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川崎と横浜の市境近く、住宅街に「原子炉」があるって本当?

ココがキニナル!

川崎市と横浜市の接するあたりに王禅寺という寺がある。まわりは開発された住宅街が迫っており、すぐ横に研究用原子炉があるらしい。また川崎市の埋立地に稼働している研究用原子炉があるとか。(まさぼーさん)

はまれぽ調査結果!

東京都市大学原子力研究所では廃炉措置中。東芝の原子力技術研究所にある臨界実験装置は停止中である。

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ライター:小方 サダオ

周辺住民に話を伺う



次に、施設についてどのような認識しているかを、地元の住民に話を伺うことにした。

 

施設周辺には団地や住宅地が広がる
 

原子力研究所がある場所(青矢印)と代々住む人が多い川崎側(赤輪)と横浜側(紫輪)(Googlemapより)
 

川崎側のほうが住宅は少ない
 

まずはある男性店主に伺うと「この研究所は昭和40年代に、一時期『中性子を脳腫瘍に当てて治す』という中性子治療の最先端技術の研究が行われていたようです」

 

英文による中性子捕捉療法治療について説明
 

「研究所を建てる時には、地元民たちは東海村の日本原子力研究開発機構に視察に行きましたが、地元で不安に思った人は、それほどいません。20年前に冷却水が漏れ、原子炉を止めた時は、虹ヶ丘の人たちが反対の声を上げていました」

 

横浜市側にある虹ヶ丘住宅地
 

「研究所が建てられた時は、特に横浜市側には人家はなかったのです。しかし、開発が進み住宅が研究所の近くに建つようになりました。廃炉が決定し、2003(平成15)~2004(平成16)年ごろ核燃料などが運び出されました。町内会には『〇月〇日から〇月〇日までの間に運びます』と日にちを特定しないで通達され、極秘に運び出されたのです」と答えてくれた。

また旧家に住む中年の女性に伺うと「私は日立研究所の食堂で働いていました。核燃料などは運び出されましたが、『まだ灰が残っている』と聞きました」と答えてくれた。

原子力研究所と同じ山には、株式会社日立製作所原子力事業統括本部王禅寺センタが建っていた。

 

同じ山に建つ、日立製作所王禅寺センタ
 

日立製作所王禅寺センタのある場所(Googlemapより)
 

同社ホームページによると「株式会社日立製作所原子力事業統括本部王禅寺センタでは、1962(昭和37)年に日立教育訓練用原子炉の運転を開始し、1975(昭和50)年に運転を停止。翌年4月までに主要施設を解体して、使用済燃料および解体廃棄物(ドラム缶封入)を保管してきた。2005(平成17)年10月に保管していた全ての使用済み燃料を搬出した」とある。

 

施設のある山の川崎側に住む人たちに話を伺った
 

中年の女性Kさんに伺うと「研究所は50年ほど前に建ちました。このあたりに放射性物質が出るのかは分かりませんが、今でも川崎市が道路沿いの木の放射線数値を計ったりしています」と答えてくれた。

 

放射線の計測が行われることがあるという場所
 

施設を解体しても解体物は安全な場所に保管する必要があり、原子力関連施設を廃止することの難しさを感じさせた。



浮島町にある東芝の原子力技術研究所



続いて、投稿にあったもうひとつの研究用原子炉がある川崎市川崎区浮島町の東芝の原子力技術研究所施設周辺へ行ってみることに。

 

川崎市にある浮島町(青矢印)、羽田空港(緑矢印)(Googlemapより)
 

羽田国際空港
 

同社ホームページによると「研究所にある『東芝臨界実験装置』は発電用原子炉の燃料や制御棒に関する基礎的な研究などに使用しているもので、出力は極めて低く、発電などはできない。初臨界(核分裂反応が激しく進むこと)は1963(昭和38)年12月11日。燃料は低濃縮二酸化ウランで最高熱出力は200W」とある。

 

東芝臨界実験装置の外観
 

そこで東芝の担当者に、原子炉の現状などに関して伺うと「国内にある研究炉及び臨界実験装置は、震災後に研究炉などに対する新たな規制基準が改定、制定されました。その対応のため2015(平成27)年12月現在、すべて停止している状況であり、『東芝臨界実験装置』についても2014(平成26)年度以降現在も運転致しておりません」

 

東芝臨界実験装置の模式図
 

「安全対策に関しては、基本的に申請を通じて安全を審査いただき、許認可を取得し、国による立合検査、定期検査や運転管理巡視、核物質防護検査、IAEAによる核燃料査察により許認可内容や関係法令の遵守状況や機器の作動、更新状況を確認いただいて安全を担保しております」との回答してくれた。

 

炉心
 

周辺住民の反応について伺うと「周辺住民との関係に関しては、工業地帯でありますので、近隣企業との協議会、神奈川県安全防災局や川崎市総務局危機管理室との定例委員会における情報交換などを実施して自治体とのコミュニケーションを通じて情報を提供しております。また一般から東芝へのお問い合わせに逐次対応しております」

「放射線量の監視に関しては、神奈川県が浮島町にモニタリングポストを設置し、リアルタイムデータを公表しており、弊社原子力研究所内の測定値に関してはホームページに更新する形で掲載しています」と答えてくれた。

 

制御盤
 

また各種報道によると2015(平成27)年の8月24日には「浮島町の日鉄住金鋼管川崎製造所の敷地内で火災が発生して、隣接する花王の工場に延焼した。周辺住民の間では、東南側に隣接する東芝原子力技術研究所への延焼を心配する声が上がった」という。

周辺住民の研究所に対する反応はどのようなものなのだろうか?



浮島周辺の住民の反応は?

 

浮島町の近くにある住宅地
 

浮島町から約1km離れた場所には住宅地がある。

ある中年の男性に伺うと「女房は事務員をやっていて、私の会社では原子炉関連の部品を納めていました。原子炉で実験などはしていないと思いますよ。そうだとしたらこの街でも問題にしますよ」と答えてくれた。

その後、周辺住民数名に話を伺ったが、こちらの施設の現状について知っている人は少ない印象だった。



取材を終えて



以前は深い山や工場地帯だった場所に、住宅地が進出してきたため、住民との距離が縮まったようだ。

 

以前は山であった王禅寺周辺
 


―終わり―
 
 

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  • 王禅寺の方は武蔵工業大学(当時)と日立の研究施設だったような記憶。記事本文中にもありますが、規模も出力も小さく、元々は人里離れた山の中にわざわざ建造したにも関わらず周囲が宅地化してしまい、廃炉せざるを得ない状況に。冷却水を大気開放(要するに蒸発)させていた件を、某大手新聞に大げさに書かれたのが、致命傷でしたか。もちろん規制上は漏らしてはいけない水ですが、その線量なんてそのへんの温泉とかの方がよっぽど…という水準で。熱出力数KW程度の、ごく小規模の原子炉は、首都圏だけでも他にも幾つかありますね。事故や災害を起こしたとしても、言ってしまえば「高が知れてる」規模ですが。それよりは、久里浜の駅裏のグ○ーバルニューク○アフュ○ルジャ○ン辺りをキニナルして欲し…いや、さすがに冗談では済まないか。

  • まさか地元が記事になるとは…!子供の頃にすすき野(1ページ目にある、畑が広がっている写真のところ)に住んでいました。この山だけまるっと自然が残っていて、山沿いの砂利道に沢ガニやヘビがいた記憶があります。山の中に何があるのかなんて気にしたことありませんでしたが、原子力研究所があったんですね。取材ありがとうございました。

  • 最近ブルーラインの新百合ヶ丘延伸が計画されていますが、地図上であざみ野から剣山、すすき野を経由しつつ新百合ヶ丘まで至る線を描いてみると、ちょうどこの原子炉の下を通るんですよね...すすき野からのアクセスを考えると、途中駅も割と原子炉に近い場所に設置されそうです。地下鉄の建設に支障がないと良いのですが。

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