横須賀の山の中にある「どう見てもただの一軒家」の中華まんが絶品って本当?
ココがキニナル!
横須賀の山の中(須軽谷)に看板を見つけました。中華まんを売っているようですが、どうみてもただの一軒家。冬には欠かせない中華まんなので、ぜひ取材してください(はんちゃんさんのキニナル)
はまれぽ調査結果!
須軽谷(すがるや)の中華まん屋さんでは、「末広」。初代の祖父母から3代目の孫へと受け継がれたとても美味しい中華まんを売っている!
ライター:やまだ ひさえ
3代目の中華まんを求めて安浦の店へ
初代が太鼓判を押す信広さんの中華まん。ぜひ、出来立てを味わってみたい。
贅沢な願いをかなえるために、安浦のお店に行ってみた。
最寄駅は京急の県立大学
信広さんのお店「SUEHIRO」は、京急の県立大学駅で下車、歩いて3分もかからない場所にある。
中華末広とは路地を隔てて隣同士
中華まん専門店「SUEHIRO」
オシャレな外観は、信広さんのこだわり。
一見、中華まん専門店だとは想像しにくいが、通りを歩いていると中華まんを蒸す良い匂いが漂ってくるので、匂いで「ここだ」と分かる。
店に入ってまず目につくのが、中華まんを蒸すせいろ。通りまで溢れている魅惑的な匂いの源だ。
次々に中華まんが蒸されている
お店を切り盛りしているのは、信広さんと奥様の由美(ゆみ)さん。由美さんがSUEHIROにアルバイトに来たのが縁で結ばれたお二人だ。
中華まんが縁で結ばれた信広さんと由美さん(右)
SUEHIROでは、現在、豚肉包(ぶたにくまん)、豆沙包(あんまん)、そして元祖の鶏肉包(とりにくまん)の3種類を製造、販売している。
早速、作り方を見せてもらうことにした。
SUEHIROの人気の秘密は、中の具もさることながら、信広さんがこだわりぬいた生地にもある。
まずは、ベースとなる小麦粉の準備。SUEHIROでは、強力粉5に対し薄力粉1の割合でブレンドして使っている。
毎回、きちんと計量する
1回分に使う粉は約5kg
5kgの小麦粉で80個の中華まんができる。
計量した小麦粉は、強力粉と薄力粉が均等に混ざるように合わせる。この段階から信広さんは、まめに湿度チェックをする。
中華まんの生地は、湿度に大きく左右される。湿度チェックをマメに行うことで最適な生地を目指すのだ。
手を動かしていても湿度チェックを怠らない
小麦粉が混ざったら、台に広げ、調味料や水を加えていく。ここが最も気をつかうところだ。季節や温度、湿度によって微妙に加減をしていく。
信広さんいわく、中華まんの生地作りは1年を通して変わるという。季節はもちろん、その日の天候や気温によっても変わってくる。中華まんの生地は、生き物と同じなのだ。
調味料を入れる準備
ドーナツ状に広げた窪みに調味料を入れる
加えるのは、水、砂糖、生イースト、ベーキングパウダー、溶かしたラード。
生イーストとベーキングパウダーを一緒に使うのは、1回の発酵でふっくらしていながらしっかりした中華まんを作るために信広さんが考えた方法。蒸した段階でいちばんおいしい状態になるように考えたものだ。
生イーストとベーキングパウダーのダブル使いだ
調味料は、よく混ざるようにお湯で溶かして加える
水分は、温度や湿度によって加減する。微妙なさじ加減は、勘。中華まん一筋に歩んできた経験がものをいう。
最後に溶かしたラードを加えることで、生地にコクとともに艶が出るようにする。
ラードは、艶のある生地の要
調味料が混ざったら、ここからは力仕事。混ぜに入る。
粉っぽさが残る生地が
徐々にまとまってくる
生地がまとまるまで混ぜる
生地がまとまってもこれで終わらない。長い棒状にした生地を6等分に切り分け、製麺機にかけていく。
中華まんの生地に製麺機。ちょっと不思議な感じがするが、製麺機のローラーにかけることで、生地に一体感が出る。手だけでは混ざりきらないことから考え出した信広さんのアイデアだ。
製麺機を使うのは信広さんのアイデア
製麺機で伸ばした生地は重ねていく
製麺機で伸ばし、重ねた生地を、再び6等分にし、本格的なコネの作業に入る。
中華まんの生地は、空気が入っていないと蒸したときに膨らまない。空気を入れることで発酵しやすくなるため、体重をかけ、手首を使ってこねていく。
だが、単純にこねれば良いというものでもない。こね過ぎると生地が固くなり、膨らまなくなる。目安は、“ふわっ”としていた生地が“ふ”という感じになるくらい。
勘と手の感触だけが頼りの作業のため、手袋を使うことはできない。どんなに寒い日でも、素手で行う。
忙しい時期は腱鞘炎になるという
時間がかかる作業だけに由美さんも手伝う
生地がこねあがったら、いよいよ成形だ。
SUEHIROの中華まんには、豚肉包と鶏肉包が1個110グラム、豆沙包が90グラムの生地を使う。
1個ずつ、ちぎっていく。
最初は目安で
きちんと量って調整する
由美さんが重さの調整をしている横で、信広さんが生地を伸ばし始める。
夫婦ならばこその阿吽の呼吸で作業が進んでいく。
1枚1枚麺棒で伸ばしていく
いよいよ中の具を入れていく。
具も全てお店で味付けしている。具へのこだわりは後述
30分ほど自然発酵させる
蒸し時間は16分~16分30秒。季節や気温で調整する
信広さんいわく、初代の信義さんの時代に比べ材料の質も、味も変わっているという。その違いを克服し、完成させたのがSUEHIROの中華まんだ。
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