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【横浜の名建築】大倉山記念館・大倉精神文化研究所 (第1部)

ココがキニナル!

横浜にある数多くの名建築を詳しくレポートするこのシリーズ、第22回は『大倉山記念館・大倉精神文化研究所』。特徴ある建物で見どころも多いため、2部構成。第1部は作られた経緯を中心に中央館までを紹介します

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ライター:吉澤 由美子

敷地は地球 建物は人 中央に心



大倉山は半円状の丘。大倉邦彦がこの場所に用地を求めた理由のひとつに、この丘全体を地球と考え、敷地全体を世界とする構想があった。

大倉山記念館の前庭には、以前「地理曼荼羅(ちりまんだら)」というものがあった。
日本列島の形に芝をはり、周りに砂利を敷き詰め松の木を植えたもの。
現在は大きく育った松にその名残を見て取れる。
 


地理曼荼羅の名残である松林。昔は富士山を象った小高い塚もあった


大倉山記念館の建物自体は、心(塔のある中央館、殿堂、回廊)の周りを知性(東館・西館・連結部)で覆うというかたちで、「人」に見立てられている。

心の間である中央館の地下には、大倉邦彦が建物の建立に込めた思いを印した「留魂碑
(りゅうこんひ)」が地中9mの深さに埋められているのだという。
 


「留魂碑」を埋めた場所を示す「留魂礎碑」が1階中央階段裏にひっそり建っている


教育や精神修養に向けた壮大な思いを結実させ、施主と建築家が細部にまでこだわって作った建築物。

外観、内部、そして家具の細かな部分に至るまで、どこを見ても統一した設計思想に基づいてデザインされており、その徹底した美意識に圧倒される。
 


作り付けのベンチも創建当時のもの。ベンチの足も根本が細くなっている


現在は図書館のある東館に大倉精神文化研究所、それ以外の場所は横浜市の大倉山記念館として集会室やギャラリーといった貸しスペースとして使われている。



プレヘレニックを強く感じさせる中央館



正面の入口は、塔も含めた下部が細い裾細りの列柱以外にも、クレタやミケーネ起源のプレヘレニック様式意匠を随所に見ることができる。
 


入口の扉上部には、プレヘレニック様式のロゼットや連続螺旋文様、円盤列


円盤列は、円形が一列の帯状につながっているもの。

ペディメントに八咫鏡と鳳凰をいただく屋根は、下部に内側まで装飾されたフレーズ(帯飾り)があり、トリグリフという縦溝の装飾と、半ロゼット(半円状で花びらのようなデザインが囲む部分)がある。

トリグリフ、半ロゼット、円盤列、連続螺旋文様は、クレタ起源のデザインだ。

外観は、正面だけでなく、西と東も特徴があって素晴らしい。

西側は3階分の窓がすっきりまとめられ、上部にある三角形の窓がアクセントになっている。
 


外観の西側(集会所、貴賓室、講義室)。三角形空間は、ミケーネ起源のデザイン