキュリティカードがないと開けられない仕組み
またグローバルキッズでは、「送迎保育ステーション」として整備された園で、3~5歳児を園から遠い送迎先の保育所までバスで送迎するという機能がある。子どもたちは、保護者のお迎えが来るまでグローバルキッズの園内で一緒に過ごしている。「駅から遠いと、車を運転しない保護者の方は大変。どんどん利用してほしいです」と井澤園長はいう。
提携している3ヶ所の保育所まで送迎バスで送り迎え(別途申し込みなどあり)
マイナスイメージが多かったビルの一室を利用した保育所も、きちんとした環境を整えることで、子どもたちも安全で楽しい時間を過ごすことができる。
自分のライフスタイルにはいったいどの保育所が合うのか? わが子にはどんな環境が合うのか? 保育コンシェルジュは、相談に来た親や子どもの性格に合った保育所選びもアドバイスしてくれる。
取材を終えて
「保育所を増やし、保育コンシェルジュという相談窓口をつくり、少しでも多くのお子さんが保育施設に入れるように私たちもがんばっています。しかしそれでも、まだたくさんの人が希望通りの保育所に入所できない状況にあります。より多くの方にニーズに合った保育サービスを利用していただきたい」と、コンシェルジュを代表して山岸さんはいう。
山岸さんに現在の待機児童数を伺うと、「平成25年度の数字は4月1日の人数を現在調査中で、5月下旬には発表になります」とのこと。179人から何人まで減るのだろうか。
同時に安倍晋三内閣総理大臣が、「国全体で5年後に待機児童ゼロを目指す!」と宣言しているのを耳にしたことで、いっそう期待が高まる。
記者は17年前に子どもを産んだ翌年、仕事に復帰するため保育所を探したが、とても苦労をした経験がある。特に、市役所内にある福祉事務所で相談しても「書類を提出してください」という、事務的な答えしか返ってこなかった。今は保育コンシェルジュという専門の相談員がいる。その存在が保育所を探すお母さんたちにとっては、きっと心強いだろうと思う。
ただ一方で、「待機児童ゼロ」というイメージ先行の報道に、「単なる数字合わせ」「実感がない」など疑問を感じている人も少なくない。次回は「待機児童ゼロ」という言葉だけが、先行してしまっているのかどうか、実際に待機児童を持つ母親に話を聞いてみたい。
―終わり―
【取材協力】
・こども青少年局 緊急保育対策課担当
住所/横浜市中区尾上町1-8 関内新井ビル5階
電話番号/045-671-4220
・グローバルキッズ戸塚第二保育園(認可保育所)
住所/横浜市戸塚区戸塚町5043-2 TWINS YAMAKI Ⅰ 2.3F
電話番号/045-881-0408
名無しの権平さん
2016年10月20日 23時42分
保育コンシェルジュに相談に行ったが戸塚区のコンシェルジュは無認可保育園探してください!と言う答え!それで何を持って相談できるというにだろうか?そんな事言わせるためのコンシェルジュなのか...がっかりだな!
ぎるこさん
2014年01月13日 08時41分
>ただ一方で、「待機児童ゼロ」というイメージ先行の報道に、「単なる数字合わせ」「実感がない」など疑問を感じている人も少なくない。次回は「待機児童ゼロ」という言葉だけが、先行してしまっているのかどうか、実際に待機児童を持つ母親に話を聞いてみたい。 まったくもって、その通りです!保育の質を下げ、小手先で預かる場所を増やしただけ。「待機児童0」だけが一人歩きしていますが、その実態は不安定かつ不透明です。無認可や保育ママに預けりゃ働けるからいいさ、的なことで本当に働くママが安心できるかなんてことは、まったく除外なんですね。
たくぞうさん
2013年08月29日 12時20分
待機児0なんてただの数字のマジック。役人の自己満足でしかない。それに踊らされている政府やマスコミ。実際の認可保育園の実情をご存知な方は殆どいません。保育コンシェルジュにしても、紹介される保育園は希望の場所とは程遠い。それで断ると待機児じゃなくて保留児扱い。市に取材するだけでなく、保育所や横浜保育室に飛び込みで行って取材してきてほしいです。