南区の蒔田駅近くに怪しげな看板を掲げる「普覚同修会」って何?
ココがキニナル!
鎌倉街道沿いにある普覚同修会という建物。手相・マッサージとあり仏教の真言ぽいのや怪しげな格好したおじさんが描かれた看板が掲げられ、手相なのか宗教なのか得体が知れません(みうけんさん/今宵月男さん)
はまれぽ調査結果!
看板の怪しげなおじさんは、台湾独自のチベット密教系新興宗教「真佛宗」の創立者。普覚同修会では現在手相は行っており、マッサージは行っていない
ライター:おとも尚美
チベット密教系の「真佛宗」とは?
「真佛宗」は、1975(昭和50)年に「盧勝彦(ろ・かつひこ)密行尊者」により創立された。あの看板に描かれているおじさんこそが盧勝彦氏で、ドでかい宗教の生き仏だという。
おじさんなどと呼んではいけない
「真佛宗」は台湾独自の新興宗教で、仏教における「顕教(けんきょう)」と「密教」、中国で盛んな「道教」を融合している。教えとしては、良い心構えで良い言葉を発し、どんな悪行もせずに善い行いをしながら、心を清めることが満願成就に繋がるだろう、ということのようだ。
真佛宗で使われている法具
活動内容としては、布教活動として個人宅へ伺うことなどは一切しておらず、地域繁栄のために日台友好交流活動を行ったり、厄除けの餅投げや幸福祈願を行うなど、人々の大願成就のためにひたすら尽力しているとのこと。大阪の雷蔵寺(らいぞうじ)には宝物館が建造され、新たな観光スポットとして「まちづくりへの功績」が認められて、NHKや新聞でも取り上げられたばかりだと誇らしげに語ってくれた。
看板にもあった「おんぐるれんせんしてぃほん」は念仏だそう
続いて、「横浜普覚同修会」について釋さんに伺った。
もともとマッサージ師として生計を立てるために来日した釋さんだったが、信者だったこともあり、月日が流れるにつれ“日本にもっとこの宗教を広めたい”と思い、2016(平成28)年にこの道場を開いたそうだ。当時は茨城県に住んでいたようだが、この場所に開いた理由は、「先生に相談したね、横浜がいいってね、いわれたよ」と答えてくれた。先生とは盧勝彦氏のことで、風水で横浜に決まったそうだ。
「横浜普覚同修会」での取り組みについては、座禅や瞑想などの修行のほかに、悩み相談、魔除け、贈名などを受け付けたり、仏と向き合い願いを叶えてもらうため、一般の方にも写経・座禅を行っている。
いつもこんな風にやりますねー、と魔除けの実演をしてくれた
経本を開く姿は真剣そのもの
贈名とは、特定の運を飛躍的にアップさせるために仏に名前を預けることで、3000円で約1年間の効果があるそう。贈名するともれなく「蓮花(れんげ)」という名前がもらえ、「真佛宗」においては生涯「蓮花○○」と名乗ることができるということだ。そのほか、出張祈願や各種祈祷も行っている。
仏像横にあった金色の壁は、贈名者の名前を貼り付けるためのものであった
また、この道場では火を使った護摩焚きができないため、水で供養を行っている。「護摩」は火中に供物を投じて願いが成就するよう祈ったり、供物を供養したり、煩悩や悪業を焼き尽くす「密教」の儀式として知られている。火と水では反対のように感じられるが意味は同じであるとのこと。
三角の中に水が入り、水の中に供物を投じる
台湾で行われる儀式。護摩大法会の様子(提供:普覚同修会)
多くの人々が手を合わせている(提供:普覚同修会)
手相やマッサージとは!?
最後に、キニナル投稿にもあった手相やマッサージについて釋さんに伺った。すると、骨盤矯正やマッサージは少し前まで行っていたが宗教活動が忙しくなりやめてしまったとのこと。現在は占いをしたり、手作りの数珠やアクセサリーなどを販売しているという。しかし、これらは「真佛宗」とは無関係で自分の仕事としてやっていると話してくれた。
水晶を繋げた手作りの数珠。左が1万円で右が3000円
ネット販売している手作りのアクセサリーもある
また、手相は30分1000円、姓名占いは1回3000円で鑑定してくれる。今回は無料で見てくれるというので、お言葉に甘えてどちらも体験しちゃいました!
あなた仕事飽きっぽいね
釋さんによる占い結果とその心境をまとめてみた。こんな感じです(クリックして拡大)
釋さんの占いは、状況診断には弱いが、性格診断にはめっぽう強いといったところか。なんの情報も伝えていないのに「仕事飽きっぽいね」といきなり言われた時は、本当に驚いた。自分の手のひらのどこにそんな情報が隠されているのか。不思議でたまらない。
「占い」や「アクセサリー販売」といった個人の仕事もしているという釋さんには、建物の外観、剃髪に赤い法衣からは想像がつかないラフな一面も垣間見えた。「真佛宗」は、「新興宗教の密教」とだけ聞いた時点では、秘密結社のような怪しい集団のイメージが湧いていたが、従来の「密教」に独自の教えをプラスしたオープンな宗教なのだろうと感じた。
取材を終えて
昨年、日本人の友人がイスラム教に入信した。「イスラム教徒になったことを公言するのはなかなか難しいよ」と彼女は言っていたが、休日に足繁くモスクに通い幸せそうに生活している。
真佛宗を信仰している釋さんはとても素敵に笑う。修行をしたり、占いなどをしながら信じるもののために尽くせる日々が、彼女に笑顔をもたらすのだろう。
生活や心の中心に「神や仏」がいるって、どんな感じなのだろう。信仰心のないライター・おともには想像もつかない。けれども、よく笑う二人を見ていると「宗教」という言葉が柔らかいイメージに変わる。帰り道、「幸せの在り方」は本当に人それぞれだなーと深く頷き、雲一つない空をしばし見上げた。
-終わり-
取材協力
横浜普覚同修会
住所/横浜市南区通町2-21-2
みうけんさん
2020年12月19日 07時56分
残念ながら、いつの間にか無くなっていました。
あらめやさん
2018年03月13日 08時35分
前を通るたびに。看板があまりにも派手だったので、何の施設かなと思っていました。今回のレポートで疑問が解明しました。ありがとうございます。あの通りには他の新興宗教の本山のあり、地勢的に宗教にはいい場所なのでしょうかね。
みうけんさん
2018年03月13日 00時18分
取材ありがとうございます!そして普覚同修会のみなさま、おじさんなどと言って申し訳ありません。台湾では、とてもポピュラーな宗派なのですね。勉強になりました。自分は特定の宗教団体には入っていませんが信心深いほうで、たまにお寺(野毛山不動尊や杉本寺など)の護摩に参加したりしているので、釋さんが一途に信心されている姿に深く共感を覚えました。外見は近寄りがたい感じですが、中を見せていただくと、とても素敵なお寺だったのですね。外見だけで判断してしまい反省です。これからも真佛宗のみなさんが幸せであると良いですね。これからも活躍をお祈りしています!おとも尚美さんも丁寧な取材ありがとうございました!