マイナンバー導入後の確定申告の留意点は? 教えて○○さん! 「税理士」編
ココがキニナル!
日常生活の疑問やトラブルを、はまれぽがイチオシする専門家が分かりやすく解説! 第7回はマイナンバーの本格導入により変わっていく確定申告について。
ライター:はまれぽ編集部
マイナンバー導入の影響とは?
それでは実際にマイナンバーが導入された2016年以降、確定申告においてマイナンバー制度が何か影響を与えるのだろうか?
「まだ確定の話ではないのですが・・・」
北川先生いわく「マイナンバーは社会保障・税・災害対策の3分野での利用から制度がスタートすることになっています。現段階では3分野のみですが、今後は金融機関の口座や予防接種の履歴にもマイナンバーが関連付けられていく予定で、政府はマイナンバーの利用範囲の拡大を検討する方針です」とのこと。
施行直後のマイナンバー制度。最終的にはマイナンバーに重要な個人情報が蓄えられることになるが、各行政・機関と調整中の段階だ。深沢先生は「2月から確定申告の期間に入りますので、ちょうど2015(平成27)年分の確定申告書を作成されている方が多いと思いますが、今回の確定申告ではマイナンバーの記載は必要ありません。実際には2016(平成28)年分の確定申告からマイナンバーが関係してきます」と前置きした後、マイナンバーの導入による確定申告の変更点、そのメリットとデメリットについて次のように語った。
確定申告にはどんな影響が?(フリー画像)
「現在協議中とのことで詳細は決まっていませんが、住宅ローン控除などの申告の際に住民票の添付が必要なくなるなど納税者にとって利便性が向上します。現在確定申告書に添付する書類は源泉徴収票や各種控除証明書など多いですし、さまざまな機関から異なる時期にもらうので紛失してしまったという声も耳にします。最終的にどこまでの書類が添付省略になるかはまだ分かっていませんが、これらをマイナポータル(2017年1月から開始予定のインターネット上で個人情報の確認ができるシステム)で確認でき、添付省略になれば大きなメリットになると思われます」
マイナンバーは住民票の役割も担う?
深沢先生は続ける。「しかし、本人確認が厳しく行われることになりますので、それがデメリットと言えるかもしれません」と。
先に述べたように、今後マイナンバーはさまざまな行政・機関と絡み合い、重要な個人情報が蓄えられていく。だからこそ、個人個人がマイナンバーを大切に保管しなければならない。それは当たり前のことだが、個人から提出されたマイナンバーが本当にその人の番号であるかを行政や機関側も厳重にチェックする必要があるのだ。
真摯に答えてくれる深沢先生
「今までは必要ありませんでしたが、平成28年分の申告書等を税務署に提出する際には、(1)納税者本人の個人番号カードの写し、又は(2)納税者本人の通知カードの写し及び運転免許証などの写真付き身分証明書の写しを本人確認のため提示か添付することが必要になりました。面倒ではありますが、なりすましを防止するためですので、本人確認はどうしてもシビアになりますね。本人確認書類というと、横浜市でも2017年1月から住民票などの証明書をコンビニで受け取れるようになるみたいですしね」
現段階ではマイナンバーは税と社会保障と災害対策のみに関連付けられている。しかし今後は健康保険証や金融機関、免許などにも関連付けられていくと予想されている以上、マイナンバーの取り扱いには厳重な注意が必要となる。
マイナンバーは大切だが今はそこまで重要視することはない(フリー画像)
「マイナンバーが導入されたからといって税額計算の方法が変わるわけではありませんし、マイナンバーを記載する欄が追加されるくらいで、これまで通り確定申告書を作成していただければ大丈夫だと思いますよ」と深沢先生はまとめた。
確定申告において、マイナンバーが導入されたからと構える必要はないのだ。
ふるさと納税によるワンストップ制度
ここで間近に迫った確定申告に関して特に注意してほしいことがあると深沢先生。
「確定申告において、ふるさと納税ワンストップ特例制度で勘違いしている人が多い」というのだ。
ふるさと納税とは、任意の自治体に寄付をした場合に、寄付した金額のうち2000円を超える部分の金額が寄付をした年分の所得税とその翌年の住民税から控除され(一定の上限あり)、自治体によっては特産品までもらえる制度。
そして、税制改正により2015年1月から控除額(住民税分)が約2倍となり、同年4月からは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の利用により、確定申告をしなくても申請書の提出により税額控除の恩恵にあずかれる。しかし、ここに注意点があるという。
ふるさと納税でお肉などがもらえる(フリー画像)
「これまではふるさと納税をした場合には、確定申告をすることによって所得税と住民税から控除をすることができました。しかしこの特例制度により、確定申告をしなくても翌年の住民税から控除してくれるようになったんです」
何に注意すべきなのか。深沢先生は語る
「気を付けてほしいのは、この特例は確定申告をしない方が対象ということです。もともとは確定申告をする予定がなかった方で、ワンストップ特例制度を受けるために申請書を提出している方でも、もし住宅ローン控除や医療費控除を受けるために確定申告するのであれば、やはりふるさと納税の控除を受けるために確定申告への記載・計算が必要になります。このケースで確定申告書にふるさと納税について何も記載しないと、所得税・住民税からの控除は受けられません」
必要な情報を把握することが大切(フリー画像)
このことを知らず「自分はワンストップ特例制度の申請をしているから翌年の住民税から引いてくれる」と勘違いし、間違った確定申告をしてしまうと、給料から天引きされる住民税はふるさと納税による控除が一切ない税額となってしまう。自分の給与明細に無頓着な会社員の方だと何も気が付かないかもしれない。
「ふるさと納税は人気もあり、利用者の多い制度です。今回は税制改正のあった初年度の確定申告なので、ご注意ください」と深沢先生は警鐘を鳴らす。
マイナンバー導入の現状
2016(平成28)年1月から本格的に稼働し始めたマイナンバーだが、横浜市でも多くの問題が起きている。
市が世帯ごとに送付した通知カードは約373万人分177万通。しかしその内約9.6パーセントにあたる17万通が受け取られずに戻ってきた。これは当初想定していた2パーセントの約5倍にもあたる。また、1月19日には全国的なシステム障害が発生し、個人番号カードの発行が滞るなどの問題も発生した。
我々にとって他人事ではないマイナンバーの動向を、今後も注目していく必要がある。
次回も、いつか生活に役立つかもしれないディープな情報をお届けします!
―終わり―
北川孝税理士事務所
住所/ 横浜市中区不老町1丁目1番地5 横浜東芝ビル4階
電話/045-664-2761
営業時間/ 月~金曜日9:00~17:00
キラキラママさん
2016年01月28日 01時05分
ほかのかたのコメントを読んだら、私、損してる!?とびっくりしちゃって。。本屋でふるさと納税の本を買ってから、ふるさと納税を利用してます。私の本だと、表があって、どうやら私の場合は、1万円ふるさと納税するなら自己負担2000円ですむみたいなんです。ということは、8000円が税金から引かれるってことですよね!?私は、2000円よりいいものがもらえればオトク~♪と今まで思ってました。え?もしかしたら私が勘違い???オトクでもなんでもなかったかも???もらったものは家族みんなでおいしいと食べましたけど、デパートとかで買ったほうが安くついたのかな。。。
三鍵さん
2016年01月27日 12時04分
ふるさと納税とは、任意の自治体に寄付をした場合に、寄付した金額のうち2000円を超える部分の金額が寄付をした年分の所得税とその翌年の住民税から控除され(一定の上限あり)、自治体によっては特産品までもらえる制度。~とありますが、2000円を越える部分が~所得税から控除されるという表現ですと、「税額控除」の意味でとらえられかねません。あくまでも、「所得控除」であることを強調するために「補足」する言葉が必要ではないでしょうか。たとえばかっこ書きして「所得控除の意味」とか。
マッサンさん
2016年01月26日 00時56分
日本国憲法に謳われている国民の三大義務に子女に教育を受けさせる義務、勤労の義務、納税の義務がある。税金に関する教えは学校教育六・三・三制において全く無い。国民は納税の義務はあるが税金の詳細は識るなと言わんばかりだ。これって可笑しくないかい?