洋食の街、横浜の料理人に密着「横浜コック宝」 白楽「キッチン友」編
ココがキニナル!
横浜の洋食文化をつくった老舗洋食店の料理人に密着取材する「横浜コック宝」。第4回は、すべては感覚と信条、日本人の口に合う洋食を築き上げた、白楽「キッチン友」店主、大友良祐さん。
ライター:クドー・シュンサク
コック宝の、キッチン友の、味
1965(昭和40)年1月4日にオープンしたキッチン友。2015(平成27)年になった今日も、その味を求めランチにくるお客さんでにぎわいをみせる。
コック宝は
注文された料理の数々を
手早く正確な手つきと感覚で味付け調理し
仕上げていく
ハンバーグにソテーもの、フライものにオムライスやパスタ。数多くのメニューをさばくその姿は圧巻のコック宝。
次から次へと
料理が
できあがる
それはどこか
魔法があるような世界。魔法はちょっと大げさだが、今回のコック宝、仕事量と手さばきと対応力が尋常ではない。感覚をものにした人間の素晴らしき世界が見えた。これは大げさではなく、一様にうかがえる厨房さばき。圧巻。
盛況のランチタイムも午後2時に少々落ち着き
「お腹空いてるでしょ」と奥さんの一言。目を見開いてただうなずくしかない。
「ウチの名前が入ったスペシャルでいいね」とコック宝。ただ、心躍らせながら、うなずく。
スペシャル友風焼き(950円)
いただきます
スライスした豚肉を1玉くらいのスライスしたタマネギと一緒にソテー。味付けは醤油と白ワイン。それをニンニク焼きで仕上げた逸品。タマネギの甘さ、豚肉の旨み、香ばしい醤油とニンニクの香りはごはんを大いに呼びこむ。わんぱくに大きくほおばり、ごはんでぐいぐい追いかける。至福の、洋食。日本人の口にぴったりの、洋食。
ただ、ただ、美味い。
午後3時前、お客さんがいなくなったところで
コック宝はさらに仕込みを開始した。休まない、コック宝。
「仕込みは・・・仕込みだから・・・ね。作り置きとは違うから。やることちゃんとやっていると、休み時間はほとんど・・・ないよ(笑)」と話す。
実際、朝9時から閉店後は深夜1時まで片付けや掃除に仕込みをやるという。
つまり、平日は午後4時から午後5時半までの休憩があるとしても14時間半、土日は休憩がないので16時間厨房で働き続けるコック宝。
「疲れますけど・・・つらくはないですよ。それが僕の中のコックだから」
「自分で美味しいと思っていることをやって作っているのでね、お客さんが食べに来てくれて完食。ごちそうさま美味しかったって言ってくれて完食してもらえるのが、本当に幸せですよ。お客さんの喜びと自分の仕事がひとつになっているというのが、この仕事の一番の幸せですね」
「コックをやっていて良かったと、お客さんにいつも思わせてもらっている」とのことです。
そういってコック宝は
新たなデミグラスソースの仕込みに入る
休日と睡眠時間について尋ねてみた。
週に一度、水曜日を休みにしているキッチン友。奥さんと美味しいものを食べに出かけることが多いという。睡眠時間は6時間。深夜1時に店を出て、焼酎をウーロン茶で割り晩酌。それを3杯。あわせて軽い食事をして深夜2時に就寝。朝は8時に起床。身支度をして8時50分に家を出て9時からコック宝の1日は始まる。
ここで登場していただきます。以前髪のことでいろいろ書かせていただきましたキッチン友のお母さんです。
「ちょっと近いわよ」
コック宝婦人。この髪型、パンチパーマではありません。