36人で30万円！

横浜市南区三春台の関東学院高校1年男子生徒計36人が万引きを行っていたことが分かった。3月10日（火）に学校が発表したもので、被害総額は約30万円にのぼる。

同校の冨山隆（とみやま・たかし）校長は「深くお詫びする。再発防止に取り組む」というコメントを発表した。
　

生徒の大量万引き・謹慎が発覚した関東学院高校（同校ホームページより）
　

学校の説明によると、2015（平成27）年2月5日（木）に横浜市西区のコンビニエンスストアで男子生徒が万引きをしたが、店員に見つかり逃走。店から学校に連絡があり、4人を確認した。

その後、2月7日（土）に生徒から事情を聴いたところ、1人が見張り役で、3人が万引き行為をしたことが分かったため、保護者に連絡。2月9日（月）に保護者同伴で店舗に謝罪と精算を行い、生徒4人は無期限謹慎処分とした。

店から通報があった日の翌日である2月6日（金）に対応できなかったのは、関東学院中学校の入学試験だったためとしている。取材中に対応の遅れがあったのではと聞くと、担当者は「ご指摘されても致し方ない」との見解を示した。
　

入試で対応が遅れた？（写真はイメージ、フリー素材より）
　

2月9日から17日（火）にかけて学校側が独自の聞き取りを行ったところ、この4人のほかに1年生32人が万引きをしたことがあるという事実を認めたため、全員に謹慎処分を科した。結果として1学年245人のうち、14.6％に当たる36人が謹慎という異常事態となった。
　

学校側の説明による主な経緯
　

学校が把握している一番古い事実は2014（平成26）年9月で、場所はすべて横浜市内。コンビニのほかに家電量販店やスポーツ用品店でも犯行に及んでいて、単品で1万円近い商品を盗んでいるケースもあった。

中には複数回にわたって犯行を繰り返している生徒もいた。初犯という生徒もいれば、多くて20回以上という生徒もおり、被害総額は約30万円になると見られている。学校で把握している限り、リーダー的な存在はいない。単独犯やグループ犯など、犯行の人数構成はまちまち。
　

万引きは刑法235条の「窃盗罪」。法定刑は10年以下の懲役または50万円以下の罰金
　

学校の聞き取りに対し「ほしいものがあった」などと答えている生徒もいるという。学校は被害があった各店舗に対して謝罪と精算を行う旨を伝えた。学校も店も警察に通報する予定はない。

「万引きは犯罪行為であることを認めさせながら、更生していくことを促していく」ということで、警察に通報することはしないという。
謹慎していない生徒については、クラスでホームルームを開いたり、気になることがあれば個別で相談を受ける体制を設けたほか、今後は登下校時に教職員が校外に立って指導することなども検討していく。

今回は発覚から公表まで1ヶ月以上あった。

その間に高校入試の発表や入学手続きの締め切りがあったため、隠ぺいの意図があったのではないのかという質問に対しては「4人の事実が発覚した時点でほかにも同様の行為をしている生徒がいないかを把握し、被害を繰り返さない・拡大させないためにすべきことを優先した結果、この時期の発表になった。隠ぺいなどの意図は一切ない」との回答を得た。

取材を終えて

筆者は従来「万引き」という単語が気軽に犯罪に手を染める引き金になっているのではないかと考えている。本文でも述べたが「万引き」は刑事犯の窃盗罪なのだということを認識すれば、少しは抑止になるのではとも思う。

今回の件は、客観的にみれば「警察に通報すべき」という意見もあると思う。

「人になれ 奉仕せよ」という校訓を持つ同校の底力に期待したい。


―終わり―