横浜にこんなすごい会社があった!Vol.6「信号システムなどのトップメーカー株式会社京三製作所」
ココがキニナル!
横浜にこんなすごい会社があった! 第6回は私たちの身の回りにあって安全や快適性を守ってくれている信号システムなどのトップメーカー「株式会社京三製作所」をご紹介!
ライター:吉田 忍
交通管理システム(つづき)
1971(昭和46)年以降、交通情報の自動収集・提供機能と広域交通信号制御機能が一体化された交通管制センターが設置され、交通量や状況に応じて信号の適切な運用を行い、車両の流れが制御されるようになった。
下のグラフをご覧いただきたい。車両台数の推移と事故件数などのもの。
昭和46年ごろを境に事故件数などが激減しているのがわかる ※資料:警察庁
事故の激減は信号機をはじめとする交通安全施設の量的整備の推進とそれに対応した信号機の機能向上によるところが大きいのだが、そこには京三製作所の技術力が大きく係わっていた。
この信号灯には、たくさんのLED(発光ダイオード)が入っている
個々のLEDの光が大きく菱形に見えるのが京三製の信号灯だ。各色のランプ部分は直径30cmで、近くで見ると大きさに驚く。
風間さんと案内していただいた広報の高橋さん
これが信号を制御する信号制御機
一般的に「信号機」というとランプだけを思い浮かべるが、「信号灯器(とうき)」と、制御する「信号制御機」で構成されている。信号制御機は低い位置にあるのでラベルが確認できる。おおむね3割くらいが京三製だそう。
筆者は取材後、気になって交差点毎に確認するようになった。
このラベルがあれば京三製だ
灯器の裏にもラベルがあるが確認は難しい
工場の見学もさせていただいた。警察庁が定める信号機などの耐用年数は19年。家電製品に比べたら破格に長い。さらに信号には、故障したとしても絶対あってはならない厳しい基準がある。
特に同時に青になってしまうことは一番のタブー。例えば、東西と南北に走る道が交差する場所で、もし東西と南北の信号が両方青になってしまったら事故や大混乱が起こる。そのため、信号機はもし故障したとしても、絶対に両方が青にならないように設計されている。
漏電などが起こった際にも絶対に青同士が点灯してはならないので、二重三重の対策が図られている。
「信号は、想定外があってはならない世界なんです」と風間さん。
チェックのため三色同時に点灯している。現実には絶対にないので貴重な写真かも?
「現在の信号灯はLEDなので、西日が直接当たっても見えやすく、電力消費は電球式の6分の1です。そして・・・」と風間部長のお話は最新のものから未来の技術に及んだ。
「当社では自律分散型交通信号制御システムを完成しています」
これは、隣接する交差点の信号機同士が、管制センターを介することなくデータをやりとりして、信号タイミングを予測的に決定するものだという。
新しい信号制御システムの図 (※画像提供 株式会社京三製作所)
隣の交差点を流出した車両数と次の交差点への到達時間を予測して信号を制御し、赤信号で停止時間が最小になる信号時間を決定する。これが設置されるようになれば、渋滞が大幅に減少される。
「時間のロスを減らすだけではなく、渋滞の緩和は二酸化炭素(CO2)削減にもつながり、環境の改善にもなるのです」と風間さん。そしてこう続けた。
「私たちの製品は警察から発注をいただいているのですが、その元はみなさんの税金です。みなさんの生活が快適になるシステムを作らなければならない。車のことだけではなく、高齢化社会を踏まえて、歩行者の安全、快適も目指しています」
そのため、車だけではなく、横断歩道上の歩行者を感知して信号を制御するシステムも既に実用化されている。
信号は日常にすっかり溶け込んでいるが、見た目はそれほど変わっていなくても、実は進化を続けていた。安全のために、故障した時の壊れ方まで想定外を許さない設計がされていることに感銘を受けた。
敷地内には、テスト用の信号があった
余談だが、信号の青は「青なのか緑なのか問題」について伺った。
答えは、道路交通法では、青信号と記されているので、交通ルール上は青と表現するのが正しい。
しかしISO国際標準で定められている信号の色は緑。海外ではグリーンシグナルで、日本でも英語表記にするとGreenだとのこと。