振り込め詐欺被害防止マジックを披露する、防犯エンタ-テイメント集団「GIFT」の正体は?
ココがキニナル!
防犯エンタ-テイメント集団「GIFT」。川崎フロンターレ戦に行ったら、子ども安全マジックというものをやっていました。普段は振り込め詐欺被害防止マジックをしているとか。何者?(カシマシさん、コマ男さん)
はまれぽ調査結果!
会社員をしながら防犯活動を行っている代表の高橋氏を中心に、8人からなる「GIFT」は、さまざまな場面で振り込め詐欺の被害防止などを啓蒙する集団
ライター:コハル
体を動かしながら楽しめる“体験型マジック”
高橋氏の得意とするマジックをうまく生かしながら、これまでにはない新しい形の防犯活動はできないか。二人が相談した結果、「体を動かしながら楽しめるマジックショーを通じて、詐欺被害にあわないための心得を分かりやすく伝えていく」というスタイルに行き着いた。
詐欺被害を題材に選んだ理由は、マジックと詐欺には“ひっかかる”という共通のキーワードがあったから。
詐欺被害の縮小は神奈川県警でも大きな課題となっている
高橋さんは「振り込め詐欺被害にあわないように、自治会や高齢者施設などで披露していました。当初は主に高齢者の方々がターゲットだったのですが、それが活動を進める中で、少しずつ変化してきたのです」と話す。それが、投稿にあったサッカーの試合会場でのイベント出演なのだそうだ。
活動方針も徐々に変化してきた。さまざまな場所でボランティア活動を行う中で、高橋氏が感じた“意外な問題点”だった。
世の中には「ボランティア=無料で何でもやってくれる人」という概念があり、高橋氏に対して横柄な態度を取ってくるイベント関係者も少なくなかったというのだ。交通費の支払いさえないのは当然、ショーの準備に使用するスペースすら満足に用意されていないということもあった。
各所でショーを行う中で、ボランティアに対する扱い方に疑問を持つこともあったという
そんな経験を通じて、「世の中でボランティア参加者がこんな扱いを受けていては、若い人も積極的にボランティアに取り組まないはずだ」と実感したという。
「防犯活動拡大のためにも、若い世代の積極的なボランティア活動はマストですよね。そのためにも、まずは世の中のボランティアに対する考え方を変えなきゃいけないと思いました。私はこの活動を通じて、ボランティア活動の新しい形を若者に啓蒙したいのです。」
それからは、出演の依頼を受けた際には、心ばかりでも交通費や謝礼の相談をあえてするようになった。意外にも、少しでもお金を支払ってもらった方が、主催者側もボランティアメンバーを丁寧に扱うようになったのだという。
GIFTの活動に大きなやりがいを感じているという高橋氏
高橋氏はこの活動を通じて得た人脈を、自分の仕事にも生かすように。
「自分にも何かしらのメリットがある。そう思わなければ、現実的にボランティアは続けられませんから。自分自身も楽しみながらできるボランティアがあるということを、私が今の若者たちに示したいのです。」と熱く語る。
今後はたくさんの若者にショーを見てもらいたい
現在は高齢者だけではなく、より多くの若者に見てもらうために、中学校や高校でも積極的にマジックショーを開催。今後は大学の学園祭などにも参加していきたいと語る。若者に対しては、詐欺に手を染めないように訴えるのと同時に、「ボランティア活動の楽しさ」も啓蒙していきたいという。
高橋氏に今後の展望を聞いてみる。
「高齢者や若者の防犯に対する意識を高めてもらったり、若者の積極的なボランティア活動への参加を促すのはもちろんですが、自分たちが行っている活動の具体的な成果が分かるようになればもっと嬉しいですね」
「“自分たちがこのくらい頑張ったから、ここまで詐欺被害の発生率が減ったんだ”と言えるような…。ただし現状では、そのような明確なデータを出すのは難しいようです。しかし、いつかそれを堂々と言えるように、県警とも協力して犯罪率縮小に貢献していきたいと思います!」
「これからも活動の幅を広げていく予定です!」
営利目的で運営しているわけではないので出演料などは応相談だが、「ボランティアのメンバーが気持ちよく引き受けられるような、お心遣いをいただけると助かります」とのこと。
取材を終えて
GIFTに出演を依頼したい場合は、高橋氏のブログからメッセージを送ればOK。
ただ高齢者に詐欺被害の怖さを訴えるだけではなく、これまでのボランティアの概念を変えるという思いも込められている防犯エンターテインメント集団・GIFT。熱いエネルギーにあふれた高橋氏が、今後どんな活躍を見せてくれるのかが楽しみだ。
―終わり―
高橋さんのブログ
神奈川県警HP