徒歩0分でバスに乗れる? 横浜市営バスの営業所に併設されている団地の正体は?
ココがキニナル!
大抵の横浜市営バスの車庫に併設されている団地のような物は、団地?市営バスの事務所?団地なら交通アクセス良いなぁと思い、気になります。(あっきー だいさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
10ヶ所ある市営バス営業所のうち、6ヶ所に市営住宅が併設。ほかには市電保存館やスポーツセンターといった施設が併設されている営業所もある。
ライター:篠田 康弘
市営バス営業所に市営住宅を併設した理由
鶴見営業所を後にし、横浜市役所に問い合わせたところ、建築局住宅部で対応しているそうなので、こちらにお邪魔して詳しい話を伺ってきた。
建築局住宅部が入居しているビル
今回は建築局住宅部市営住宅課の磐村信哉(いわむら・のぶや)担当課長からお話を伺った。
まず設立の経緯について伺ってみたところ、市営住宅と交通局営業所の併設は昭和40年代~50年代にかけて建築されたという回答があった。この時期に主に「市民向けの住宅の確保」「バス路線の拡充」「土地の有効活用」の3つの点から、市営バス営業所の敷地内に市営住宅が建築されたそうだ。
昭和40年代~50年代に立てられた市営住宅(フリー画像より)
続いて入居条件について伺ったところ、市営住宅は低所得で住宅に困窮している方(さまざまな理由で住宅の手配が困難な人)向けに提供しているものなので、一定の条件を満たしている世帯でないと入居できないそうだ。
上記の方々を対象として、年2回空き住戸についての公募を行い、応募者の中から抽選で入居者が選ばれる手順となっている。ちなみに当選倍率は物件によって差があるが、平均すると2014(平成26)年度は16倍程だったそうだ。
入居条件、募集時期、家賃、間取りなどついては、募集手続きを行っている横浜市住宅供給公社のホームページに詳しく掲載されているので、そちらを参照してほしいとのことであった。
横浜市住宅供給公社の募集ページ
横浜市営バスの営業所は市内に10拠点あるが、このような市営住宅は保土ケ谷、磯子、緑、滝頭、鶴見、港南の6営業所に併設されている。10ヶ所すべてに併設されていないのは、建築要件などの関係で高層住宅を建てられない場所もあるからだそうだ。
例えば中区本牧にある本牧営業所は、道路橋のすぐ下にあるため、大きな建物を建てることができない。
本牧営業所は、道路橋のすぐ下にあるため大きな建物が建てられない
そうか。そうなると残りの4営業所には何もないのか。それを確認しようとしたところ、磐村担当課長から「その場の建築要件に合わせて、住宅以外の建物が併設されているところもありますよ」との回答があった。
何ですって? 一体どんな建物が建っているんですか? 磐村担当課長に伺ったところ「市営住宅以外の建物なので、交通局に聞いた方が詳しい話が分かると思いますよ」とのことで、続きは交通局で伺うこととなった。
市営住宅以外にはどのような建物がある?
建築局の取材後に調査を行ったところ、すべての営業所に施設が併設されているわけではないが、滝頭営業所には横浜市電保存館が併設され、浅間町営業所には西スポーツセンターが併設されていることが分かった。
まずは横浜市電保存館について、横浜市交通局に電話で問い合わせたところ、総務部総務課の瀬藤悦弘(せとう・よしひろ)さんから以下のような回答があった。
滝頭営業所の隣にある横浜市電保存館については「かつて交通局が管理していた横浜市電の姿を後世に残すために、市電の修理工場跡地に保存館を開設した」そうだ。
横浜市電保存館
市電保存館は、市営住宅の1階に設置されている
なお横浜市電保存館の運営は交通局ではなく、交通局の関連団体の交通局協力会が行っている。
横浜市電保存館の石井英明(いしい・ひであき)館長にもお話を伺ったところ、前記の瀬藤さんと同様に「滝頭営業所には、市電が廃止される1972(昭和47)年まで市電の修理工場が置かれていました。このように市電とゆかりが深い場所だったので、市電保存館が設置されたようです」と説明してくれた。
市電保存館内の案内にも、同様の内容が記されている
浅間町営業所に併設されている西スポーツセンターについては、横浜市市民局スポーツ振興課の松隈雄司(まつくま・ゆうじ)さんに誕生までの経緯を伺った。
西スポーツセンター
松隈さんによれば「古い話なので詳しいことは分かりませんが、西区にスポーツセンターを建築しようという話が出ましたが、その時期には区内での用地の確保が難しかったようです」と話してくれた。
西スポーツセンターの建築に際しては、用地の確保が難航した
続けて「スポーツセンターの用地確保が難航していたころ、浅間町営業所では建て替えの話が進んでいたそうです。建て替えに際して敷地内に市民向けの施設を組みこむことになり、ちょうど建築が計画されていたスポーツセンターを、浅間町営業所と併設する形で建設することが決まったようです」とのことであった。
市民向けの施設として、浅間町営業所に併設された西スポーツセンター
なるほど、いずれも市民のことを考えて、その時々で最も役立つ建物が建てられていたのか。いずれも横浜の近代化の中で重要な役割を果たしてきた、非常に意義のある建物たちだったのだ。
取材を終えて
最初に考えていた仮説とは全く異なる結論であったが、意外な事実がどんどん分かっていく、非常に面白い取材であった。これから市営バスに乗る時は、営業所や併設されている建物にも注目してみることにしよう。市営バスに乗るのがますます楽しくなりそうだ。
―終わり―
たけむらさん
2017年05月18日 08時37分
高層にしているのは、容積率の有効活用なんですね
ポスポスさん
2015年07月07日 14時59分
ちょっと前にこの団地の前を車で通って、目立つ大きな団地に興味がわき、帰宅してからグーグル地図で調べてみました。そこには市営団地と出ていて納得でした。
ホトリコさん
2015年07月06日 12時13分
西区の建物は大きいから住宅もあると思っていました。