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神奈川の海ではナマコがよく獲れる? 横浜の「マニアック」なナマコ事情を徹底レポート!

ココがキニナル!

神奈川県の海でナマコがよく捕れるそう。年間の漁獲量は? 横浜市内で新鮮なナマコを食べられるお店は? ナマコで有名な青森県横浜町とはどちらが多く捕れる?(華麗なる模型界の貴公子様♪さん)

はまれぽ調査結果!

2013年度の漁獲量は神奈川県の東京湾が約69.5トンで青森県横浜町が約91トン、青森県横浜町の勝ち。新鮮なナマコが食べられるのは本牧漁港内「叶家」

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ライター:楪 ゆう子

獲れたて新鮮なナマコを味わえる唯一のお店!
 


本牧漁港の名物食堂「叶家(かのうや)」


さて、本牧ナマコのシーズンは2月から春先までの数ヶ月間だけ・・・ということは判明したが、こちらは完全に中国向けなので、残念ながら一般消費者は入手することができない。

唯一獲れたてのナマコが味わえる場所は、横浜市漁業協同組合本牧支所入り口付近に店をかまえる名物食堂「叶家」さんのみ。ナマコの水揚げが始まると、自由に選べる副菜小皿のラインアップに「ナマコの酢の物」が登場する。

「ナマコは早く獲れれば店でも出すけど、基本的にこの辺では3月ぐらいにならないと食べられませんね」と店長の干場(ほしば)さん。
 


本牧漁港で水揚げされた魚が9割。その日の釣果でメニューが変わる


筆者はタチウオフライ定食・山岸嬢はアナゴの天ぷらを選び、お盆を持ってセルフサービスの惣菜カウンターに向かうと。
 


切干大根煮とタコのヌタ和え
 

いかにも味が染みた風のモツ煮込み


当然ながらまだナマコの姿はなく、この日は、切干大根煮、タコのヌタ和え、ふろふき大根、モツ煮込みなど何種類かの小皿が並んでいた。メイン料理、ご飯、味噌汁、漬物のほかに、好きな小皿を2品取って800円の定食の完成である。
 


アナゴの天ぷら定食
 

タチウオフライ定食
 

ワクワクしながらいただきまーす


今がシーズン真っ盛りのタチウオフライは、歯をあてるとカリッと鳴る黄金色の衣に包まれた白身が、熱い湯気を立ち昇らせながら口の中でホクホクほぐれていく。小皿もお汁も浜のおふくろの味、さらにご飯まで美味しく、お盆に乗り切れないほどガッツリ食べ応えのある定食だ。船直行の獲れたて揚げたてフライを噛みしめていると、まさにいま港に帰ってきたばかりの漁師さんが獲物を入れたバケツを抱えて店に入ってきた。
 


仕入れは船直行獲れたてホヤホヤの魚というぜいたくさ
 

まるで剣のようなタチウオとイシモチ。フライ美味しかった!


小アジは南蛮漬けなど


運び込まれたばかりのアジを、その場でさばいてお刺身にしてくれた。
 


獲れたてのアジのお刺身。とにかく色味が綺麗!!
 

美味しすぎてウットリ・・・おーい、戻ってこーい


生臭みゼロ、身がキューッと締まってプリップリの歯ごたえがたまりません!
次回、メニューにあれば絶対「お刺身定食」を選ぶべしと決意するに十分のお味見だった。

店を訪れたのは午後2時ごろ、戻ってきた船から運び込まれる海の恵みの数々を眺めながらいただく遅めのランチは、リーズナブルなのに大満足。

魚といえば、スーパーの鮮魚コーナーで発泡トレイに乗っかった切り身ばかりのわが家の娘たちにも食べさせてやりたい・・・。本牧漁港には、国内有料海釣り施設の草分け的存在で、1978(昭和53)年7月の開設以来、魚影の濃さと立地の利便さからファミリーフィッシングに最適と言われている「本牧海づり施設」もあることだし、「叶家」での鮮魚ランチとあわせれば、家族でおいしい「海の幸食育体験」ができそうである。シーズンには獲れたて新鮮ナマコもGETだぜ!

とはいえ、食材レポートである以上“実食”ナシではいられない。本牧ナマコのほとんどが乾燥ナマコとなって中国に渡るという事実も受け、いよいよ、(あまり気がすすまないまま)通年で食べることができる中華メニューにチャレンジすることになった。
 



モスラの幼虫的な乾燥ナマコ


近年では研究が進み、フロンドサイトAという成分がガン細胞を消滅させ、免疫システムを活性化させることが証明されたというナマコ。また、コラーゲンやコンドロイチンといったアンチエイジングに役立つ美容成分が豊富に含まれているらしい!!

効能情報でむりやりモチベーションを上げながら、向かった先は横浜中華街。
 


実は10年ぶりの来訪で入り口もわからずウロウロ




上海仕立てのナマコ料理にチャレンジ!



今回、乾燥ナマコ料理を提供してくれるのは、中華街大通りにある『上海料理 状元樓(じょうげんろう)本店』である。
 



上海料理 状元樓 本店


創業1955(昭和30)年、“東方のパリ・東洋の真珠”と称された1920年代の「老上海(ろうしゃんはい/昔の上海)」をコンセプトに、中国文化とアール・デコの融合によるノスタルジックな異国の雰囲気の中で、伝統的な上海料理を楽しむことができるお店。

店内に足を踏み入れると、フランス租界時代の邸宅をモデルに、選び抜かれた中国のアンティーク調度品で飾られた煌(きら)びやかな空間が出迎えてくれた。
 



1階・上海クラブのメインダイニング
 


調度品はすべて本場・上海のアンティーク
 

5階・個室、牡丹


5階の個室に通していただき「お~~~!!」山岸嬢と感嘆のデュェット。たおやかな花の名で呼ばれる個室は、接待はもちろん、結納や記念日など、家族の特別な食事会の場としての予約が多いのだという。個室利用はコース料理のオーダーが基本となるが、子連れママランチ会も可能。こりゃセレブ気分を満喫できそう!
 


「お~~!」美しい個室の数々に感嘆の声
 

「お~~!」美しいお手洗いに開いた口もふさがらぬ


などと舞い上がる筆者のもとに、いよいよ「紅焼海参(ホン・シャオ・ハイ・シェン/ナマコの醤油煮)」が運ばれてきた。通常3~4名分で一皿4500円という高価なものを、今回は撮影用にディスプレイ。
 


赤子を抱く大根仙人の足元に広がる「紅焼海参」


「紅焼海参」は、中国でもっともポピュラーなナマコ料理である。乾燥ナマコを水で戻し、タケノコや野菜と一緒に醤油味のソースで煮込んだものだ。上海料理はもちろん、山東料理、江蘇(こうそ)料理、浙江(せっこう)料理、福建料理、広東料理、台湾料理など、幅広い地域で食べられており、醤油が出汁などで薄まると赤い色になることから「紅焼」と書く。
 


トロリとしたソースが食欲をそそる


「乾燥ナマコは下ごしらえに大変な手間暇がかかりますから、中国でも手軽に食べられる料理ではなく、お祝いごとなどのあらたまった席で出されることが多いみたいですね。うちでは、スッポンや乾燥ナマコなどの珍味も常にご用意してありますし、中華街でも古くからある大きなお店ならメニューにあると思いますよ」と、状元樓・総務部長の村山さん。
 


黒っぽいシイタケみたいなものがナマコ


水で戻し、調理可能な状態にするだけで、約1週間・・・なんとも面倒な料理である。

甘くこうばしい醤油の香り、トロリとしたソースの照り輝き。見るからにゴージャスで美味しそうな一皿なのに、なのに、なのに。

どうしてあなたはナマコなの~!!
 


イザ実食。恐る恐る、いただきます!


20年前、それと知らぬまま酢の物を食べた直後に本体と遭遇してトラウマとなって以来、無意識に避け続けてきたナマコ料理。しかも乾燥ナマコなんてどう見てもモスラの幼虫となれば、食べたい、でも食べたくない・・・。「紅焼海参」を前にアンビバレンツな想いに揺れる筆者、ついに意を決して箸を取り、ナマコを一切れ口に運んだ!
 


パクリ!もぐもぐもぐ・・・あむあむあむ・・・
 

おや!?
 

おいしいんですけど!


初めて食べた乾燥ナマコの食感は、とにかくプルンプルン。それでいて、力を加えずとも前歯があたった瞬間にちぎれてしまう柔らかさ。たとえるならば、じっくりコトコト煮込んだ「牛すじ」といったところだろうか? 魚特有の生臭みは皆無で、ナマコ自体の味はないままに、ナマコが吸い込んだコクのあるソースの旨味が口いっぱいに広がっていく・・・。か、乾燥ナマコってこんなに美味しいもんなの? 
 


この黒ナマコを乾燥させて戻して煮込むと驚きの食感に!?(提供:神奈川県水産技術センター)


パラダイムチェンジ、キター!

「四川料理なら辛味、広東料理は塩味とそれぞれ得意な味付けがあるんですが、上海料理はまさに“醤油味の煮込み”を得意とする料理だから紅焼海参も美味しいでしょ?」と村山さん。

いやマジで、20年間誤解し避けてきたことをナマコたちにお詫びすると同時に、今後は積極的なお付き合いをお願い申し上げたい。すっぽんに負けない美肌効果でアンチエイジングだ!

「状元樓」では、ナマコ以外の本格上海料理も味わえる。おすすめは、この秋、第7回美食節 点心品評会で銅賞を受賞した「状元オリジナル ゆず胡椒小籠包」。さわやかな香りに、ピリっと効いた柚子胡椒をアクセントにした、さっぱりとした味わいのオリジナル小籠包をお試しあれ。
 


状元樓オリジナル ゆず胡椒小籠包」