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ココがキニナル!

川崎の宮前区菅生ヶ丘10-1に謎の施設がある。調べると防衛省の艦艇装備研究所らしいですがなぜ山の中に船を研究する施設があるのでしょうか。なにを研究しているのでしょうか?(へこみんさん)

はまれぽ調査結果!

艦艇装備研究所川崎支所は、船体の磁気を軽減させるための研究施設。山の中にある理由は、研究の妨げになる余計な磁気を徹底的に排除するため

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2015年12月15日

ライター:田中 大輔

横浜同様、海に面し港を持つ川崎市。
海の街なのだから、防衛省の、つまり自衛隊が使うための艦艇の研究拠点があったとしても、さほど違和感は覚えない。でも、それが海から遠く離れた宮前区にあるとなると、話は別だ。

どの鉄道駅からも離れ、バスに揺られて数十分という緑に囲まれた「艦艇装備研究所川崎支所」とはいったいどんな施設なのか。そして、どうして山の中で艦艇にまつわる研究をしているのだろうか。



鉄砲? ミサイル? いいえ、磁気です

防衛省の研究施設とあって簡単には取材を受けてくれないのでは、という心配をよそに、意外とすんなりOKの出た今回の調査。

現地では、岡村壽洋(おかむら・としひろ)支所長、里見晴和(さとみ・はるかず)電磁気研究室長、松澤美恵(まつざわ・みえ)業務班長の3人が対応してくれた。

 

左から、松澤業務班長、岡村支所長、里見電磁気研究室長
 

まずは、この施設でなにが行われているのかを説明しよう。
艦艇装備研究所は、2015(平成27)年10月の組織改編でそれまでの技術研究本部(現在は廃止)から、防衛省の外局として新設された防衛装備庁の施設等機関となった組織だ。

その名の通り、主に海上自衛隊が使用する艦艇の研究を行う組織で、本部は東京都目黒区にあり、その支所として宮前区に川崎支所が設けられている。

 

写真からも分かる通り、緑に囲まれた研究所
 

装備の研究と聞くと、やれ機関銃だミサイルだと想像しがちだが、この川崎支所では「“磁気”を研究しているんです」と3人は話す。

研究部門のリーダーである里見さんによれば、鉄でできた船というのは、軍艦であろうが、タンカーや客船であろうが、造られる過程で船そのものが磁気を持ってしまうという。これが“永久磁気”と呼ばれるもので、言ってみれば船そのものが磁石のようになってしまうというわけ。

また、地球は北極にS極、南極にN極を持つ磁石になっていて、南極から北極に向かって常に“地磁気”というのを放出している。船もその磁気を浴びるので、これに影響されて“誘導磁気”という磁気も帯びてしまう。棒磁石にくっついた、本来は磁石ではない釘の先に、別の釘が吸いつくアレのイメージだそうだ。

 

上が永久磁気の、下が誘導磁気のイメージ図(画像提供:艦艇装備研究所)
 

つまり、船は2種類の磁気を持ってしまうわけだが、「この研究所ではこれらの磁気をいかに減らすか」ということを日々研究しているとのこと。

というのも、世の中には船の発する磁気に反応して爆発する“磁気機雷”という兵器があったり、船の磁気を察知して敵艦を探す探知機が存在するからだ。

そのため、船の磁気をいかに減らすかは重大な要素であり、世界中の国々で研究が行われているそうだ。そして、日本での船体磁気の研究拠点がこの艦艇装備研究所川崎支所なのだ。



磁気を低減するために

船体の磁気を低減させるための方法には、大きく分けて2種類ある。
ひとつは“磁気処理”と呼ばれ、船体にソレノイドケーブルという電線を巻き、そこに電流を流すことで脱磁を図る方法だという。

もうひとつが“消磁装置”を使ったやり方で、こちらは造船の時点で船の磁気を隠す装置(こちらもコイルを設置して電気を流す)を設置するというものだ。

 

磁気処理と消磁装置のイメージ。消磁は実際に磁気を消すわけではない(画像提供:艦艇装備研究所)
 

いずれの処置も、実際に行うのはこの川崎支所ではない。ここはあくまで研究所だから。
この場所で行われているのは、コイルはどの位置に取り付けるべきか、電流はどのくらいの強さでどのくらいの時間流すのがいいかといった、より効果的に処理を行う方法の研究なのだ。

ちょっと難しい話だが、里見さんは「消磁装置は普段の歯みがき。磁気処理は、歯医者さんに行って衛生士にクリーニングしてもらうようなイメージです」と話す。

例えば、川崎支所にある「船体磁気模型実験装置」は、船体の模型を使っていろいろなパターンの磁気処理を研究するための設備だ。装置の中央には磁気センサーがあり、そこに模型を通過させる。コイルの巻き方や電流の流し方を変えるなどして、磁気センサーにどんな反応が出るかを確認し、分析していく。

 

中央にある磁気センサーで模型の磁気を計測する(画像提供:艦艇装備研究所)
 

また、水中電界(UEP:Underwater Electric Potential)と呼ばれるものの研究にも取り組み始めているそうだ。

水中電界とは、船体に取りつけられた違う種類の金属が反応して発生する電気のこと。電気自体も問題ではあるが、さらにこの電気が磁気を起こしていることが最近の研究で判明し、こちらへの対処もしなければ、と研究が始まったそうだ。

川崎支所には「UEP水槽実験装置」という、海水を再現した塩水の入った大きな実験用水槽がある。

 

実験用水槽。ここでも模型を走らせて計測を行う(画像提供:艦艇装備研究所)
 

こちらも、水槽の中で船を模した模型を動かしながら、水中電界によって発生する磁気を低減させる方法を研究している。



 

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