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戸塚付近の国道1号線でよく見かける看板、ビスケットで有名な「宝製菓」の横浜工場を特別大公開!

ココがキニナル!

戸塚区の原宿あたりにある「宝製菓」「宝ビスケット」の看板の会社が気になります。(miyukidさん)宝ビスケットの看板が気になります工場が近くにあるのか?販売店販売店舗は近くにあるのか?(かぴたさん)

はまれぽ調査結果!

戦後の食糧難に栄養のあるパンを、という想いから1946年創業。今では150種以上のビスケットを中心にコラボ商品の開発やB級品販売も手がけている

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ライター:河野 哲弥

1日に作られる夢の数は、20万個以上



根本さんの後に続き、工場内を進んでいくと、いつの間にか建物の外に出てしまった。
えっ、まさか、もう終わりですか?
 


敷地内に建つ、2本のタワーに注目
 

「あのサイロには、砂糖と4種類の小麦粉が保管されています。工場内の機械と連携し、自動的に原材料が運ばれる仕組みです」とのこと。いったん外に出たのは、こういうことだったんですね。
 


製品ごとに異なる生地を混ぜ
 

よく見る形に成型し
 

長さ約50メートルのオーブンを通りながら焼かれる
 

オーブンが長いのには、理由があるそうだ。実はこの中で、4段階の温度調整をしているらしい。ベルトコンベアーの上下、つまり表と裏を合わせると、実際は合計8つの温度が設定可能。例えば「外はこんがり、中はしっとり」にしたい場合、最初は強火で表面を固め、後でじわじわ焼き上げていく。

また、その日の気温や湿度によっても微調整する必要があり、これがうまくいかないと、製品が割れたり規定外の大きさになったりすることも。
 


クリームサンドの材料、1分間に約1800個製造


「生地は、焼き上がるとふくれていくんです。そこが一番難しいポイントですね。規定の範囲より大きくなってしまった場合は、B級品としてご提供しています」と根本さん。ほか、包装紙の位置がズレてしまった場合も、同様なのだとか。


詰め合わせをパッケージする機械、最大8種類まで可能
 

箱に詰めたら、出荷準備の完了
 

多いときには1日30万個の商品を製造するというこの工場。特徴としては、ビスケットとクラッカーに特化していることだという。
その辺の理由を、会社の沿革などとともに、社長室長の岩崎智子(いわさきともこ)さんに説明していただくことになった。
 


栄養の優れた「食品づくり」をめざして



岩崎さんによれば、宝製菓は1946(昭和21)年の創業時、「ふじパン」という個人商店のベーカリーで、藤沢市に設立したらしい。創業者の岩崎裕侾(いわさきゆうこう)氏は、戦後の食糧難を何とかしたいという一心で、栄養価の高いパン作りを手がけることになった。
 


創業時のロゴと店舗の様子


店名の「ふじ」は、裕侾氏が山梨県出身であり、富士山が好きだったことに由来。当時は貴重な食べ物を「宝」に例えたロゴを使用していたが、子どもにも親しみやすいビスケットの生産をはじめた直後の1950(昭和25)年に、「宝製菓」として法人化した。この横浜工場が稼働したのは、その後1962(昭和37)年のことになる。

ちなみに「ビスケット」の由来のひとつは、パンを長期保存するために2度焼きした、カンパンのようなものにあるそうだ。同社が、後に主力商品となったビスケットとクラッカーをメーンに据えているのは、「主食となり得る食糧メーカー」という創業者の意思を尊重し、その軸からブレないためのこだわりなのである。
 


商品一例、「宝箱」に詰まったようなワクワク感がある
 

ちなみに「クッキー」とは、ビスケットに比べてバターの配合や油分の多いリッチな商品で、主にアメリカで使われている言葉とのこと。日本での線引きは、いまひとつ不明確になっている。

そんな同社だが、B級品の販売は1950年代から行っていて、当時は「久助(きゅーすけ)」と呼ばれ、末広がりで縁起のいい「八」の付く日に販売していたそうだ。「久しい」は常時販売ではないこと、「助」には今で言う「ちゃん」のような愛称のほか、家計を「助ける」という意味も込められていたという。岩崎さんは「今でも、親しみを込めて『きゅーすけ』と呼ばれる方が多く、祖父の時代から愛用していただいていることに感謝しています」と話す。
 


ヘルシーな、麦芽入りのグラハム粉を使った商品も多い


また、1985(昭和60)年には、創業の地・藤沢にも新工場を設立。こちらでは、3ヶ月に1度B級品の販売を行っている。毎月行っていない理由は単純で、需要に供給が追いつかないから。そう考えると、横浜工場の「久助」の方が、狙い目といえるかもしれない。
 


現在は「ダックコック」が目印、裕侾氏が口ずさんでいた「あひるのコックさん」に由来


では、現在の取り組みはどうなっているのだろう。
岩崎さんによれば、新たな試みにも挑戦しているとのことで、いくつかご紹介していただこう。
 


女性のパワーは同社の宝



まずは、ご当地商品から。
ビスケット一枚一枚に横浜の点景をあしらった「横浜ロマンスケッチ」は、表面を固く焼き上げたサクっとした食感が持ち味のクリームサンド。
 


横浜散策にうってつけ、問い合わせも多い人気商品


一方、京都ノートルダム女子大学の学生によって考案されたのが、「グラハムビスケット 宇治抹茶&ストロベリーチーズケーキクリーム」という時期限定商品。
「普通に考えれば、抹茶には小倉あんですよね。えっ、ストロベリーと合わせちゃうの? しかもチーズケーキクリーム? この発想には参りました」と、根本さんも脱帽の様子。
 


「産学(企業と教育機関)連携」は、今後も進めていきたいそうだ


また、新製品「バラ丼のたれ スナック」は、藤沢市に本店を置く飲食店「里のうどん」とのコラボ商品。ビールのおつまみにも合う、同社としては今までにない野心作である。
 


パリっとした食感が絶妙、食べ出したら止まらない


こうした製品開発は同社の研究室で行われ、そのスタッフは全員女性なのだとか。
「当社の製品の一部は、女性が開発した商品に対し神奈川県が認めた『神奈川なでしこブランド』の認定を受けているんですよ」と、岩崎さん。
 


宝探しはもう不要? ファン待望のお知らせが



では、同社の製品は、どこに行けば買い求められるのだろう。
実は、最も多く寄せられるのが、この質問なのだとか。ところが、流通には直接携わっていないため、「必ずココにあります」とは言い切れないそうだ。

そんな中、うれしいニュースをGET。同社ではこの4月から、コーポレートサイト内にて、オンラインショップをオープンする予定。これで全国どこにいても、家庭から直接購入手できる。また、直接横浜工場の直営売店に行けば、市販よりもわずかにお得な価格で、正規品が購入可能。
 


メーカーのオススメは、ロングセラーの「NEW ハイミックス」


食料ではなく「食糧」を提供しようとした創業者と、その想いに独特のアレンジを加えた現在の同社。そのポリシーは、コーポレートサイトにある「宝製菓のこだわり」の、冒頭の一文に込められている。

私たちだからできる仕事にまっすぐ取り組んでいます

この「まっすぐ」がいい。食に変化球を求めるから、さまざまな疑惑問題が起こるのだ。
正々堂々、直球勝負で作られたビスケットは、麦芽独特の食感もさることながら、どこか懐かしい味がする。
 

―終わり―
 
◆宝製菓株式会社
http://www.takaraseika.co.jp/
 

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  • うわっ!これ会社の常備菓子として食ってた!あの近所の宝製菓だったとは。

  • 6年半前に仕事で通りかかったら売店がなく残念に思いましたがようやくできるんですね。機を見て行ってみようと思います。←方々の記事でこう言いつつも実現率はいかばかりか(汗

  • 確かにあの看板は車であの辺りを走るとよく見かけます。次は「新堀ギター」もお願いいたします。

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