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【横浜の名建築】三溪園 春日局ゆかりの聴秋閣

ココがキニナル!

横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするシリーズがスタート!初回は国の重要文化財にも指定されている、三溪園の聴秋閣。清美な書院造の建物は、数々の複雑な魅力を持っていた。

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ライター:吉澤 由美子

水辺に建て、舟で出入りした建物

(続き)

次の間の窓辺には、大きな傷のある木が使われている。
創建当時からあるというこの傷は、家光や春日局にとって特別な意味や思い出があるものだろうか。


なにかいわれのありそうな傷のある木


奥にある階段は、急ながら優雅な曲線を描いている


梁に頭をぶつけないための工夫で実用性があるデザイン


2層へ上がった先の小さな踊場から2畳の部屋を眺める


窓から眺める光景は完成された構図となっている。
 


三重塔に棟の瓦がまっすぐ向かうよう移築の角度も計算されている


2層の天井には狩野尚信(かのうなおのぶ)が描いた扇の絵がうっすら残る


2層の花頭窓から眺めた庭園


季節限定公開の小道に向いた2層の軍配型窓


細かな意匠に隠されたエピソードを想像しながら聴秋閣を眺めると、しっとり落ち着いたこの建物が歴史の中でどんな役割を果たしてきたのか想像をかきたててくれる。
 


秋の名にちなんで、まわりにはカエデ




晩秋はもちろん、今月の土日祝日朝もオススメ!



聴秋閣は、奥の遊歩道公開が毎年、春と秋の2回行われている。それ以外の時期にも、正面までであればいつでも行くことができる。

天気のいい日には1層の障子が開けられているので、正面から内部を覗き見ることは可能だ。見学できる場所は建物からやや離れているので、双眼鏡を持って行くと、細かい意匠なども確認できる。
 


苔むして古びた檜皮葺の風情もなかなか



8月下旬には、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根を葺きかえる工事が始まる。11月の新しい檜皮を葺かれ紅葉に囲まれた聴秋閣も楽しみだが、現在の苔むした檜皮は一段と侘び寂びの味わいが深い。この風情は8月半ばまでなのでお見逃しなく。
 


蓮もそろそろ見ごろを迎える


三溪園では8月7日(日)までの土日祝日には早朝観蓮会が行われていて、朝の6時に入園可能だ。園内の三溪園茶寮では朝粥の限定メニューも提供される。蓮の開花を見学し、のんびり朝粥を楽しみ、雨戸の開く9時過ぎに聴秋閣を回れば、涼しく風情ある夏のひとときを過ごせそうだ。
 


蓮を使った仮面づくりなどのイベントもあるとか




取材を終えて



大正12年春に聴秋閣の移築を終え、盛大な茶会が開かれた。そして、聴秋閣は三溪園の名建築移築の最後となった。

なぜなら、聴秋閣のお披露目を兼ねた茶会から数か月後、関東大震災が横浜を襲い、以後、原三溪は横浜の復興に私財を傾けるほど尽力することになるからだ。

 

木々と池に囲まれているせいか、聴秋閣のあたりはさわやかな風が抜ける


一流の茶人だった原三溪は、庭園や名建築より横浜への思いを優先して復興に力を注ぎ、そしてこの名園を残してくれた。こんな財界人を育んだ横浜は、とても幸せな街だと思う。

そして、このことで、聴秋閣が、三溪園がより愛しいものに思えてきた。


― 終わり―


横浜 三溪園公式サイト
http://www.sankeien.or.jp/
 

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  • 数年前に一人で拝観に行きました。 単独にも関わらす、ボランティアガイドさんが案内してくださいました。 秋の紅葉があと少しという頃でしたが、菊の花展も堪能できました。 聴秋閣はそれはそれは素晴らしい風趣が演出されていました。 雪の頃も綺麗でしょうねぇ・・・

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