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ワールドポーターズの向かいに佇む奇妙な団地の正体は?

ココがキニナル!

ワールドポーターズの向かいに見えるぼろい団地はどうして残っているのか気になります。綺麗な景色の中でそこだけすごく浮いていて変…(chhipさんのキニナル)

はまれぽ調査結果!

残っている団地も来年夏には姿を消します。築50年の建物群にノスタルジーを感じる人もいるが、そこに住む人にとっては現在進行形の生活空間です。

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ライター:ほしば あずみ

ノスタルジーではない、生活という現実
 


団地入口に掲げられていたのぼり。「値上げ反対・高家賃引き下げ 海岸通団地自治会」


UR賃貸住宅の家賃は、部屋の間取りや入居者の家族構成、所得等でそれぞれ異なる。

ただ家賃相場は独立行政法人都市再生機構法第25条に基づき、周辺の賃貸物件の家賃に合わせた価格帯が設定される。周辺の同様の物件より安くてはいけないと、法で定められているのだ。

海岸通団地の立地は、みなとみらい21地区に隣接し、みなとみらい線「馬車道」駅からもほど近い。
ここに新築マンションが建つとすれば、築50年の団地家賃のままではいられない。
条件によってはこれまでの倍近い家賃になってしまう住人もいるという。

考えてみてほしい。

頼んだわけでもないのに住まいを建て替えられ、新築だから家賃をこれまでの倍払えと言われたら…
しかも独居の高齢者。これまでなんとか住んでいられたという人は、住み続ける事はできない。

UR都市機構はこの事についてどう思っているのか。
電話での回答は次のようなものだった。

「シャレール海岸通は現在ほぼ計画通り建築が進んでいる。それに伴う反対運動というものは特にない。(のぼりが掲げられているが、との問いに)意見というものはさまざまあるので、いろんなお考えがあるだろうし、そうしたご意見の一つとして受け止めている。UR賃貸には減額措置もあり、元からの住民にも家賃がご負担にならないよう配慮している」

確かに、新しいUR賃貸への戻り住人は家賃に2割の減額があり、年齢や所得等の条件でさらに減額される場合もある。
だが元の家賃がこれまでの家賃に比べかなり高いため、減額されても結局値上がりしてしまうのだ。また、似たような環境でありながら人によっては生まれ月が違うだけで、家賃が数万単位で変わってくるという事も起きる。

減額措置が受けられる人や、家賃が上がってもなんとか生活できる人、このままでは住み続けられない人等、団地内でも立場はそれぞれであり反対運動も一枚岩というわけにはいかないようだ。
 


 

壁に貼られていた解体の写真。左上部の壊されている部分が平山さんのかつての部屋


「もう考えるのも疲れて、いっそ家財道具も絵の道具も全部売って身一つで生活保護を受けて暮らそうかとすら思ったりするのよ。でも生活保護を受けると家賃の高いところには住めないから、結局ここにはいられないのよね」と平山さん。

絵画教室を主宰している平山さんにとって絵の道具は生活の糧であると同時に生きがいでもあるはずだ。それを手放す事まで考えねばならないとは、誰のための建替えだというのだろう。
 


談笑する杉山監督と平山さん。母娘のように互いを気遣っていた


杉本監督は語る。

「今年は震災で家を失って、仮設住宅に身を寄せている人も大勢いますよね。住まいの問題、どのように老いるかは他人事ではない、この団地に限らず誰にとっても切実な事なんです。今撮影を続けている映画を通して、観る人に何かを感じてもらいたい。団地のみなさんの人生が続く限り、どのような形であれ関わり続けていくでしょうね」



まとめ

杉本監督が最初に制作した海岸通団地物語のサブタイトルは「~そして、女たちの人生はつづく~」である。
80年以上の人生を重ね、50年同じ場所に住んでいても終の棲家が定まらないという現実。
それでも海岸通団地は建て替わり、住民も生きていく。杉本監督はそれを追う。
タイトルの「女たち」には杉本監督自身も含まれるのだろう。

単なるノスタルジーではない、真っ向からの社会派の問題提起でもない、淡々と団地とそこに生きる人の人生をフィルムに記録することで、海岸通団地の物語は団地が姿を消しても続いていく。
そこから何を感じるかは、観る人にゆだねられるのである。

まもなく姿を消す海岸通団地。だがそこに住む人まで消えるわけではない。
その事を忘れてはならない。


―終わり―
 

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  • 子供のころに読んだ「小さなおうち」という童話を思い出しました。小さなおうちは静かな田舎に建っていたのですが、周りが開発されて大都会の中にぼろぼろな姿で取り残されてしまいます。しかし、おうちの建て主の子孫にあたる人がやってきて、最初に建てられた場所に似たようなロケーションの場所に運び、修理をしてめでたしめでたし というストーリー。変わらない物は一つもない そして、変化という事象にもいい面 悪い面が存在するのが現実です。一面だけを取り上げるのではなく、事実をありのままに見つめる事が大切なのかも・・・映画が完成したら、是非、見せていただきたいと思います。

  • tamtamさんへ。 賃貸住宅なのですから、施しを受けるという表現は妥当ではありませんよ。

  • 質問文は、読者の人が書いたのかもしれないですが、それでも「ぼろい団地」って…。今も人が住んでいるお宅なんですよ。このような書き方は、あまりにも失礼じゃないですか?

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