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59年の歴史に幕を降ろす「箱根ホテル小涌園」のあゆみと今後は?

ココがキニナル!

箱根小涌園が営業終了とのこと。箱根を代表する施設の一つが無くなるのは寂しいです。60年の歴史と今後がキニナル!(かにゃさん)

はまれぽ調査結果!

2018年1月に営業終了するのは箱根小涌園の数ある施設のひとつ、「箱根ホテル小涌園」。終了理由は箱根エリアの活性化のため。まだ予約可能!

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ライター:すがた もえ子

箱根小涌園のあゆみ(つづき)

今回営業終了となる「箱根ホテル小涌園」は1959(昭和34)年4月に完成した施設だ。ツツジで有名な庭園「蓬莱園(ほうらいえん)」も含めると総面積は3万2000平方メートルにもなる。

 

1969(昭和44)年11月の箱根小涌園の図
 

また、当時の流行に先駆けてオープンさせたドライブインは、現在は箱根小涌園内のファミリーマートになっている。

 

ホテルに併設されたドライブイン(1959<昭和34>年ごろ)
 

「箱根小涌園旅館部本館」は“100円で1日楽しい入浴休憩施設”というのがうたい文句。ちなみに、昭和30年代はラーメン1杯が30円ほどだった。

 

1959(昭和34)年5月に箱根小涌園旅館部本館がオープン
 

1960(昭和35)年には、現在でいうゲームセンターにあたる施設、「娯楽センター」が作られ、当時としては最新の設備がそろい、大変なにぎわいをみせていたという。

 

娯楽センター(1960<昭和35>年ごろ)
 

1962(昭和37)年には「ポリネシア風呂」が完成。熱帯植物が生い茂ったこの温泉施設は別名“ジャングル風呂”とも呼ばれた。

 

ポリネシア風呂
 

このころのほかの施設も紹介しておくと、本館旅館に飲食店が軒を連ねる「食堂横丁」や、修学旅行生を中心に受け入れた「天開荘ひばり館」などがあった。

「ここに来たら1日過ごせる」というコンセプトのもと、1973(昭和48)年7月には「こどもの村」という自然園もオープンさせた。

当時は子どもがキャンプしたり、バーベキューができたりという屋外活動をすることができた。しかし、箱根小涌園のあるエリア全域が富士箱根国立公園の特別地域に指定され、火の使用ができなくなったことなどから1999(平成11)年に閉鎖した。

 

こどもの村入口にあった水車は、今はもうない
 

箱根小涌園のシンボルとしてトーテムポールが敷地内に何本も建てられていた。残念ながらこちらも現存しない。

 

子どもの村入口のトーテムポール
 

1985(昭和60)年には「サンシャイン湯~とぴあ」という水着で遊べる屋外温泉施設が完成し、バブル末期の1993(平成5)年には史上最高の売り上げを記録している。

箱根にある宿泊施設で朝食バイキングを初めて行ったのも箱根ホテル小涌園で、当時は絶大な人気を誇った。お客さんに、料理を作っている様子も楽しんでもらおうと、箱根初となるオープンキッチンを作ったりもした。

 

1969(昭和44)年当時の箱根小涌園全体のチラシ
 

箱根小涌園の施設は国登録の有形文化財に指定されている建物も多く、一帯は国立公園にも指定されているので、現在は開発や修繕する際にさまざまな制約がある。創業間もないころは、そういう制約もなかったので、道路を新設したり、国道の上に橋を渡したりと、いろいろな開発を行った。

建物の中には、今の建築基準法には適合していないものもあるので、1回壊してしまうと再び建てられないものもある。なんとか歴史ある建築様式を残しながら、施設全体のデザインをしてるのだという。

 

庭園は三井総本家の別荘庭園として作られたもの
 



箱根小涌園と箱根駅伝



箱根小涌園は、箱根駅伝の生中継放映初回からスタッフの宿泊場所になっていた。1987(昭和62)年、生中継第1回の放送の時に日本テレビのプロデューサーから正月明け年末年始含めてスタッフが泊まる宿がないという相談を受けたのがきっかけだった。

当時箱根小涌園には「コンベンションパレス」という別館があり、そこにスタッフ100人以上の宿泊を受け入れたことで、以降箱根駅伝とのつきあいが続いている。コース内の中継所である「小涌園前」が、唯一地名ではなく施設名になっているのはそのためだ。

 

箱根駅伝での小涌園前の様子
 



箱根ホテル小涌園のおすすめシーズン



箱根小涌園のある立地はちょうど箱根のど真ん中にあたり、芦ノ湖や仙石、湯本などのエリアへも車で20分程度、御殿場のアウトレットにも40分ぐらいで行けてしまうアクセスの良さが自慢だ。

箱根の主な宿泊客はシーズンによって変わるが、夏場の繁忙期を除くと神奈川県や東京都からの客がほとんどを占めている。また、3月は春休み中の大学生が多く、4~5月と9~10月には修学旅行生が多く訪れる。夏休みは子ども連れの家族が多く、秋は中高年の女性が多い傾向にあるそうだ。

 

敷地が広いので、園内シャトルバスも出ている
 

ここで渡辺さんに、箱根のおすすめシーズンを伺ってみた。「実はゴールデンウイーク明けの5~6月の時期が新緑にあふれ、一番美しい季節なんです」

しかもこの新緑の季節はオフシーズンと呼ばれている時期なので、料金もそれほど高くない。おすすめは車ではなく、箱根登山鉄道を使ってアジサイを見るコース。夜はライトアップされ、イベント列車の「あじさい電車」も毎年6月の終わりから2週間ほど運行されるとのこと。



箱根ホテル小涌園の今後



箱根ホテル小涌園の今後について、まずは来年の営業終了までにまだ泊まる事ができるのか伺ってみると「予約は直近は埋まってきているものの、まだ空きがあるのでお問い合わせください」とのことだ。

また、4月からはホテルのレストランが和洋ビュッフェだけになるとのことで、内容をグレードアップしながら月替わりのメニューなども用意する方針だ。ビュッフェ以外では、迎賓館で鉄板焼きを、貴賓館でそば懐石をいただくこともできる。

 

閉館に向けて特別なイベントをするつもりはないとのこと
 

箱根小涌園がこれまでも新陳代謝を繰り返してきたのは解説してきた通りだ。今回の営業終了も今後の箱根エリアの活性化を見据えての前向きな動きなのだ。

2017年4月には新施設「天悠(てんゆう)」もオープンする。全客室温泉露天風呂付き、プライベートな空間で上質な時間を過ごす事ができる天悠は、箱根ホテル小涌園の別館的なものではなく、全くの別物としての位置づけだ。

箱根ホテル小涌園の営業終了後の予定はまだ確定していないが、庭園を利用した宿泊施設が計画されている。



取材を終えて



取材は3月の終わりだったが、この季節でも雪が降った。冬のような寒い空気の中、もくもくと立ちのぼる湯気からは温泉の香りがしていた。59年という長い歴史に幕を降ろす箱根ホテル小涌園。最後になるので、ぜひ1度足を運んでみては。


-終わり-


写真提供・取材協力
箱根ホテル小涌園
住所/神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平1297
TEL/0460-82-4111
FAX/0460-82-4123
http://www.hakoneho-kowakien.com/
 
 

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  • 小涌園前の駅伝の写真ありがとうございます。中継で必ず映るマスコットが気になってました!

  • すがたさんレポートありがとうございました。小涌園そのものは無くならないとのこと、安心しました。小涌園ホテルの後の施設にも期待しつつ、閉館前に行っておこうかな。

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