菊名貝塚が住宅地に埋もれてしまっているのはどうして?
ココがキニナル!
菊名にある菊名貝塚、大倉山駅前の地図に載っているので、現地へ行ってみました。県教育委員会の署名のある看板もたっているにもかかわらず、あたりは荒れ放題、どれが貝塚なのかわかりません(ほにょにょさん)
はまれぽ調査結果!
現在は住宅街に埋もれ、外から見ることはできない。しかし、ないがしろにされているわけではなく、保存のための努力がなされていた!
ライター:田中 大輔
決して軽んじられているわけではない!
周知の埋蔵文化財包蔵地である菊名貝塚の上に建物を造るとなれば、届け出は必ず必要になる。
個人や民間企業、市の公共事業の場合は市が、国や県が主体の公共事業であれば県がそれぞれ管轄し、遺跡への影響が考慮されることになっている。
遺跡への影響が予想されれば、建物の位置をずらせないか、基礎をかさ上げできないかなどの交渉が行われ、極力遺跡に傷がつかないように努めるんだそうだ。
看板が建てられている国土交通省の寮も、建物の向きを当初の設計とは変えているそうだ。
真下に貝塚が見つかったため、そこを避けるように建てられた寮
それでも、どうしても影響を与えてしまう場合は、発掘を行い記録保存をする。
「遺跡にとってベストの方法ではない」とのことだが、遺跡がなくなってしまう代わりに、遺跡の記録を将来に伝えていくことができるので、ベターな方法ということだ。
長岡さんは「影響がない限りはいじらないで置いておくのが一番いいんです」と言う。
「今分からないことでも100年後には分かるかもしれない」わけで、例えば1万年前からそのまま土の中で保存されてきたものは、そのまま後世に伝えるのが最良なんだそうだ。
見方を変えれば、上に遺跡に影響を与えない家が建っている限りは遺跡がいじくり回される可能性もなくなるので、ある意味では遺跡の保護にもなるそうだ。
現在でも工事が行われているところもあった
工事現場の片隅を覗くと、白い貝殻を発見! これも貝塚の一部かも!?
むしろ、土を掘り返し遺物を持ち出す発掘調査は、遺跡をそのまま保存するという考え方からは外れてしまう。
開発で遺跡がなくなってしまうことが前提となる記録保存では詳細な発掘調査が行われるが、学術的な目的で行なわれる発掘では、そういった観点から必要最低限の調査のみに抑えるのが基本。
遺跡が見つかったらすべてを掘り返して徹底的に調査する、という一般的なイメージは必ずしも正しいわけではないというわけだ。
取材を終えて
あらゆる遺跡において、最優先されるのは「保存すること」とおふたりは話す。
それは歴史的な大発見であろうが、小規模な遺跡であろうが、上に家が建とうが同じこと。
宅地開発と遺跡保護は切っても切れない関係にある。
皮肉なことに、埋蔵文化財保護の機運が高まった背景には、昭和中期の大規模開発がある。開発で多くの遺跡が破壊されてしまったからだ。
菊名貝塚の辺りも古くから開発が進み宅地化されたため、実は貝塚の全貌は明らかにはなっていないそうだ。
高台から望む菊名貝塚周辺。開発で便利になった一方で失ったものも
住宅に埋もれ人の目に触れることはない菊名貝塚だが、決してどうでもいい遺跡だから家を建てているわけではない。
遺跡を保存するための最大限の努力のもと、貝塚は地面の下で生き続けているのである。
―終わり―
都筑のふくちゃんさん
2013年09月02日 13時09分
横浜市北部はいたるところに遺跡があります。菊名のお話、ありがとうございました。都筑図書館と歴史博物館のコラボ講座を紹介します。講座&ワークショップ「わが家の下に遺跡がある!?」図書館の資料を使って、自宅近くにある遺跡を、探してみませんか?お住まいの近くにある遺跡を解説をいたします。〔日時〕 10月5日(土) 午後2時~4時〔会場〕 都筑区総合庁舎 6階大会議室〔講師〕 高橋 健 氏(横浜市歴史博物館学芸員) [対象〕 都筑区在住・在勤・在学の高校生以上の方 [申込〕 9月12日(木) 午前9時30分から 都筑図書館窓口、または電話(045-948-2424)で企画展示も同時開催http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/chiiki/tsuzuki/image/tsuzukisaihakken.pdf