横浜の津波対策の現状は?
ココがキニナル!
東日本大震災時横浜駅には大勢の人がいました。津波がもう少し高かった場合は、大きな被害が出たと思われます。震災後、JRや横浜市でどう避難するのか指針が出ていれば紹介してほしい。(nagatoshiさん)
はまれぽ調査結果!
市内55カ所の「津波避難施設」指定や海抜標示の開始等対策を強化しているが、県の津波想定引き上げによってガイドラインの見直しを迫られている。
ライター:はまれぽ編集部
「津波避難施設」とは?(つづき)
ちなみに横浜駅周辺だと「ホテルキャメロットジャパン」、「横浜国際ホテル」、「日産自動車本社ビル」などが津波避難施設に指定されている。また、みなとみらいエリアにおいては「パシフィコ横浜」、「クロスゲート」、「ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル」などが指定されている。
ホテルキャメロットジャパン外観
横浜国際ホテル外観
日産自動車本社ビル外観
ここで「指定以外のビルには避難しない方がいいのか?」という疑問が湧いたので質問をぶつけてみると、「津波からの避難は緊急を要するので、近くに避難基準を満たしたビル(鉄筋コンクリートの3階以上)がある場合は、無理に津波避難施設に向かうのではなく、そちらに避難してほしい」という回答を得た。ただ市としては、避難時の受け入れ態勢が整う「津波避難施設」の指定は今後も拡大していく方針だという。
震災時の避難誘導については?
津波が想定される地震が起こった場合、避難できる施設にどのようなルートを使って逃げ込めばいいかも非常に気になるところ。
その疑問に対する回答は「特に決まったルートを定めてはいない」というものだった。震災時には道路の寸断など予期せぬ事態が起こることが予測されるため、あえて経路は指定せず、個々の判断で安全なルートを選ぶことが必要となるとのこと。
進めている対策としては、昨年12月からスタートした「海抜標示」のステッカー掲示があげられるという。「より早く、より高い場所」へ避難を誘導するためのこの施策。
海抜標示の実物
市内沿岸部を中心に道路照明灯や防犯灯への設置が進められており、今月末までに約7700箇所に設置される予定になっている。外国人観光客のニーズも考慮し、4か国語(日本語・英語・中国語・ハングル)で表記されているのも特徴の一つとなっている。
また、横浜駅構内からの避難や周辺の混乱を防ぐため、危機管理室が事務局となり「横浜駅周辺混乱防止対策会議」という組織も作っている。会議にはJRや横浜駅に入る鉄道各社、警察、駅周辺の自治会や商店会のメンバーが名を連ねており、有事の際の連携強化を図るため話し合いを持ったり、共同で避難訓練を実施するなどの活動を行っている。
県の津波想定引き上げ受け、ガイドライン見直しへ
前述の通り、横浜市が津波に対するガイドラインをまとめたのは昨年8月。そのすぐ後の11月、神奈川県では津波の想定を大幅に引き上げた「津波浸水予測図(素案)」を発表した。
「想定外」の津波が起こった東日本大震災の教訓を受け、再来はないとしていた「慶長地震」なども新たな想定として加えられて作られたこの素案。その後も検討が加えられ今年2月には「津波浸水予測図(案)」として再度公表された。
「津波浸水予測図(案)」の慶応地震想定。オレンジ色になっている部分が横浜駅周辺
市が作成したガイドラインのもととなった「元禄地震」では、津波予測を2~3メートルとしていた。しかし県が新たに発表した想定では平均4メートル、横浜駅東口では一部9メートル近い浸水が予測される結果となった。
それを受けて横浜市では現在、ガイドラインの見直しに着手しているという。具体的な見直しは、今月末を目途にまとめられる県の「津波浸水予測図」成案をもとに進められていく。ちなみに、想定引き上げ前に指定した「津波避難施設」55カ所においては、「現段階で指定を解除する必要がある施設はない」と答えてくれた。
まとめ
いつ起こるか完全に予測することは絶対に不可能な巨大地震。
ただ地震や津波に対し、備えを十分にしておくことは心がけ一つでいくらでも可能なはず。
震災前は50人だった職員を、昨年10月に64人へ増やし災害対策の強化を図っているという消防局危機管理室。ガイドラインの見直しについて、是非とも早急な対応を願いたい。
―終わり―