食事も訓練！

朝・昼・晩の食事は学生食堂で提供される。朝食と夕食はセルフサービスだが、昼食は全学年、全学生がそろう。
　

約2000人の学生が同時に昼食
　

料理はスタッフが配膳してくれるが、ご飯、汁物、お茶を給仕するのは各大隊の1年生の仕事。ご飯のおかわりは、基本的に禁止なので、先輩や同期の食事の量を覚えるのも1学年の役目だ。
　

大隊全員の適量を把握し、
　

大盛りから普通盛りまで好みの量のご飯を配る
　

お茶も一緒に！
　

取材したこの日のメニューは、鮭のムニエル、ギョーザ、キムチ、ミネストローネ、たくあん、ご飯。

一般的な成人男性の1日の摂取カロリーが2000～2200キロカロリーであるのに対し、防大生は3400キロカロリーが目安。体が資本の防大生ならばこそのカロリー設定だ。
　

2000人が一緒に、いただきます！
　

学生が食事をしている間に、浴場を案内してもらった。
　

学生舎の裏にある学生浴場
　

当然ながら男女別で、１階が大隊ごとの男子学生用のお風呂になっている。
　

更衣室も学年ごとに場所が決められている
　

授業が終わるのは午後5時15分で、入浴は午後5時30分から午後7時15分まで可能。ただ、午後6時15分から入浴終了時間である午後7時15分までの間に夕食をしなければならない。
　

大きな浴槽が2つ
　

ガラン、水道の蛇口は100個近くある
　

外から直接入れるシャワースペースもある
　

夕食後は点呼があり、午後7時45分から午後10時20分までが自習時間。各自自習室で勉強に励んでから午後10時30分に消灯。防大生の規則正しい1日が終わる。

防大独自のカリキュラム

防大には、文部科学省の定める大学設置基準に準じた「教育課程」と、自衛官として必要な基礎的な訓練と資質を育成する「訓練課程」があり、4年間で取得しなければならない単位数は152単位以上。一般的な大学の124単位以上を大きく上回っている。

教育課程のなかで防大独自のカリキュラムとして、4年間にわたって「人文・社会科学専攻」と「理工学専攻」に関係なく全学生が学ぶのが「防衛学」だ。
　

防衛学の授業風景
　

防衛学は、安全保障、防衛、戦争、軍人と社会の関係などを軍事の視点から研究する学問。

1学年では「防衛学基礎」、2学年では「国防論」「軍事史序論」「サイバー戦概論」を、3～4学年では「戦略」「作戦」「軍事と科学技術」「統率」「国際情勢と安全保障」などを学ぶ。
　

理解しやすいよう授業が工夫されている
　

専門的な分野なだけに、講師の多くは防大の卒業生
　

防大というイメージから訓練など体力勝負の授業が多いと思われがちだが、机に座って講義受ける座学が多い。その点は一般の大学と変わらない。

防衛大学校は、幹部自衛官を育成する日本で唯一の大学教育機関だ。幹部自衛官になるための技術も体力も統率力も必要だが、それと同じくらい重要視されているのが、知識の習得だ。

取材を終えて

授業だけでなく、食事や入浴に至るまで、すべてが「訓練」になっている防大生の1日に迫った。

8月8日（火）掲載の後編では通常では目にすることのできない、訓練課程の授業風景と儀仗隊（ぎじょうたい）をご紹介する。


―後編に続くー
　
防衛大学校
住所／神奈川県 横須賀市 走水1-10-20
電話／046-841-3810
HP／http://www.mod.go.jp/nda/