海の美化に貢献する横浜港の「清掃船」について教えて!
ココがキニナル!
横浜市には海のゴミを回収する清掃船があるのですが、この船の活動を取材していただき,海の美化についてみんなで考える機会を!(いちやんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
東京湾全体で合計12隻、横浜港では6隻の清掃船が、ほぼ毎日活動中! 海のゴミを減らすには、街全体に対する美化意識が必要か?
ライター:河野 哲弥
海上で収集するゴミの量は、年間200トン以上
やがて朝8時になると、3隻の清掃船は護岸を離れ、横浜港の内部へと向かっていった。ここからは、同社海上部監督の加山武司(かやまたけし)さんに、詳しい話を伺っていこう。
高木船長としばしのお別れ。頑張ってきてください
場所を変え、事務所の中へ
さて、同社のおおよその管轄区域は以下のとおり。前日からの風向や潮目を読み、ゴミがたまっていそうなポイントを想定しながら、清掃場所を決定していくとのこと。頻度については、風速10メートルを越えるような悪天候の日を除き、ほぼ毎日出航しているそうだ。
清掃作業の進め方としては、船首に2人の人員が立ち、船の周辺にあるゴミをかき寄せる。台風などで大きな流木が流れてきたときは、ロープを使って船体にくくりつけ、そのままけん引することもあるそうだ。
船首での作業風景(資料提供:「横浜清港会」、以下同)
最も多いのは、ペットボトルやビニール類
配水パイプや木材が漂流していることも
これらのゴミについて加山さんは、「海に直接投棄する人は少ないと思いますよ。ベンチなどに置いてあったものが、風に吹かれて海へ落ちるのでは」と話す。また、海に限らず、河川の流れに乗って運ばれてくるケースもあるそうだ。
回収量についてたずねてみたところ、毎年200トンを上回るとのこと。1日あたりで計算すると、約550kgのゴミや漂流物が回収されることになる。成人男性8人分の重さといったところだろうか。
ときには、護岸ぎりぎりまで接近することも
海は、陸上と違ってブレーキが利かないので、操船が難しいという。ゴミに集中し過ぎると、通過する船の余波を受け、岸に衝突しそうになったり、あおられて転覆しそうになったりする。「常に、すべての方向を注意している必要があります」と加山さんは続ける。
魚は、ゴミのような漂流物の影に隠れる性質があるそうだ。そのとき、誤ってゴミのなかのビニール片を飲み込んでしまうと、酸欠状態に陥ってしまうという。また、ゴミかなと思ってたぐり寄せてみると、ビニール袋をかぶったスズキということもあり、外れたのをきっかけに元気よく逃げていくそうだ。
午前10時半ごろ、活動していた清掃船が戻ってきた
きちんと分別するのも一苦労
中には、家電製品も
戻ってきた高木船長に所感を伺ったところ、「大人が『きれいな海を守ろう』という意識を持たない限り、子どもは海を『汚い場所』と考えてしまう。そうなると、ゴミ問題への関心が薄れ、どんどん悪循環になってしまいますよね」と語る。
ひいては、横浜港でのマリンレジャーや、海路を交通手段として活用しようという気も起こりにくい。「海は横浜の財産。本来であれば、思いっきり遊べたり生き物と触れ合ったりできるのに、もったいないですよ」というのが、高木さんの持論。事実、横浜港にイルカやウミガメがいることを、どれだけの人が知っているのだろうか。
山下公園でゴミの状況を確かめてみる
一方、意図してゴミを投棄する人が少ないのであれば、美化運動の着地点も見えづらい。そう思い、海に面した山下公園で、何かヒントになりそうなものを探してみた。
こうしたゴミは、どこから来るのだろうか
ベンチに放置されたビニール発見
風に吹かれ、今にも転がっていきそうなペットボトル
植え込みの間に捨てられたレジ袋
こうした状況を見ると、問題の本質は、海の美化に限らないことが分かる。「日々のマナーが横浜の将来を担っている」と言っても、過言ではないだろう。例え捨てるという意識がなかったとしても、風の強い日には、みだりにレジ袋などを置くべきではない。
こうした地道な努力を続ければ、未来の子どもたちに、誇るべき環境を残していくことができるだろう。海のそばに住み、海を財産として楽しむことができるのは、横浜市民ならではのメリット。であるならば、市民に何ができるのかを、改めて考えてみては。
―終わり―
いちやんさん
2015年02月01日 11時27分
コメントが遅れましたスミマセン。取材していただきありがとうございます。自分自身、その辺へゴミを捨てるようなことはしないのですが、とはいえ落ちているゴミを積極的に拾うほうでもありません。少し積極的にならなければと思いました。
ほっとさん
2014年09月25日 12時03分
この清掃船について東北地震のとき、がれき漂流物撤去に送れないものか?東北自治体と横浜市とかけあってみました。横浜市の回答でね船が浅瀬を通ることできず、派遣出来ないとの回答。ほんの少し沖合に漂流するもの撤去できると思ってたけど・・・そこはお役所的な回答だと感心しました。
きくりんさん
2014年09月23日 22時28分
60年以上前に設立された団体がこのような活動をしていたとは知らず、不勉強を反省しました。活動が続く原因の1つは、ゴミを捨てる人の存在なんですね…(´д`|||)